アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第9話Bパートの前半(りょう登場から、りょく登場まで)について。
過去の記事はこちら。
第9話 Bパート 前半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第9話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
謎のクサ?を吸うりょう
わかばに気がつく直前、まるで「煙草を吹かす」かのように、
白いケムリを吐き出していた、りょう。
小型の赤虫と一戦交えていたようだが、このときの行動は何なのか。
「ケムリクサを吸う・吐く」という行動自体は、
りんにも見られた。
だが、ミドリの葉を吸って吐き出したのは、
ビームや砲弾に匹敵するほどのもので、似ても似つかない。
11話では、ワカバがミドリの葉を、まるで煙草のように吸ってはいたが、
煙の色は、葉と同じ緑色だ。
りょうの吐いた煙の色とは、まるで違う。
そもそも、りんたちと違い、
りょうにはミドリイロのケムリクサを入手することは難しいはずだ。
ということは、このときは、何か別種のクサを吸っていたのだろうか。
例えば、りょうの好むような、「嗅覚を刺激するようなケムリクサ」とか…?
「匂いのするケムリクサ」といえば、一つ心当たりがある。
三島でわかばが匂いを頼りに発見した、ウスイロのケムリクサだ。
りょうが吐き出す煙の色からも察するに、
このときは、その辺で自生していたウスイロのケムリクサの香りを、
楽しんでいたのではないだろうか。
パイプは拾い物だが、蘇生後は体の一部?
りょうは常に鉄の棒(パイプ)を所持している。
このパイプは、一島にいた「はじまり」の時点から所持しているが、
恐らくは一島のその辺に落ちていた、ただの瓦礫の一つだろう。
なぜなら、「りなぞうがりょうのパイプをかじった」という言及(5話)から、
「りょうの死後に生まれた(分身した)りなぞうが、パイプをかじることができた」、
すなわち、「パイプはりょうと共に消滅しなかった」
だから、「パイプは衣類等と違い、後から拾ったもの」と推測できるからだ。
蘇生後のりょうが、同じ鉄パイプを持っている仕組みはわからないが、
りょくがりんにあげた、と言っている「りょくの目」も、
蘇生後には復活しているようなので、
もしかすると、「自分のイメージした姿」で蘇生(保存)されているのかもしれない。
自分の体の一部と思えるくらい、肌身離さず持ち歩いていたのかも。
12話でりょうが消えゆく際には、パイプもろとも消えていった。
12.1話でも、パイプを持っている。
笑顔で臨戦態勢のりょう
先端が特に鋭くもないパイプだが、
なんと、自分の背丈ほどもあるムシの体を貫通している。
12話では、赤い木の防壁ですら貫いていたので、このくらいは造作も無いのだろう。
威力の秘密は、パイプに巻いた布にあるようだ。
これは、りんのグローブや、りなのスカートと同様に、
力を行使する際には、ケムリクサのように発光する。
「力を使うときに発光」
つまりは、
「発光するときは、臨戦態勢にある」
ということだ。
この9話で、最初に布が発光するタイミング。
それは、「わかばを発見したとき」であった。
りょう「おんや? 君は…?」
このセリフと共に、振り返りながら、布は発光を始めている。
しばらく発光は持続させているが、次の言葉とともに消失する。
りょう「あっ! 君がりくの言ってた奴か!」
「わかばは敵ではない」と判断し、戦闘態勢を解いたようだ。
この間、表情や声色は変わっていない。
知ってしまうと、非常に怖いシーンとなる。 危ない危ない…。
この後、「赤い木をどうやって倒すか」を語るときも、
興奮気味にパイプを振り回していたが、
このときも布が発光している。
りくのわかば情報
「りくの言ってた奴」という発言から、
りょうの持っている“わかばの情報”は、りくが伝えた内容しかない、ということになる。
りくがわかばと会ったとき(6話)は、りく以外は「眠っていた」ようだったので、
視覚・聴覚を共有しているわけではないようだ。
それはさておき、
りくは一体、どんな風にわかばのことを伝えたのだろうか。
りょうの言動から、少しは察することはできる。
「名前を呼ばない」 → 「“わかば”という名前は伝わってない」
「嗅覚以外を持っていることから確定した」 → 「触覚・視覚に優れているのは既知」
これらのことから、恐らく、
「目が良くて触り心地がわかるモジャモジャ」
程度の情報しか伝わってないようである。 さもありなん。
わかばは、りょうが自分の事を知っている様子だったので、
実は彼女に対して自己紹介をしていない。
わかばの名前は、後にりょくから聞いて、初めて知ったのかも。
わかばの匂い
りょう「君、なんか変な匂いだわねえ?」
りょう「やっぱ私らとちょっと違うんだわねえ。
ケムリクサの匂いはするけど… 色違い?」
わかばには「本体の葉」が存在しないし、赤い血が流れている。
睡眠も水も、りんたちほど必要としない。
だがその体の構成にはケムリクサが大きく関わっている、はずである。
でなければ、「ケムリクサの変な匂い」を指摘されないだろうし、
赤虫に襲われることもないはずなのだ。
どういう構成なのかまでは、詳しくはわからないが…。
りんたちを、”ケムリクサの葉そのもの“、とするならば、
わかばは、“ケムリクサから成った実“、みたいなものか?
過去の考察では、「わかばはケムリクサを母体にして生まれた」と語り済みなので、
そちらも合わせて読んでみて欲しい。
この考察が正しいなら、「実」という表現も、割と当てはまると言えよう。
壁使うヌシ
りょう「いや~エグいわな~。壁使うヌシはな~。世の中広いわ~。」
ここで「壁を作る」ではなく、「壁を使う」と言っているので、
前回考察した、「壁はヌシが作ったのか」に対する回答が、はっきりしないままなのである。
少なくとも、壁を利用するヌシは、ここでしか見られない、ということだけは言える。
ちなみにりょくは、壁を一瞥して、「普通の壁」と断言している。
りつは強かった
りょう「りっちゃんがその辺、強かったんだけどね…。」
まるで、「昔のりつは強かった」というような発言に聞こえるが、そうではないだろう。
りつが、みどりちゃんと融合するより前に、りょうは死亡しているので、
現在の弱々しいりつの事を知らないはずである。
ここの発言は、「りつと昔戦ったとき(手合わせしたとき)」のことを思い出していたのだろう。
りつが「戦闘好き」という様には見えないが、
育成が好きなりつは、手合わせの中で姉妹を鍛え上げるが好きだったのかもしれない。
鬼軍曹りつ。
りんに対しては、過去形ではなく「強いよ」と発言しているのは、
一度も手合わせをしてもらったことがなく、予測で語っているからだろう。
りょう「りんちゃんの方が、全然強いよ~。
あの子戦うの好きじゃないだけで。」
二体目のヌシ
りょう「二体目のヌシでうっかりね~。
りんちゃんに看取ってもらって、死んだはずだったんだけど…。」
りょう死亡時の状況については、0.7話の考察で既に語っているので、
そちらを読んで欲しい。
裏三姉妹、保存の考察
りょう「この葉に保存してもらってたんだって。
詳しくは、よくわかんないんだけど…。」
人から聞いた話のように語っているが、恐らくは、りょくが分析・推測した話なのだろう。
「この葉」とは、りょうの体内の葉を指している。
便宜上、これを「保存の葉」と呼ぶことにするが、
これは一体なんなのだろうか。
この保存の葉について考察するにあたり、疑問点はいくつも存在する。
・3人で1枚の葉を共有している。
・葉の色・形は、「本体の葉」や「記憶の葉」と酷似している。
・りょうたちの本体の葉は、位牌(黒い水晶)に収められているはず。
・りなぞうやりなこは、保存されていない。
・ワカバ(船長)やりりも、保存されていない。
・りりの記憶の葉は、現在りんが持っている。
これら全ての辻褄を合わせるべく考察した結果、以下のような図解が出来上がった。
端的に述べると、本体の葉は、所有者の死亡時にバックアップ機能が働き、
りょうの場合は、持っていた記憶の葉ごとコピーされて、それが「保存の葉」になり、
バックアップの転送先として機能した。
六姉妹の持つ「本体の葉」は、りりの「記憶の葉」を原型としている、という前提について、
詳しくは過去の考察を参照して欲しい。
また、「保存の葉」に転送されるのは「本体の葉」でバックアップされた六姉妹だけで、
そのため、ワカバやりりは、「保存の葉」には現れなかった。これも図解すると下記のとおり。
つまりこれらは、本体の葉を持って生まれた六姉妹特有の現象であり、
偶然起こった出来事なのだろう。
もちろん、全ては筆者個人の推測だが、前述の辻褄を全て満たす考察として、
ひとつ、参考にしてくれれば幸いである。
なお、死亡した姉妹が、どこで目覚め、どこから行動可能になるのか…、
りょうの言う通り、「詳しくはよくわからない」。
次回、第9話 Bパート 中盤!
りょう登場シーンの考察ポイントはこんなところだろう。
「保存の葉」に関する考察に、かなり時間がかかってしまった。
次回! りょく登場!
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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コメント
お疲れさまです。更新ありがとうございます!
ひと息ついていた風に見えるりょうのシーン、「ウスイロを吸っている」というのは発想の外でした。さすがugさん!
◇なぜりょうは赤くないムシを刺して背負っているのか。
◇アカムシが見当たらない富士山でなぜムシを背負っているのか。
◇りょうのパイプは本体の一部なのか!?(武士の魂のように)
など謎は尽きないところですが。。w
この9話のりょうとりょくのシーンは、最優先で監督に聞きたい事項のひとつでした。
ugさんの考察はとても面白いです。6姉妹の本体の葉がUSBとか。。この発想は頭にありませんでした。 確かに記憶の葉以外に3姉妹の身体を構成する葉があると、3姉妹の説明が楽になりますね。
特に、りょうの「この葉に保存~」話後のりょくが言う「記憶の葉を開ければ全てわかる」発言のくだり。 自身の中にある葉が記憶の葉であれば、その場でわかばに開けてもらえばいいわけなので。 万が一、初対面のわかばに身体をいじられたくない、という気持ちがりょくにあったかもしれないですが。ww
「記憶の葉は2枚あったッ!」(ヨットにつかまるJoJo5部ブチャラティ風に!)
◇仮に、記憶の葉が一枚だけ という説としても、
りりは自身をケムリクサ化する際「抽出」「分割」「強化」の葉を同時に使用しているので、6分割された抽出機能が強化されて本体の葉にメモリー機能として搭載され、また記憶の葉にも抽出機能が搭載されていることとなり、
◇各個人の情報が本体の葉に抽出されている。(活動停止直前まで)
◇位牌に接触した際に、記憶の葉に各個人の情報が抽出されて保存される。
※もしくは、りょくの死に際にりんとりょうが立ち会っていて、りょうの記憶の葉に抽出保存。
◇本来なら抽出された情報は形にならないが、りんが取り込むミドリが時間をかけて記憶の葉の情報を元に身体情報を復元していく。
◇3人の情報が復元され、記憶の葉を本体として1活動分復元できた。
※りなぞうもりくより先に復元されているが、りなぞうはモモイロが無いと起動できないのかも。。
という流れでも行けると思いました。
ただugさんのおっしゃる通り「起動や活動終了の条件」「どう情報共有するのか」は、謎のままですね。。
この起動条件の謎も個人的には、りんの強い感情(6島のトンネルを発見してくれたりくへの感謝)(壁を利用する未知のヌシとの対戦でのりょう、りょくへの思い)などがキーになって記憶の葉に作用し、起動するような感じがしています。
りょうは、串刺しのムシを背負って登場させることで、「戦闘狂」のイメージを一発で植え付けてくれましたね。
そんな印象操作の犠牲になった赤虫なのかもしれない…。
赤くないのは、既に絶命して色が抜けていたからだと思います。
りんの葉とりょうの葉は似てるけど、2枚別々に存在しないと色々と無理がある、
…と考えて、ひねり出てきた考察になります。
楽しんで頂けたようで、何よりです。
実は最初は何も思いつかなかったので、「考えるのをやめた」的に書いて終えるとこでしたw
裏三姉妹の葉が外部メモリ的役割であるとして、この後の考察にも繋げていきます。
自分自身は納得のいく考察になりましたが、自由に発想した部分があまりに多く、
他にいくらでも考えようがある部分だとは思います。
ここは、各々の発想を大いに語れる部分ですね。
とても参考になります。ありがとうございます。