アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第9話Aパートの後半(山頂の壁到達から、りょう登場まで)について。
過去の記事はこちら。

第9話 Aパート 後半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第9話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
九島の壁の成り立ち

【出典】『ケムリクサ』第9話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
今回はほとんど、この内容になるだろう。
具体的には、
九島の壁は、元々あった壁をヌシが乗っ取ったのか、
それとも、ヌシがゼロから壁を新たに作ったのか、
ということだ。
それぞれを想定して考えてみる。
元々あった壁を乗っ取った場合
「元々あった」とすると、壁を作ったのは船長ワカバしかあり得ない。
しかし、ワカバが九島の山の頂上に壁を作る理由が見当たらない。
これまでの壁は、エリア(各島)の境目に存在している、という法則があった。
この事から、元々エリアを区分けしていた透明な壁を、緊急時に青い壁に変換した、
という考察を、第7話Bパート中盤で、既に説明している。
(唯一、七島の湖を囲む壁だけは、大木を守るために作られたものだろう。)


【図解】各島の壁の成り立ち考察 (再掲)
ワカバは、りりを守るために、七島~一島に壁を形成した。
火事の際に、防火シャッターを下ろすような措置をとったと考えている。
八島以降には、壁の残骸すら見つかっていないことも、これで筋が通るはずだ。
そうすると、九島の山に壁を作る必要性は、全くと言っていいほど無い。
わざわざそんなところに作るくらいなら、八島や十島の境目にも、壁を作っているはずだ。
壁に根を這わせたり、霧を混じらせたりと、見るからに「乗っ取ってる」感じはあるのだが、
「九島の山に、元々壁があった」とするなら、その理由が思い当たらない。

【出典】『ケムリクサ』第9話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
ヌシが壁を作った場合
「ヌシがゼロから壁を作った(模造した)」とすると、理由については問題なくなる。
赤い木と赤虫たちは、「ケムリクサを消す」という行動原理を持っているわけだが、
12話にて赤い木は、自らの身を守るために壁を形成してみせた。
この行動は、赤い木が成長(進化)した結果備わったものなのかもしれないが、
いずれにしろ、「赤い木に防衛本能がある」ということは確かである。
よって、九島に壁を作ったのも、赤い木に近づく者を妨げるため、という理由が考えられる。
九島のヌシは、一旦退いたりんたちを追うこと無く、その場に留まっていたことから見ても、
「守り」に特化して生まれたヌシであることがわかる。
赤霧に汚染される前から、「壁を作ることに特化したヌシ」だった可能性もある。

【出典】『ケムリクサ』第9話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
そんなわけで、ヌシが壁を作った、という線が妥当になるが、
一つ不可解な点はある。
それは、壁の色である。
九島の壁は、ほとんど青い色をしていた。(ベースが青?)
わかば「ここのも変わらずでっかいですね~。」
りん「色が少し…。」
りんが違和感を感じていたとおり、確かに壁の下側に、少し赤が混じっていたが、ほとんど青色だ。

【出典】『ケムリクサ』第9話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
一方で、12話で赤い木が作った壁は、見事なまでに真っ赤であった。
青地に赤が混じっている、というレベルではない。

【出典】『ケムリクサ』第12話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
赤い木が、能力を変質・進化させたのだろうか。
赤霧に汚染されたヌシが作った壁と、
生粋の赤い木が作った壁では、性質が全く異なるのかもしれない。
ヌシが作った壁、と考えるのが妥当
腑に落ちない点はあるものの、理由を考えると、
「九島の壁は、ヌシが新たに作ったもの」と考えるのが妥当だろう。
壁を作る力をどうやって取得したのかは、
先に述べたとおり、ヌシが元々持っていた能力であったか、
赤い木が接触した際に取り込んだか、
というところだろう。

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
根を呼ぶ?
壁の上から、根が伸びてきているように見えるのだが、
これ、上の方はどうなっているのだろう。

【出典】『ケムリクサ』第9話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
壁を破壊した後も、周囲に根は見えないし、この辺は全く謎である。
また、一度呼び寄せた根は、そのまま残るようだ。
わかば「根がずっと光ってる。 霧は退いても、根はそのままか…。」
この辺の性質も色々考察したいところだが、
なにせ一撃で倒してしまったので、考察材料が少なすぎるのである…。
りつは寝ながら見張る
りつ「見張りは任せてにゃ。赤霧か赤虫が出たら、みどりちゃんで知らせるにゃ。」
「任せて」と言いつつ、しっかり寝てるりつ。

【出典】『ケムリクサ』第9話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
みどりの根に覆いかぶさるように寝ているが、
周囲に異変があれば、根が察知して、すぐ目を覚ますのだろう。
警戒心の強い猫は、伏せの体勢のまま浅く眠るらしいが…。
このときのりつは、まさにそんな状態か?
次回、第9話 Bパート 前半!
9話はBパートが本番になるだろう。
次回! りょう登場!

ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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コメント
お疲れさまです。更新ありがとうございます!
富士山山頂の壁はugさんの考察の通り、とりこまれたムシッチorムシジorムシゾウ達の能力を利用したんだと思います。
その壁ですが9話冒頭に富士山のロングショットが描かれています。が青い壁は見えない。
◇青い壁が見えなかったのはなぜか?
壁は山頂付近のみにあって霧で隠れていたから見えなかった?だとすると、5号目辺りを迂回すれば壁を回避できたようにも思えます。が、タガメヌシはりん達の進軍ルートを確認した上で、壁を作ってりん達の前に立ちはだかったのだと思いました。
山の反対側は、赤い根がすでにある程度の高さまでびっしり生えていて、水生生物のタガメヌシは根の一部と共に山頂まで登ってきたんだと思います。なので下山は相当大変だったんじゃないでしょうか。
もしこの想像が正しいとすると、赤い樹はヌシや根を通してフネの中の状況やりん達の動向を知り、対応策を取っていた事になるので、言語化できないだけで ある程度の知性・判断力を持っていた事になりますね。りりのケムリクサ合成能力おそるべし!
それにしてもああ!Aパート最大の見せ場「先に疲れたふりをしてりんを休ませる賢いりな。」が無いッ!(血涙)
◇なぜりなは姉さん達を立てる役回りをするのか?
りながあくまでりん・りつのサポートを優先するのは、分割する際の決意であろう「姉妹を助ける」という気持ちが分割後の行動原理となっているからだと思っています。りりの時と同じように。
ロングショットで壁が見えないのは、確かに謎なんですよね。
他の場所(例えば七島)でも、遠くからは壁が見えていない様子だったので、かなり近づかないと見えづらいものなのかもしれません。
ヌシが山頂まで登ってきていた事実からして、仰るとおり、他の赤虫や根も山頂まで及んでいた可能性も、大いにありますね。
「疲れたふりをするりな」ですかw
作戦会議中に、りなの一人が居眠りしてしまうとこですが、
このりなは、直後のシーンでりつの膝枕で寝てるりなと同一だと思うので、
本気で眠かったんだと思っています。
りなたちは、サポートに徹していますよね。
確かに一人だったときは、前に出たがる面も描かれてましたね(0.6話)。
ここら辺の背景も、スピンオフ的に公式で語ってほしいところではあります。