アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
作品の公開順に追っています。
過去の記事はこちら。
今回は、本編公開前にTwitter上で公開された「0.5話」と「0.6話」です。
0.5話
趣味のアニメ0.5話です #ケムリクサ pic.twitter.com/Z859Szeudp
— たつき/irodori (@irodori7) September 30, 2018
「はじまり」からさらに時間が経った0.5話では、りょくとりんのやり取りが見られる。
自分たちが生まれた「一島」からは、まだ出たことはない。
(以下のセリフは、全て上記の動画「0.5話」から引用したものである。)
りょくは単独行動をしていた。
りん「それ、そんなにおもしろいの?」
りょく「ピギャア!」
りん「大丈夫だよ。私それわからないから。」
りんに声をかけられて驚いていることから、
りょくは単独で探索・調査を行っていたようだ。
これは「はじまり」でも考察したように、「命の危険を感じていない」からだ。
あかむしに出会ったことはなく、あかぎりも近づかなければ問題ない。
ダイダイのケムリクサを起動しているが、
「光らせるのはりくにしかできない」と、「りょくの日記」(第6話)で語っていることから、
りくに頼んで開いてもらって、そのまま一人で遠くまで来たということか。
さらに、驚いたりょくに対し、「大丈夫だよ。」と声をかけるりん。
りょくが一人で密かに何かをやっていることは、わかっている様子だ。
これらのことから、りょくは姉たちとは積極的に関わることは少なく、
自分の世界に入り込みがちだったことが伺える。
9話で登場した際も、
『あんま無駄に葉っぱ使いたくない』と言いながら、
初対面のわかばと関わるのを、さっさとやめようとした。
(実際は、その後わかばに興味を持って、長々と話し続けていたので、
単に初対面のヒトと関わるのがめんどうだっただけのようだ。)
この「単独行動が多い」ことこそ、
りょくが最初の犠牲者になった最大の要因ではないかと考えている。
りょくは「漢字」を解読しようとしていた。
このシーンでは、「危」と書かれた標識を見ながら、満足そうにしている。
りょくは、一島の各地にある看板や標識などを漁って、文字の解読を進めていたようだ。
「無災害運動展開中」と書かれた看板もある。
ちなみにこれは、軍艦島(端島)の当時の記録を元にしているらしい。
0.5話の「無災害運動展開中」
当時の記録に残ってたのねhttps://t.co/X6fHl8Vf6n#ケムリクサ pic.twitter.com/qSGVl32bfw— 非実在羊罪🌱 (@hijituzaihituji) November 29, 2018
「はじまり」の考察でも述べたが、
りょくは、ひらがなで文を書くのは全く問題ないが、漢字を書くことができない。
しかし地道な探索の結果か、「記憶の葉」のことまではわかっていたようなので(第9話)、
最終的にはほとんどの漢字を読めていたのかもしれない。
りょく「文字が読めたら、いろんなこと、わかるんだよ。この世界のこととか…。」
りん「そうなんだ。」
りょく「…たぶん。今はわかんないことだらけだけど…。」
「たぶん」、「今はわかんないことだらけ」と言っていることから、
この時点では、漢字の解読中、だったのだろう。
りょくの「好き」は、「知ること」
りょく「でも、わからないことだらけってことは、
これからたくさん覚えられるってことだからね。最高楽しいじゃん。」
語りながら、顔を輝かせるりょく。
りょくの「好き」は「知ること」、つまり知識欲が旺盛であるということだ。
ちなみに上記の言葉とほとんど同じことを、11話でりりも発言している。
りょくは姉想い
りょく「この便利さと楽しさがわからないなんて、残念な姉ばっかじゃん。」
りん「ああ、頼りに思ってる。」
姉たちを、「残念な姉ばっか」と罵りながらも、どこか心配そうなりょく。
実際、「りょくの日記」(第6話)には、
「ちょくちょくメモでりんさんたちを心配している」ことが書かれていたようなので、
つんけんしながらも、りょくが姉想いであるのは間違いない。
また同時に、知識豊かなりょくが姉たちに頼りにされている。
りんは、ストレートに物言うし、顔にも出やすい
りん「ああ、頼りに思ってる。」
りょく「あんたほんと、ストレートに言うよね…。」
相手を見て、はっきり信頼を伝えるりん。
「ほんと」と加えていることから、こうしたことは度々あったようだ。
本来のりんは、思ったことをはっきり口にするし、顔にも出やすい。
(本人にその自覚は無いようだが。)
それがどうして、本編開始時には真逆な印象になってしまったのかは、
これより後の出来事でわかっていく。
ロゴの葉は、全て彩られている。
最後にロゴが映し出されるが、「リ」の文字に描かれる6枚の葉っぱは、全て彩られている。
覚えておこう。
0.6話
趣味のアニメ0.6話です #ケムリクサ pic.twitter.com/sllyedcArU
— たつき/irodori (@irodori7) October 31, 2018
0.5話からさらに時間が経ち、二島にいる。
(これより先で引用するセリフは、全て上記の動画「0.6話」のものである。)
りょくが死亡する
一島を出て、二島に初上陸したようだが、りょくがいなくなっている。
このとき、単独行動をしていた、という可能性もあるが、
既にあかむしと遭遇済みであり、りんが警戒していた様子から、
そんな状況で単独行動を取らせることは、ありえないだろう。
しかし一方で、りょくの死を悲しんでいる様子でもない。
二島に到達するより前に、りょくはあかむしに襲われ、命を落としたのだろう。
りょくの死は、既に吹っ切れており、りんたちは前へと歩みを進める。
予想:りょくの最期
さて、ここで当時の出来事を推測してみる。
上記のやり取りと合わせて重要となるのは、以下の4点だ。
・りょくは単独行動をしがちだった。(0.5話)
・りょくの「目」は、りんに託されている。(第9話他)
・「りょくの日記」では、壁の仕組みまで正確に認識できていた様子。(第8話)
・過去に穴の空いていない壁を壊した時は、6人がかりだった。
特にりょうが時間かけて壊した。(第7話)
つまり、壁を壊したのは、りょくもいた一島と二島の間のタイミングしかない。
・「りょくのとき」は、「大規模なあかぎり」が発生していた。(第1話)
・「そのうち、毒を使うあかむしが出るかも」とりょくが言っていた。(第2話)
・一島と二島の壁を越えたところで、りなは気合いを入れ、りんは感傷的になる。(第3話)
↑位牌代わりとなるケムリクサをなでる、りん。
これらのことから予想される、りょくの最期はこうだ。
一島を探索中、姉妹は何度か「赤い生物」に遭遇していた。
しかし、小型のものばかりで、別段危険性はない。
虫っぽい(小さい)ので、「あかむし」と呼ぶことにした。(りりの記憶が元になっている)
一島を探索し終えた姉妹は、全員揃って、二島へと渡ろうとしていた。
しかしそこで行く手を阻むのが、壁である。
りょくが色々調べたが、結局力ずくで破壊することになった。
特にりょうが時間をかけて、やっとのことで破壊した。
壁を越えて一行は進むが、その頃既に、足元のあかぎりは濃くなっていた。
壁が無くなり二島が近くなったことで、りょくは自分の好奇心を抑えられず、一人先行してしまう。
一島の平和な暮らしに慣れていたこともあり、
他の5人も、りょくの単独行動はいつものことなので特に慌てることはない。
しかしそこで、りょくはあかぎりから突如現れた大型のあかむしに襲われる。
(大型のあかむしは、この時点でりんたちの知る「あかむし」とはまるで別物で、
そのため0.6話では、「あの赤いやつ」と呼んでいたのだろう。)
あかぎりが濃いことで、りょくの視覚による感知も遅れた。
あかぎり内のあかむしを見つけられるのは、熱を感知できるりくの触覚だけだ。
りょうとりつの二人が先陣を切る(後の「無敵の布陣」)。
戦闘の苦手なりんは、りょくの元に駆け寄る。
りょくは消える寸前、りんに「目」を託す。
なぜなら、人の一部になってでもこの世界のことをもっと知りたいから。
りんに託したのは、自分の「好き」を前に聞いてくれたから(0.5話)。
「目」を渡したりょくは、満足そうに消えていく。
りょくを襲ったあかむしは、りょうとりつが倒した。
第3話にて、一島と二島の壁を越えたところに、大きいあかむしの死骸があったのは、
それではないだろうか。(明度を上げると、確認できる)
壁越えは何度か行っているようであり、
「だいたいいっつも二島でバタバタする」とりつが発言していることもあるので、
このあかむしは、必ずしも最初の壁越えのときのあかむしではないかもしれない。
しかし、初めて二島に到達した0.6話における、りょうの発言。
りょう「あれおもしろかったな~。また一丁、大きいやつこないかな~。」
この口ぶりから、
少なくとも、二島に到達する前に、一度だけ大きいあかむしに遭遇していたであろうことがわかる。
そしてその大きいあかむしに、りょくはやられてしまった。
二島初上陸の思い出
りつ「雰囲気が違ってきこえるにゃ。」
りく「ここ、水あるんじゃねーかな!」
りな「これは楽しみだナ!」
りつは音で、りくは触り心地で、それぞれ二島の新鮮さを感じ取っている。
りなは、はしゃいでいるが、このあと変なものを食べて動けなくなる(笑)。
ついでにこの直前には、りくが上陸していきなりコケたらしい(笑)。
(第3話のりんとりつの会話より)
りん、警戒を強める
りん「あの赤いやつがまた出るかもしれない。注意して動こう。」
りん「私なんて、最近… 怖いことしか無いよ。」
「最近起きた怖いこと」とは、「大きいあかむしの出現」と、「りょくの死」だろう。
りんの表情は、少し険しくなる。
また、りょくの力を取り込んだ影響なのか、襟が少し高くなっている。
りょくが履いていたスカートも引き継いでいる。
前のファスナー(?)も閉じているようだ。
肌を隠す面積が増えているのは、周囲を警戒している心の表れかもしれない。
無敵の布陣
りょう「私とりっちゃんで、無敵の布陣だよ~。ボッコボコだよ~。
りつ「あのむし苦手だにゃ…。」
戦闘狂のりょうが強いのはわかるが、りつと組むと無敵らしい。
本編ではだいぶ弱っていたようで、とても戦闘向きの印象はなかったが、
最終話では、なんと立ち上がり、強気に構えるりつ姉であった。
力を抑えていただけで、本気を出せばりょう並に強いことが、このとき既に示唆されていた。
「苦手」と言っているのは、おそらくりょくを失った悲しみがあるためだと思われる。
りつにとっては、できれば会いたくない敵だ。
りなは戦闘向きじゃない?
りな「今度来たら、りなちゃんが食べてやるナ!」
りく「おめーは後ろがいいんじゃねーかなー?」
りん「うん。」
りょう「大きいのが出たら、逆に食べられちゃうわなー。」
りな「なにーっ!」
りなが張り切るも、前線には出るなと皆に止められる。
この時点では、りなは一番戦闘力が低いようだ。 後方支援向けか?
新しいものを食べるほど、成長して強くなるようだが、
分裂後もりなぞうが真っ先にやられ、
りなこも「初めて一人で大型をやっつけた」と発言しているので(第1話)、
それでも戦闘向きではないのかもしれない。
りんの体は頑丈
りん「すごいね…。一人であっという間だ。」
りょう「そんな頑丈な体でよく言うよ~。
素でやったらりんの方が全然強いんだからね~。」
りんの体は頑丈らしい。
確かに、4話でヌシに襲われたときも、12話で幹に攻撃されたときも、
腕や足を失いつつも、驚異的な回復力を見せている。
↑静止画だとわかりづらいが、このとき既に回復を始めており、数秒で元通りとなる。
確かにこれでは、攻撃力に自信のあるりょうでもお手上げである。
たびたび組み手をしたがっていたようだが、
本気で戦ってもりんなら大丈夫だったからかもしれない。
ヌシと幹のにおい
りょう「もっと強いやつのにおいがするね…。
…さらにうんと奥に、いっちょとんでもないのが。」
りん「勝てそう?」
りょう「全然無理だね! あっはっはっはっはっ!」
大型のあかむしより、もっと強いやつとは、ヌシのことだろう。
本編では、りょうが一回だけヌシをやっつけた、ということになっているので(第3話)、
おそらくこのとき感じ取っていたヌシは、りょうが倒したのだろう。
12話にて、赤い木の幹は、ヌシの能力をコピーして使用してきた。
その中で一つ、一度も見たことがない鉄球のような攻撃があったが、
それが「りょうの倒したヌシ」を模したものだと思われる。
「さらにうんと奥のいっちょとんでもないの」というのは、言わずもがな、幹のことだろう。
りょうが「全然無理」と即答するほどの強さだ。
りょうの「好き」は、「試行錯誤」・「鍛錬」
りょう「これはどう?こっちは?って、いろいろ試しているうちに、
自分のことがわかる気がするんだよね~。」
りょうが顔を輝かせて語るのは、「障害に対して色々試すこと」の楽しさ。
実は筆者も武道をやっているので、この気持ちは凄くよくわかります。
一言にするなら「試行錯誤」、
あるいは「自分を高めること」も含まれるので、「鍛錬」とも言えよう。
鉄パイプ片手のりょうは、まるで刀で戦う武人のようだ。
ロゴの葉が一枚、色を失う。
よーく見ないとわからないが、左下の小さい葉の色が無くなっている。
りょくの死を表している。
次回、0.7話から
0.5話と0.6話、分けようかと思ったが、まとめて載せることにした。
(しかしやっぱり多いな…。)
次回は、0.7話から。
引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。
コメント
はじまり~0.5話で背景の太陽みたいに輝いているのは、七島の『みどりちゃん』と同じ木ですね。
この頃は枯れずに『赤木さん』に対抗していたのでしょう。
それが輝きを失うと共に『みどりちゃん』と同じ木は枯れてしまったのか。
なるほど。そういう考え方もありですね。