『からくりサーカス』、20年の時を経てアニメ化されました。
作者の”藤田和日郎“氏は、2018年現在も、現役で連載を続けております。
2016年から連載している『双亡亭壊すべし』について、
まだ読んだこともない人にオススメしたいと思います。
どんな漫画?
第一話は、公式で試し読みできます。冒頭はちょいホラー要素あり。
『双亡亭』ってなに?
「よくわからんが、変わったタイトルだなあ…。」
と思うだろう。
実際、私もそう思った。
だがはっきりわかる。「“双亡亭“を壊そうとする漫画なんだな!」
『双亡亭』とは、簡単に言うと”お化け屋敷“です。
これは冒頭ですぐにわかります。
【出典】双亡亭壊すべし(第6巻)/藤田和日郎
双亡亭の外観。かなり広い。
もちろんただの”お化け屋敷”ではなく、
近隣住民から、遠い地の霊能力者から、
果ては歴代総理大臣、半世紀前の行方不明者などなど、
皆口々に『壊すべし』と言わしめる、”ヤバいお化け屋敷“です。
一体何がそんなにヤバいのか。
その原因や真相は、物語を進めるうちに明らかになっていきます。
そこはお楽しみに。
個性的すぎる登場人物たち
『壊すべし』と意気込む人たちは、ほとんど面識があるわけではなく、
各々使命感を持って、現地にたどり着くわけです。
「やらなくては!」と思って来てみたら、
「え?お前も?」
「いや俺こそがやるのだ。」
「いやいや私が」
と、続々と似たような使命の人が自分の前に現れるわけです。
どんだけやべー屋敷なんだ。
しかも集まる人みんな個性が強すぎるというか、我が強すぎるというか、
奇人変人のオンパレード。
日本一の霊力を持ち小刀で戦う巫女さん、
手がドリルになるカタコトで青髪の身元不明の子供、
【出典】双亡亭壊すべし(第1巻)/藤田和日郎
理論派と思いきや電撃アームで暴れるブチギレ博士、
【出典】双亡亭壊すべし(第6巻)/藤田和日郎
華奢だが巨大な物質を転送できちゃう北欧系美少女、
【出典】双亡亭壊すべし(第3巻)/藤田和日郎
屈強な旦那が押す車椅子に座りながら、抱える人形の口から火炎を発射するおばあちゃん、
【出典】双亡亭壊すべし(第6巻)/藤田和日郎
殺意に目覚めた小学生、
【出典】双亡亭壊すべし(第1巻)/藤田和日郎
…などなど、まあ濃いこと濃いこと。世界各国、老若男女、幅広い人材です。
ほぼ全員が、全く違う系統のぶっとんだ能力を持っているわけですが、
この際その発祥とか起源とかは、深く語りもせず、
とにかく集まってます。
細けえこたぁいいから、壊すべし。
この潔さ、なかなかいいです。
なお『双亡亭』に入った後も、
全身包帯だらけの昭和初期の軍人やら、
舌で空間を感じ取る人見知りの黒子やら、
さらに濃いのが増えます。
【出典】双亡亭壊すべし(第7巻)/藤田和日郎
なのに主人公は、売れない絵描き?
これだけ濃い衆が揃っていながら、主人公は何者なのかというと…
屋敷の隣に住んでただけの、なんの力もない絵描き です。
しかもボロアパートの家賃を滞納する売れない絵描き。
腕っぷしが強いわけでもない。
【出典】双亡亭壊すべし(第1巻)/藤田和日郎
なぜこの絵描きが、双亡亭を壊す異能力バトルに巻き込まれてしまうのか!
実はこの物語、「絵」が非常に重要なキーワードとなります。
双亡亭を建てた人物が、画家であることがわかっているのです。
【出典】双亡亭壊すべし(第2巻)/藤田和日郎
双亡亭内でも、「絵」が登場します。
なんの絵なのか、どんな絵なのか、ただの絵なのか?
【出典】双亡亭壊すべし(第2巻)/藤田和日郎
ともかく驚異となる「絵」に対し、
他の異能力者たちには成し得なかったことを、この冴えない絵描きがやってくれるのです。
やはり、藤田和日郎氏の描く主人公。
ただの絵描きで終わるはずはなく、物語の中心となって活躍していきます。
最初は頼りないけど、段々とその存在は大きなものになっていきます。
【出典】双亡亭壊すべし(第10巻)/藤田和日郎
一般人だからこそ響く言葉がある。
安定の”藤田和日郎ワールド”が楽しめる
いつもどおり、”生き様”を見せつけてくれる
この記事を読んでくれている方は、
『からくりサーカス』にしろ、『うしおととら』にしろ、
藤田和日郎氏の作品を「おもしろい」と感じた者が多数なのだと思います。
どんなところが面白かったのでしょう。
私は、登場人物たちの屈強な意志、力強い言葉、迷いのない行動、
そういうカッコいい生き様を見せてくれるところに、惹かれましたね。
【出典】からくりサーカス(第1巻)/藤田和日郎
『双亡亭壊すべし』においても、やはりそこは見どころです。
『双亡亭』の中はもう絶望の塊。
絶望!絶望!絶望!
また絶望!
それでも倒れず、進み続ける!
こんな怖い目にあって、まだやるのか!
そこまでやれるのは、どうしてなんだ!
そんな濃いテンションが、ずっと続きます。
絶望に屈しない生き様を、思う存分見せられて下さい。
【出典】双亡亭壊すべし(第6巻)/藤田和日郎
謎が広がりまくるが、焦点はブレない
壮大な世界観や伏線の数々も、氏の作品の魅力だと思います。
広げまくった風呂敷を、なんとか畳みきる!
謎だらけの『双亡亭』でも、物語が進むほどに、さらに謎が謎を呼びまくるわけです。
なにせ、舞台だけでなく、登場人物も謎だらけですから。
疑問と驚愕が連続し、やがて全てが収束していく。
この「風呂敷を畳む爽快感」というのか、それは今作でも健在です。
特徴的なのは、『双亡亭壊すべし』の一点に収束するのを重視しているところでしょうか。
先ほど登場人物の件でも語りましたが、
「異能力が身についた”過去“とか”理由“」とかにはあまりこだわらず、
「どうして双亡亭を壊したいのか、壊さなければいけないのか」に深く触れているように思います。
そのためか、読んでいても焦点があまりブレず、一つの目的に集中できます。
【出典】双亡亭壊すべし(第6巻)/藤田和日郎
気になったらとにかく読むべし
謎だらけの漫画で、最初は戸惑うかもしれませんが、
「恐怖に負けることなく立ち向かう」という少年漫画らしい主軸は、はっきりしていると思います。
【出典】双亡亭壊すべし(第3巻)/藤田和日郎
気になった方は、まずは3巻あたりまで読めば、どんどんおもしろくなってくると思います。
ぜひご一読下さい。
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