アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
今回は、3話ラストが初のお披露目となった、ケムリクサのエンディング(ED)について。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
過去の記事はこちら。
エンディング(第3話~第10話)
エンディングの楽曲は、
アーティスト:ゆうゆによる『INDETERMINATE UNIVERSE』
である。
映像
四枚の葉
イントロと同時に、背景にうっすらと葉が映し出され、
音楽に合わせて、計4枚の葉(ケムリクサ)に切り替わる。
11話のEDから見るに、これらは、
りりがりんたちを生み出すのに使用したケムリクサである、
とするのが妥当である。
それぞれ、何の葉なのかが気になるところだ。
下の画像が、私の推測である。
(左から順に切り替わる)
この考えに至るまでの経緯を、詳しく述べていこう。
1枚目と4枚目
「記憶の葉」と「本体の葉」は、同じタンポポ型の葉の形を持つ。
なぜ同じ形なのかは、この考察を読んでいけばわかるので、
とりあえずここでは、二つは同じ形の別の葉である、という前提で進めていこう。
まず、1枚目と4枚目の、どっちがどっちなのか、だが、
4枚目の葉から、りんたちが現れる表現になっているで、
1枚目が、りりの記憶の葉、
4枚目が、りんたち本体の葉である、と判断した。
1~3枚目の葉が合わさり、4枚目の葉が出来上がった、とも言える。
2枚目
2枚目は、カエデ型の葉。
この形の葉は、実は1話から登場している。
と言っても、葉そのものではない。
りんが、みどりの葉を使い、パンチ力(グローブ)を強化するときに、
体に葉の模様が浮き出ている。
4話で小型のあかむしを殴る際も、同じ葉の模様が見える。
パンチに限らず、みどりの弾を投げつけたときにも、
同様の模様が見える。
このときは、りんの体内でみどりの葉が光っており、
体にカエデの葉の模様が浮き出ている。
これらは、
カエデ型の葉は「強化」を象徴している、
と受け取れないだろうか。
機能的にも考えてみた
そもそも、「修復する・治す」という効果であるはずの「ミドリイロのケムリクサ」で、
なぜ身体能力が強化されているのか?
これはずっと疑問だった。
みどりの葉を、刃や弾にして直接あかむしを攻撃するのは、
赤いケムリクサの「(ケムリクサを)消す・無くする」という効果に対して、
反作用して打ち消し合っているものだと解釈できるので、それで良いが、
りんたちに使用した場合は、本来の「回復」ではなく、「強化」が施される。
あかむしへの攻撃に限らず、視力や聴力の強化もできているのだ。
そこで、みどりの葉を使用したときに浮き出るカエデ型の葉が、
「強化」の機能を持つと仮定して、次のように考えてみた。
みどりの葉は、
りんたちを潜在的に構成する
「強化の葉」を修復しているのではないか。
修復された「強化の葉」は、りんたちの身体能力を強化させ、
その後また消耗した状態に戻る。
本体の葉を消耗させることはなく、
みどりで修復すれば、何度でも強化の効果は使い回せる。
これが、みどりの葉を使うときに、
体にカエデ型の葉が浮き出る要因なのではないだろうか。
というわけで、かなり話が広がってしまったが、
以上が、
2枚目の葉が、「強化の葉」である、
という結論にたどり着いた経緯である。
3枚目
ハートを逆さにしたような、ドクダミ型の葉。
これは、迷わず「分割の葉」とした。
というのも、りなを分身させた「モモちゃん」と、形も葉脈も似ているからだ。
りなをそっくりそのままコピーして増やした「モモちゃん」と、
りりとは似つかない六姉妹を生み出した「分割の葉」は、
性質は近いが、機能としては全然違うようだ。
「りりをコピーする」のではなく、「りりを元にした大人を生み出す」ためには、
「分割」の過程が必要だったのだろう。
既に肉体が形成されているりり自身に、「強化の葉」を使用しても、
おそらく身体能力を強化させるだけだが、
自分を分割し、体が形成途中の葉に対しての使用は、「成長」として作用するのかもしれない。
そうして、分割後のりりを大人にした6人が生まれた。
抽出の葉は?
4枚目の解説に行く前に、避けては通れないのが、
人間であるりりを、ケムリクサ状態にしたという、
「抽出の葉」。
私は最初、2枚目のカエデ型の葉が「抽出の葉」だと考えたのだが、
上述の通り、りんがパンチするときに「抽出の葉」が見えるのはおかしい、
と判断し、考え直した。
では、「抽出の葉」は、一体どれなのか?
11話のエンディングのシルエットで、
りりが散る前に持っていた葉が、それではないか。
シルエットは抽象的であり、断定はできない。
だが、11話のシルエットの流れに素直に従えば、
りりは、この葉を使って自分をケムリクサ化し、
それから、「連続して3枚」のケムリクサを適用していったと、推測される。
11話でりりは、
「前にワカバの言ってた、プリント前に抽出してるクサ」
と発言していた。
ということは、
「抽出の葉」だけは、元々存在していた
という可能性がある。
りりが自己流で作り出した3枚の葉は、抽出後の自分に適用するためのものだった。
考えてみれば、りんたちの形成には、「抽出後のりり」は必要だが、
「抽出する」機能そのものは、全くもって必要ない。
つまり、
エンディングの最初に映る4枚の葉の中に、
「抽出の葉」は存在しない。
「抽出後のりり」の受け皿となるのが、1枚目の「記憶の葉」だったのだろう。
11話のシルエットでも、3枚の中心にあるあたり、
この「りりの記憶の葉」を中核に、
「分割」と「強化」を適用させた。
だから、
完成した4枚目の「本体の葉」は、
元となる「記憶の葉」の形をしていた。
まとめと補足
以上の事から、最初に挙げた通り、
イントロの四枚の葉は、下の画像の通りとなるという結論に至った。
少し腑に落ちないのが、
この表示の順番だと、
「記憶の葉に対し、強化を与え、さらに分割することで、本体の葉を増産した」
ということになる。
記憶→強化→分割→本体、ということだ。
しかし12話でりりは、
「抽出から分割、(略) 薄くなったところに強化」
と発言しているので、順番的には、
記憶→分割→強化→本体
となるほうが、しっくりくる。
11話のEDでは、
記憶の葉に、強化と分割が同時に合わさっている表現だし、
順番はあまり気にしなくてもいいのかもしれない。
半分同士を合わせた場合は、「上から順番に動く」とも言っていたが、
「強化」や「分割」の形が、「記憶の葉」に影響している様子も無いようだ。
「連続で3枚」という言い方からも、
3枚がほとんど同時に作用していることを示唆しているのではないか。
つまり、
(抽出)→記憶・分割・強化→本体
ということで、とりあえず自分の中では納得した。
六姉妹のシルエット
真ん中の葉から、六姉妹のシルエットが左右に広がる。
左から降順で、長女のりょうから、末女のりょくが並ぶ。
また、各シルエットには、垂直線が重なっており、
これがどこかに繋がっていることを表しているのかは不明だが、
各々の生命線のようなものであるようだ。
シルエットが散ったときに、垂直線も同時に消えてしまうからだ。
垂直線の太さは、「戦う力」
生命線といったが、
その太さについては、「強さの指標」を表していると思われる。
「強さ」といっても、体力的なものではなく、「戦う力」、
ほとんど「攻撃力」と同義と思ってもよい。
生まれたての6人は、全員太さも均一であり、
それぞれが、それぞれの戦力を持っている、ということになるだろう。
やがて状況が苛烈になったことが影響してか、
りなたちは6人に増えて、並列行動が可能となり、
りつはみどりの木と融合し、広範囲の索敵が可能となった。
しかし、りな一人一人の戦力は、六等分され、
りつも自分自身の戦力は落ち、ろくに戦えなくなった。
そのため、りなとりつの垂直線は、後半細くなる。
ついでにいうと、わかばは最初から細い。
防御力は高いが、攻撃力は低いのだ。
「生命力」ではない
とはいえ、初見では垂直線の太さは、
「生命力」や「寿命」を表しているように捉えるのが普通だろう。
私もそうだった。
しかし、それを覆したのが、
12話にて、りつたちが大型あかむしと戦い抜いたシーンだ。
りつは、みどりの木との融合を解除、
りなは、分身を一人に統合、
すなわち、誕生時と同じ状態に戻ったことで、
強大な戦力を取り戻したかのようであった。
「太さ」=「戦力」の推測が正しければ、
りつとりなは、それぞれがりんと同等の強さを持っていたことになる。
確かに、ヌシ化したシロがいたとしても、
それくらいないと、あの大群を倒せはしないだろう。
背景のオブジェ
曲とともに、グルグル回りだす背景のオブジェ。
何やら、ビルやらジェットコースターやら、橋やらBWEやら、
作中で登場する廃墟が、ギュッと押し込められたかのようなオブジェだ。
これは、作中の世界そのものを象徴しているのだろう。
では、それが回転したり停止したりするのは、何を表しているのか。
回転と停止
まず、回転が突然停止するタイミングは、
りくのシルエットが散る直前だ。
このときに該当するシーンは、0.8話となる。
そこで注目すべきは、りんの心境。
「新しいところに進むのをやめよう」
と、りくに提案していた。
そして、再びオブジェが回りだすタイミングは、
わかばのシルエットが登場したのと、ほぼ同時だ。
わかばが現れたことで起きた、りんの心境の変化は、
2話の「新しいものが見つかるかも」という発言から、わかるだろう。
つまり、このオブジェの回転は、
りんの「世界に対する興味・関心」、「新しきへ進む力」、「未来への希望」、
そういったものを表していると思われる。
前向きに進んでいけば、
目の前の世界は動き出す!
おしまい
姉妹(とわかば)のシルエットは閉じて消え、
閉じた中心から、燻る。(煙があがる)
最後には、背景のオブジェも散って消える。
まるで、りんたちの命の炎が消え、世界も崩壊することを暗示しているかのようだ。
まあ、そんなことは無かったわけだが…。
ということはこれは、
りんたちの物語と、世界の行く末を見ている視聴者に対する、
「今回はこれにておしまい」、という区切りを示している、
といったところか。
歌詞
作中のあらゆる立場に当てはまる、とても素晴らしい歌詞である。
ここでは、りり視点と、りん視点の二つに焦点を絞って、
私の解釈を、箇条書き的に示していく。
Aメロ
赤い赤い その血潮に浮かび上がる
人と ヒトならざる者達の 不協和音
いま 夜明け前
【出典】『INDETERMINATE UNIVERSE』(アーティスト:ゆうゆ feat ケムリクサ)
りりと六姉妹
「夜明け前」は、りんたち六姉妹の生命の「朝」が始まる前の時間。11話。
「赤い血潮」は、りりの決意が燃え上がる比喩。
そこから生まれた「ヒトならざる者達」とは、六姉妹。
「人」であるりりと、六姉妹の生きる目的は、「不協和音」のように噛み合わない。
りんたちの生き様
「赤」といえば、作中では「あかぎり」「あかむし」など、危険物を想起させる。
ケムリクサ世界を、上空高くから見下ろすイメージをしてみてほしい。
「赤」に埋め尽くされつつある世界は、まるで「血潮」が広がっているようだ。
そしてその中で、りんたち異物が抗っている。
崩壊していく世界と調和しようとしない、「不協和音」。
Bメロ
もう一度 あの日の景色 横顔
届かない隣で キミがいつも通り笑う
【出典】『INDETERMINATE UNIVERSE』(アーティスト:ゆうゆ feat ケムリクサ)
りりと、心の中のワカバ
「もう一度」という願いは、
「会えないのはもっと嫌だ」と確信したりりのもの。
「横顔」「キミ」は、唯一の拠り所である、大好きなワカバ。
「届かない隣」とは、りりの心の中。
そこで思い出されるのは、「いつも通り笑う」ワカバ。
まさに、11話EDのシルエットは、それを表現しているかのようだ。
りんと、死んでいく姉妹
「あの日の景色 横顔」は、りんが他の姉妹の「好き」を聞いたときの状況。
「キミ」とは、今はもういない姉妹。
いつも並んで「景色」を見ながら、りんは、みんなのキラキラ輝く「横顔」を見ていた。
「届かない隣」とは、姉妹が死にゆく場所。
りんのすぐ側で消えていくのに、りんはそこには行けない。
みんな「いつも通り笑い」ながら、消えていった。
サビ
ボクらは願い 夢を繋いだ
見えない霧の中で
なのに世界は嘘だらけ 決意揺らいで
キミが遺した優しい歌を 見失わないように
どうか明日も
【出典】『INDETERMINATE UNIVERSE』(アーティスト:ゆうゆ feat ケムリクサ)
りりの絶望
「ボクら」とは、りりたち。りりと六姉妹を合わせて、りりたち。
「願い」から六姉妹が今まさに生まれようとしており、
ワカバを助けるという「夢を繋いだ」。
「見えない霧の中で」もがくように、ただガムシャラに行動した。
しかし、ワカバの死を確信してしまう。
「嘘」のような現実に、「決意が揺らぐ」。
りりは生きるのを諦めた。
「キミが遺した優しい歌」とは、ワカバの最後の言葉。
「好きなことして楽しく生きて」。
これから生まれてくる子達は、「どうか明日も」それを「見失わないように」。
そう願うりりは、「好きに生きて」と言い残し、消えていく。
りんの希望
「ボクら」とは、りんたち。
「見えない霧の中」とは、あかぎりに覆われた絶望的な世界。
「願い」「夢を繋ぐ」ように、それぞれの「好き」に従い、新しい島へと進んでいった。
しかし、次々死んでいく姉妹。
「嘘」のような展開に絶望し、新しいところへ進む「決意は揺らぐ」。
姉妹はみんな、同じ言葉を「遺して」いく。
「好きに生きるといい」という、「優しい歌」。
それを「見失わないように」、りんは新たに旅立ちを決意し、物語が動き出す。
余談
歌詞考察、いかがだったろうか。
最初にも述べたが、色々な解釈があると思うので、
これらは一つの参考程度に留めておいてほしい。
ちなみに例のMADでは、上記りり視点の解釈で作成している。
作中に登場した、1番の歌詞のみ考察したが、
要望があれば、そのうち全歌詞の考察もしようと思う。
11話、12話のエンディング映像考察は、そのときに
11話のエンディング導入部については、
今回の考察でもかなり取り上げたので、ほとんど同じ内容の考察になりそうだ。
12話は、大きく変化するので、それまで楽しみにしていて欲しい。
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
もしよければ、右のプロフィールや、記事下のフォローボタンを押してもらえると、タスカル。
筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。
コメント
更新お疲れさまです。
今回もugさんの考察に、驚きと新しい視点をいただきながら拝見しております。
大好きなエンディングの考察との事で、コメント致しました。
カエデの葉がりんの身体に映っていたのは気づきませんでした。
Ugさんの考察で、いつも新たな発見に驚かされます。
カエデの強化の葉は、身体の葉と同じく6つに分割されて、
姉妹みなが持っているのかもしれませんね。
で、りょくの眼はカエデの葉を渡す事で りんに継承されたかも知れないです。
りょうやりくの能力は、本体消滅より前にカエデの葉も使い切ったので
継承されていないとか。
りりのシルエットが持っている(抽出の)葉ですが、11話でワカバやりりが
自分の前に広げてた葉の中にあったマゼンダ色のヤツが、形的にそうなんでしょうか。
ところで、エンディングの歌詞ですが、もちろんUgさんの考察の通りに聞こえますが、
ぼくら=監督たち作り手、きみ=作り手のファン達 として
筆を折る程の絶望からの、それでも作品をつくり続ける決意の歌 とみると、
この新しい作品に出会えてよかったと、涙なしには聞けず胸が苦しかったです。
もちろん映像としては5話以降、りつさんの線が細いのが気になり過ぎて、
1週間待つ間「死なないで!太くなって!」とやきもきしてましたww
長文失礼いたしました。
ありがとうございます。
私もエンディング大好きです。
カエデの葉がなんなのか、ずっと気になっていたのですが、今回の考察で、このような結論に至りました。
作中では、りんの体にしか映し出されないのですが、
姉妹全員が実は持っている、っていうの、いいですね!
3話でりなが言っていた、「りんが持っている”りょくちゃんの”葉」というのが、なんなのかわからないままなのですが、
りょくの目を強化していたカエデの葉かもしれない…!?
いやしかし、りょうから受け継いだグローブを使用するときにもカエデの葉が現れるが、「りょうちゃんの葉」を受け継いだわけではなさそうで…。
そもそもりょうの能力は、グローブは関係なく、嗅覚だしなあ…。
とまあ、また新たな考えがごちゃごちゃしてきました。 そのうちこれもまとまってくれば良いな、と思います。
マゼンタの葉は、りなの持っていた「モモちゃん」と形がほとんど一致するので、それだと思っています。
歌詞の件、実はそれも考えついたものの一つに、それもありました!
ですが、ここでは物語ベースで考察したものを書くべきだと思い、封印しておきました(笑)。
コメントで言ってもらえて良かったです。
りつの線が細いのは、目に見える死亡フラグでしたからねえ。
4話で死んでしまうのかと、ハラハラしてました。
長文、どんと来いです。
このサイトに毎日訪れては、更新を楽しみにしているものです!素晴らしい解釈、考察で胸が踊ります!
カエデの葉がりんの身体に映っていたのはこの記事で初めて知りました。カエデの葉の考察は結構いろんな説が出てきてそうですが、この解釈が自分もしっくりきたと思います!
エンディングの歌詞もリリ視点なんだろうな〜と思ってましたが、なるほど、リンたち視点でも当てはめられるのか!と感激しました。ホントいい歌詞ですね〜
これからも体調だけにはお気をつけて無理をせず更新してください!毎日楽しみにしています。
ありがとうございます!
共感を頂けるのは、励みになります。
歌詞は結構こじつけかもしれませんが、こじつけでも、そう感じたならそれでヨシ! ということで。
なぜか数人の方から体調を心配されているのですが…(笑)、突発的な事故がない限り、私は元気です。
今後もお楽しみに。