アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第2話Bパートの中盤(拠点帰還から旅立ち準備完了まで)について。
過去の記事はこちら。
第2話 Bパート 中盤
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第2話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
足音に耳が反応するりつ
近づいてくる足音に、りつの耳が反応する。
鋭い聴覚で、りんとわかばの足音が聞き分けられているようだ。
足音に全く警戒している様子がない。
わかばが突然現れた直後で、
普通ならば、他にもヒト型が存在する可能性を考えるだろう。
周囲が敵だらけの環境なら、なおさらだ。
変形させられるケムリクサ
みどりの根っこを自在に操り、電車の窓からそのまま出てくるりつ。
一応、他のシーンでは電車の扉が開いていることもあるので、
窓から出てくる必要はないのだが…。
とにかく、「変形」が自在なみどりの根っこ。
また、採ってきたキイロの葉も、合わせてリング状にして、ひとまとめで持ち運んでいる。
これもある種、「変形」といえるか。
みどりに限らず、「変形」はケムリクサにとって容易なのかもしれない。
わかばへの警戒はほとんど無くなったが、毒は心配
りん「今のところ害は無い… と、思う…。」
2話開始時は、わかばを「敵だが弱い」と認識をしていたりんだが、
戻ってからは、「敵ではないらしい」くらいになっている。
道のりはまだ長い。
「と、思う…。」と言いながら顔を触っているので、
また「毒」の症状が再度表れたことを、気にしている。
ケムリクサの発光を音で察知するりつ
りつ「……? わかば君、それ…腰のところ、何持ってるのにゃ?」
ケムリクサ発光中は、何かしらの音を発しているようだが、
持っているわかばが気づかない程度。
わかばは、触覚、嗅覚も人並みに持ち合わせてはいるが、
発光中は、そのどちらでも感知できなかったようだ。
りつの知る、これまでの「明るさが変わるケムリクサ」
りつ「へーえ。みどりちゃん以外で、明るさが変わるのは、珍しいにゃあ。」
これまでりつたちが見た「明るさが変わるケムリクサ」は、
りょくが日記にしていた「ダイダイ」、
それからりくが痺れたりしたという(0.8話)「電撃系のケムリクサ」、
りなが分身したときの「モモちゃん」、
くらいだったのだろう。
しかし、本来ほとんどのケムリクサは、
触れて明るさ(出力)を変化させられる特性を持ち合わせている。
りく(触覚に長けたもの)がいなくなっては、それを知るすべがなかった。
わかばの知る、これまでの「ケムリクサ」
わかば「あの…! 持ってて大丈夫ですか、これ!?
爆発したりしませんよね!?」
この時点のわかばにとって、
ケムリクサ=りんさんが扱う爆発物
という印象が強いのだろう。
光りだしたケムリクサを使っているのを見たのが、
1話後半の大型あかむしに対してと、
2話前半で、小型あかむしと自分に対して撃たれたときだけだからだ。
(1話で自分に撃たれたときは、撃たれたことにも気づいていなかった)
わかばにとっては、ケムリクサが光りだすのは、
手榴弾のピンが抜けた感覚に近かったと言えよう。
ところで、
誰かわかばの問いに返答してあげろ(笑)。
りつは色を判別できない
りつ「りん、何色なのにゃ?」
りん「青に見える。使ったことのない色だ。」
りつ「すごいにゃあ! 新しい色なんて、いつぶりかにゃあ。」
発光色を、りんに問うりつ。
ということは、りつは視覚で色を判別できない、ということだ。
あかむしやあかぎりも、色ではなく「音」で判別しているのだろう。
また、りんに訊いていることから、視力に長けたりんだけが、色を判別できると推測できる。
りなも、名前として「あかむし」や「しろいの」と把握してはいるが、
色を判別した様子は、作中で見られない。
りつもりなも、「明るさ」は認識できている。
ケムリクサが一定時間で消えることは知っている
わかば「あれ? 消えちゃいました。 ええ~!?」
りつ「そういうものだにゃあ。」
ケムリクサの発光が一定時間で消えたことには、特に驚かないりつ。
りょくのダイダイなどで、過去に見てきているのだろう。
わかばとりな
「わかば」と呼び始めたりな
りなじ「わかばは何も知らないんだナー。」
りなはわかばのことを、これまで「コイツ」と呼んでいたが、
ここで初めて「わかば」と呼ぶようになる。
ちなみに、りつが「わかばくん」と親しみを持って呼び始めるのは、
1話で、わかばがりなよを助けた直後からだ。
空気の読めるりなは、
りんやりつが警戒を解きつつあるのを、察したのかもしれない。
お姉さん面するりな
現在末っ子となるりなは、わかばに「お姉さん面」し始める。
りなっち「しょうがないナ~。りな姉さんが色々教えてやるナ!」
りなよ「しょうがないナ~。」
りなの実妹にあたるりょくは、姉妹の中のブレインとして、姉たちに色々知識を教えていた。
りな唯一の妹に逆に色々教わっていたという立場から、
姉として色々教えてあげることに、憧れを持っていたのかもしれない。
りょくとりなが、実際どういうやり取りをするのか、
非常に気になる。
りょくが生きていたのは、りな分裂前なので、
今のりなは、りょくのことをほとんど覚えていないのだ。
わかばの言葉、りんの反応
どこかで聞いた、わかばの言葉
わかば「でも、何も知らないってことは、
新しいことをたくさん覚えられるので、最高に楽しいです!」
りん「……!」
わかばの言葉に、何かを感じたりん。
これとほとんど同じ言葉を、過去にも聞いているのだ。
それは0.5話の考察でも少し触れた。
りょくが、りんに自分の「好き」について語ったときの言葉だ。
これは、まだ一島から出たことが無かったときのこと。
りょくの、「新しいものへの好奇心」は、姉妹の中でも最も強かったが、
当時は姉妹の誰もが、島外に興味を持っていたのは、
「はじまり」を見ればわかる。
確かに島外に出たことで、りょくを始め、姉妹たちは命を落とした。
だが、それで「新しく得られたもの」も、確かにあった。
りんもそれはもちろん知っているし、
それはついさっき、わかばに説明したばかりだ。
りんがこのとき、思い出せたのは、
その「新しいもの」がみんなの「楽しいこと」、
すなわち「好き」に繋がっていたんだ、
ということだろう。
さらに辿るルーツ
そして、りょくのこの言葉のルーツは、さらに時を遡る。
りょくの母体である、りりが言っていた言葉だ。(11話)
直接的には、りんはりょくの言葉を思い出した、と先に述べたが、
もしかしたら、このときりんが感じた「なにか」には、
りんの「記憶の葉」の中に潜在的に残っていたりりの意識も、関係していたかもしれない。
0.5話でりょくから聞いたときには、何も覚えはなかったようだが、
このときは「記憶の葉」はりょうが持っていたからだろう。
ここでわかばから改めて聞いたことで、
さらに心に響くものがあったのかもしれない。
つまり、りんにとって、このときのわかばの言葉は、
「二重に心に響いてくる言葉」だったかもしれない、
ということだ。
このりりの言葉も、実は船長ワカバからの受け売りなのかもしれない。
子供が扱えないケムリクサに不満を感じたりりを諭すために、
ワカバがそう教えてあげた、
とも考えられる。
元々ワカバの持論だからこそ、このとき、
わかばからも自然とこの言葉が出てきた
のかもしれない。
そしてこの言葉をきっかけに、りんは旅立ちを決意する。
りん「姉さん…。」
りつ「ん…?」
りん「外に行こう。」
りつ「何か… 見えたのかにゃ?」
りん「いや…何も…。 だけど!もう一回やってみよう!
何か状況が変わっているかも!」
決意に、具体的な決め手などなく、ただ
「気持ちを前に進められた」
というだけだ。
そのきっかけが、「わかばの言葉」だった。
りりとワカバの遠い過去の記憶が、
りんとわかばの間で想起され、
それが全てを救う旅立ちのきっかけになったとしたら、
なんと奇跡的な瞬間なのだろう。
2周目以降に、とても染みるシーンである。
りんの判断に嬉しそうなりつ
りんの判断を聞いて、一瞬驚くが、嬉しそうなりつ。
単に、りつが提案した旅立ちを肯定してくれたから、とも受け取れるが、
もう一つ理由があるのではないか。
このときのりんの表情は、柔らかくなっているのだ。
10話において、りつは
「わかばに会ってから、りんの表情が柔らかくなった」と言っていた。
2話のこの時点で、それを感じていたのだろう。
りつやりなと話しているときは柔らかい表情をしている、というわけではない。
ここまでいかなるときも、りんの表情は強張ったままだった。
眉毛の角度を見比べてもらえばわかる。
りんが旅立つ決意をしてくれたことと、
りんの柔らかい顔を久々に見ることができたことで、
りつは二重に驚きと喜びを見せたのだろう。
勢いに乗っかるりな
りつ「りなちゃん!準備するにゃー!」
りな「どしたのナ?」「よくわかんないけど、はいナー!」
疑問符が付きながらも、既にノリノリな、りな。
よくわかんないけど、ノる!
例えるなら、
突如現れたストリートミュージシャンの奏でるイントロで、いきなり踊りだすようなノリの良さだ。
さすが公認ムードーメーカー。
旅立ちの準備
根っこ回収
りな「わっせ わっせ よいせ よいせ」
このときのりなたちが、何をやっていたのかわからない。
何かを引っ張っている?
電車から伸びた、みどりの根っこを引っ張っているように見えるが、
索敵用に島中に伸ばしていた根っこを、手作業で回収しているのだろうか?
あるいは、この後、「水(槽)もしっかりくくってある」と発言していることから、
使い古した根っこを、水槽を固定するために使用したとか?
ライトの明度を調整
りん「これぐらい?」
りつ「バッチリにゃあ!」
電車前方に固定するライトの明かりを柱に当てて、明度をりつに確認してもらっている。
先に述べたように、りつは色は判別できないため、
視覚においては明るさが重要となる。
音だけを頼りに運転すると、「大雑把」になるのかもしれない。
少なくとも1日経過している
島の風景が、暗くなり、その後明るくなる描写から、
このとき夜から朝になったのだろう。
ここで少なくとも、1日が経過していることがわかる。
また、それより前に、
電車内で眠るりなたち、
さらに、
りなたちがいなくなった後に、座って結晶(位牌)を眺めるりん、が見られる。
もしかしたら、これらは数日の間の出来事なのかもしれない。
Aパートで、「5日くらいはどっちにも動ける」と言っていたが、
りんが思ったより早く決断したため、
旅立ちの準備を、数日使って入念に行った可能性はある。
三島まで水が残ってないのがわかるのは、なぜ?
りん「三島までは、もう水は残ってないから、
橋を渡って四島を目指そう。」
三島まで水が残っていない、ということがわかっているのは、
全てを探索し尽くしたか、
あるいは、りくかアイイロのケムリクサ(あいちゃん)の水感知能力によるもので、
おそらく後者だろう。
地図を見ると、各島の中心付近は、
地形が丸みを帯びており、精密に描かれているようだが、
端を始めとした一部は、おおよその地形が四角く描かれている。
四角く描かれた不正確な部分は、実際に足を踏み入れたわけではないのだろう。
このことから、「島の全てを探索し尽くしたわけではない」と推測した。
りくとあいちゃんによって、効率的に水探しができていた、ということだ。
久々の島外?
りん「三島からはあかむしも多いし、四島から先は、まだ道も確立してない。
そもそも… そこまでの道だって、まだ残っているかどうか…。」
「道がまだ残っているか」という心配をするということは、
前回の遠征から、かなり時間が経っているのかもしれない。
「地震」と「地形の急激な変化」を体験したのは、3話が初めてとなるので、
短期間で道が変化するとは、この時点では考えついていないはずだ。
りんのベストチョイス
りつ「りんのチョイスが、いつだって一番良かったにゃ!」
りんが主導権を得たのは、おそらくりく死亡後だろう。
(詳しくは、0.8話のりく死亡時の考察にて)
それ以降、りんが探索ルートを決めることが、何度かあったということだろう。
「一番良かった」ということは、
りんの慎重な判断で、危険な目に会うことは、大きく減ったのだろう。
その後も、りなぞうとりなこは死亡したものの、
時間あたりの死亡率は、以前より激減したものと推測する。
少なくとも、「大型だらけ」の六島には近づいていないのだから。
次回、第2話Bパート後半!
前後編で終わりませんでした。
次回! 旅立ち!
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
もしよければ、右のプロフィールや、記事下のフォローボタンを押してもらえると、タスカル。
筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。
コメント
0.5話でりょくちゃんが「分からないことだらけってことは、これからたくさん覚えられるってことだからね」と発言しているので、ここにも触れて欲しいです!
そうでした!
0.5話の考察では、そこに触れていたはずなのに、すっかり忘れていました!
りりの言葉という先入観が…
ということは、ここはりょくの言葉を思い出しただけかもしれない。
これは内容を修正する必要がありそうです! ありがとうございます!
りんとの関係は前日譚などで語られてますけど、りつ・ちなと裏姉妹たちのやり取りや普段の会話は未知の世界ですねホント。りなとりょくの会話の様子が全く想像つかない…
旅立ちの決意を固める場面、11話からのアプローチは思わぬ視点からの切り口でした。表面上は旅立ちの時のりょくとのやり取りを思い出した裏でりりのことが潜在意識ではという可能性大いにありそうです(6姉妹のルーツはりりにたどり着くので、考察の度に影がちらつくのはある意味当然かも) せっかくの力説、ここは両論併記してみるのがよろしいかもですね
こうして考察してみると2話も表面には見えないものの動きが実はものすごいことがよくわかります
「はじまり」の前後の、もうちょい深い話が欲しいですよねえ! 0.1~0.4話かな。
旅立ちと11話の繋がりは、私が2周目したときに、
「うわこれ、りりのセリフじゃん!うわあああああ!」
と、勝手に盛り上がってしまったことにより、固定観念がついてしまったようですw
でも、そうですね。併記する形に修正すると思います。
2話おもしろいんですよ。内面的な部分が大きく動く…。
ということで、皆様のご意見を頂き、考察を改めましたので、修正しました。
結論部分はそんなに変わらず、中身が膨らんだ感じです。
りょくとの会話の時点では、まだりょうが記憶の葉を所持しているので、今回初めてりりの意識が影響を与えたのではないかと思います。
確かにそのとおりです!
りりの潜在意識説を、さらに濃くできますね。
追加修正しておきます。ありがとうございます。
りょくの言葉を思い出し、りょくから受け継いだ目に新しい何かを見せたいと思ったのかもしれないですね。
わかばのセリフのあと、あまり悩まずに即決したので、ふとそう思った。
それもあるでしょうね。
りょくを看取ったときに何か、このときの言葉と繋がるやり取りがあったのかも、
なんてことも考えていました。