アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第2話Bパートの前半(キイロ採集地点到達から拠点帰還まで)について。
過去の記事はこちら。
第2話 Aパート 後半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第2話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
みどりの根に触れて、りつと通信するりん
りん「姉さん、聞こえる? キイロまで来た。
問題無さそうだから、これから回収して帰る。」
りつ「了解にゃあ。ゆっくりでいいにゃ。」
根っこに触れてしゃべると、その場にネコ耳が現れていなくても、声はりつに届くようだ。
また、触れたままで、りつの発声を聞き取ることも可能のようだ。
りつの方では、どうやっているのかというと、
4話にてわかばが、根っこを変形させたマイクに向かってしゃべっていた。
ネコ耳を送り込めばもっと簡単になるが、耳を移動させるのには時間がかかる。
簡単な会話や、りつ以外が会話する場合には、これで可能なようだ。
ちなみに、1話でも、この根っこに触れてわかばが喋ったことで、
わかばの場所が特定されたし、
わかばが言葉を喋る、ということもりつに気づかれた。
「ミドリの木」もあれば「キイロの木」もある
わかば「みどりさんと、少し似て… でもこれは、枯れてるのかな?」
キイロの葉がたくさんついているのは、みどりの木と同じような幹。
根っこのようにも見えるが、葉が生えているので、幹と枝なのだろう。
上からワイヤーで吊り下げられているようにも見える。これはりんたちがやったのだろうか。
わかばが言うには、「枯れている」らしい。
この木が枯れておらずまだ育っているのだとしたら、りつが放っておくとは思えない。
周辺に水も無いはずだ。
キイロの葉は、新たに増えることはなく、有限なのだろう。
不思議なものがおとなしい、一島
わかば「すごいですね…。不思議なものだらけ。」
りん「この島はおとなしいほうだ。」
わかばの言う「不思議なもの」とは、流れから「ケムリクサ」のことだ。
それが「おとなしいほう」ということは、
一島は、あかぎりがあかむしが少ないだけでなく、
ケムリクサの種類や数も少ない、ということだろう。
逆に考えれば、あかぎりやあかむしが少ないことと、
自生のケムリクサが少ないことは、関連性があるということか。
結局どちらもケムリクサなのだから。
ケムリクサに必要なのは「水」。
一島は、島の水が枯渇していることで、恩恵も危険も少ないという見方もできる。
ローリスク・ローリターン、一島。
わかばは高所恐怖症ではない
高いところで、「怖かった」とか、「落ちる!」
とか言うシーンがわりと多いわかばだが、
ビルの最上階の縁に腰掛けてるので、極度の高所恐怖症というわけではないようだ。
こんなところで平静なのは、むしろ高いところが好きなのでは?
わかばから質問をし始める
わかば「どんなところですか? なにか目的が?」
りん「…あかむしがたくさんいる。あかぎりも。
水を探しに6人で旅をした。」
Aパートとは逆に、今度はわかばからりんに質問をし始めた。
りんは、それを無視するわけでもなく、受けた質問に、的確に応答している。
内容も間違ってはいないのだが、
「危険なところ」で、「生きるために」やむなく旅をした、
というような回答が、りんらしい。
例えばこれがりななら、
「おいしいものたっくさんあるから、それを食べに行ったのナ!」
とか言いそうだ。
「6人」
「6人で旅をした」ことに、わかばは何も疑問を感じない。
なぜなら、わかばの知る「6人」とは、
りん、りつ、りなっち、りなじ、りなよ、りなむ
だからだ。
りんの言う「6人」とはもちろん、りょう、りく、りょくを含めた、
六姉妹のことだ。
りなが6人に分身して、
既に5人が死んでいるとは、
このときのわかばには想像できるはずもない。
りんも別に、隠そうとしたわけでもないだろう。
りんは姉妹に感謝し、そして自分に責任を感じている
感謝するりん
わかば「なにか発見はありましたか?」
りん「みんなのおかげで色々…。
文字のこと、むしの倒し方、水の場所、みどりもそうだ。」
気がつきにくいかもしれないが、
ここでのりんの話は、言うなれば「姉妹自慢」である。
「みんなのおかげで発見したもの」は、それぞれ一人ずつ対応している。
文字のこと=りょく
むしの倒し方=りょう
水の場所=りく
みどり=りつ
りなについては、その後に語る。
りん「りなっち、りなじ、りなよ、りなむ…だ。
私だけでは目が届かないところを、守ってくれる。」
※さらに後に触れるが、りなには、「島間の道を作った」という偉業もある。
しかし、わかばはその道自体をまだ知らないので、ここで話してもしかたがない。
つまりりんは、他の姉妹に深く感謝しているということだ。
だからこそ、次のように続けている。
りん「そうだ。おかげで私たちは、なんとか生きていられる。
状況は今も厳しいが、残りの時間、りなや姉さんには、好きなことをして欲しい。」
「好きなことをして欲しい」。
りんが、自分を犠牲にしてまで、りつやりなの「好きなこと」を優先しようとしているのは、
「自分がここまで生きてこられたのが、
みんなのおかげだったから」、と考えていたからだ。
同じシーンで、こうも言っている。
りん「姉さんたちの「好き」は、生きるのにも役立つ。」
責任を感じるりん
しかしりん自身は、「自分には何もできていない」、と考えている。
それどころか、「みんなが死んでしまったのは自分のせいだ」、とも考えている。
りなこが死亡したとき、「私のせいだ。また…。」と発言している。(1話)
こうした自責思考が行き過ぎた故か、
「りつとりなを優先させたい」、という願望が、
より一層強くなっていったのだろう。
純粋な「したいこと」とはまた違う。
自分を優先して考えられない状態になっている。
そして「好きなもの」が見えなくなる
わかば「りんさんは、何がお好きなんですか?」
りん「……? そんなものは無い。
今は姉さんたちを、いかに守るかだ。」
まるで、「好きなものはあって当然」と思っているようなわかばの質問に、
怪訝そうにするりん。
「考えたこともない」、「考えている暇もない」という感じだ。
質問の直後でも考えていることは、「今後の心配」である。
りん「そうだ…! 今度こそ間違えないようにしないと…! 水も…。
島に留まるか… 出るか…!」
りんは、「好きなことが見つかっていない」、というより、
「見えていない」、「見ようとしていない」のだ。
実際、わかばに出会った後も、自分の感情を素直に認められていない。
りんを理解し、心に寄り添うわかば
わかば「でも…それがなんとかできたら、りんさんも好きなことができますね。」
りん「……!? ありえない! 考えるだけ無駄だ!」
わかば「うっ… そう簡単じゃ… ないですよね…。」
「好きなことが無く、みんなを守るだけ」と言い切るりんに対し、
わかばは、「すごいですね」とか、「頑張って下さいね」とか他人事で片付けたわけではない。
かと言って、「それじゃダメですよ」とか否定するわけでもない。
「現状をなんとかできたら、好きなことができる」と、
前向きに気持ちを誘導してあげたのだ。
「生きること」そのものが目的になってしまっているりんに、
「好きなもの」のために「今を生き抜く」という道があることを、
目の前に提示してあげた。
それどころか、
そのために自分は協力を惜しまない意志も見せた。
(そして実際行動した。)
わかば「あっ! でも!
もし少しでも、僕にもできることがあれば、言ってくださいね!」
このときのわかばは現状もいまいち把握できておらず、
楽天的なことを言っただけなのだろうか?
そんなはずはない。
少なくとも、命が懸かっていることは身を持って知っている。
1話の時点で、わかば自身も命を危険に晒しているからだ。
そして、現状の把握としては、それがわかってるだけで十分重い。
その上で、協力を申し出た。
しかも、相手は肉親でもなんでもない。
むしろ、
いきなり自分を殺そうとした相手に、だ。
※「協力」は、「痛いのとか、死ぬの以外」と、このあと付け加えてはいるが、
結局わかばは、痛いのも死ぬのも顧みず、りんたちを助けてしまうのだ。
りんはそこに、計り知れない「強さ」を感じた。
「毒」が悪化するりん
りん「なんだ…こいつ…。 てんで弱いのに、この… 妙な”強さ”… “明るさ”…。」
それまで「毒」を警戒してか、正面に向き合ってわかばと会話をしていなかったりんだが、
「好きなもの」に関する会話のあたりから、
虚を突かれたのか、向き合ってしまっている。
結果的に、「毒」が悪化する、りんさんであった。
上で述べたように、
わかばくんは強すぎるから、しょうがないね。
しかし当の本人は、
「わかばがしゃべっているときに正面を向いていた」
ことが、悪化の原因だと勘違いしている。
2話のラストでわかばと会話する際、
わかばがりんに向かってしゃべろうとするタイミングで、
プイッと横を向いている。
これは、「正面を向いて会話すると毒」と勘違いしているためだと、推測している。(真面目に)
3話まで、りんはわかばの方を向いて会話することを避けているようだ。(威圧は別)
「本体の葉」に気づくわかば
わかば「りんさん… それ…!」
りんの体内に、ケムリクサがあることに、ここで初めて気がつく。
3話の、「りんたちの本体がケムリクサである」、
ということがわかるシーンへの、布石だろう。
りんが「毒」で高揚したから「記憶の葉」が発光した、とかではないはずだ。
「本体の葉」も「記憶の葉」も、近くで見れば、いつでも発光している様子が、
8話からわかる。
次回、第2話Bパート中盤!
絵的には、あまり変化が無いと感じる2話かもしれないが、
りんとわかばの胸中は、大きく動いているのがわかるだろう。
わかばに影響を受けまくり、旅立ちを決意するりん!
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。
コメント
毒が悪化www
可愛すぎますね😆
注意深く見ると、ここのわかばはカッコ良すぎでした。
毒が悪化してもしょうがない!
主のMADからやってきた者だ。
まさかこんな精密に(まだ2話すら終わっていないw)解析しておられるとは知らんかったが、MADが良質なのも納得だ。
りつはなぜやつれたか、とかの考察とか興味深かったぞ。
続きがでたら見ます。
ありがとうございます。
ちょっと掘り下げすぎですかねw
是非とも引き続き、気長に待ちつつ、見ていってくだされば幸いです。
とても丁寧な考察で見てるこちらも凄く納得!どの考察サイトよりも素晴らしい記事だと思います!できたらでいいのですが、opとedの歌詞の意味を本編になぞって綺麗に考察してくださると嬉しいです!
毎日きて考察を楽しみに待っています!
ありがとうございます。
そうですね、歌詞も含めて、OP&EDも考察として扱うつもりです。
時系列順に進んでいるので、OPは2話ラスト、EDは3話ラストに考察する予定でいます。
どうかもうしばし、お付き合い頂けると幸いです…!