『はねバド!』、アニメから入って原作を読んだ、にわかでございます。
しかしあえて言いたい。
アニメが終わったからこそ、原作を読んで欲しいと。
BD(1巻)初週売上が500枚以下でも、原作を読んで欲しいと。
『はねバド!』は、とにかくアツい。
アツすぎる。
アニメ13話分の内容は、コミックスにして7巻までに相当する。
まずは、7巻まで読んで欲しい。
なぜか。
『はねバド!』という漫画の方向性が確立したのが、7巻だからである。
もちろんこれは、私個人の主観ですが。
まあでも…読めばわかります。
この記事は、『はねバド!』をアニメで知って、原作にもちょっと興味が湧いた人向けです。
アニメとの相違点や、原作の良い点をまとめました。
仲間同士のギスギス… 無いです。
アニメの印象でかなり多かった意見が、「ギスギスしてる」。
特に主人公の羽咲が、思いやりや配慮に欠けているシーンが目立ちました。
仲間を煽ったり貶めたり、「弱いやつは不要」というような言動。
主人公であるはずが、感情移入どころか、
「完膚なきまでに叩きのめされて負けて欲しい存在」 に仕上がっていたんじゃないでしょうか。
母親も同様ですね。
さて、原作の羽咲も、結構ゲスです。
【出典】はねバド!(第8巻)/濱田浩輔
↑敵を疲れ果てさせようと企む羽咲綾乃
しかし、決してクズではないです。
仲間を大切に想い、共にバドミントンを高め合うことに喜びを覚えていきます。
母もまた、娘に仲間ができることを願い、できたことを素直に喜びます。
少なくとも、仲間同士で、貶めあい罵り合い、
というのはありません。
試合に入り込みすぎて、多少ピリピリはします。でもそれも試合の中だけ。
【出典】はねバド!(第7巻)/濱田浩輔
↑綾乃VSなぎさのクライマックス。お母さんもにっこり。
羽咲が「怖い」というときがあるだけで、決して「外道」ではないです。
よって、ギスギスはしません。
「あのギスギスがいい!」、という方も、中にはいるようですが…
そういう方は、原作にギスギスは求めないほうが良いです。
アニメ以上に”動き”ある表現!?
これは、原作序盤から、というわけではありませんが…
“間“と”緩急“の表現が絶妙になっていきます。
バドミントン特有の、「ときに激しく」、「ときに軽やか」が、伝わってくるような、絶妙さ。
私はバドミントン素人ですけどね…。
【出典】はねバド!(第13巻)/濱田浩輔
ハイスピードの攻防から、突如時間が停止したような一瞬。
素人の私でも、試合の展開に入り込めてしまうほど、おもしろい!
コマ割りも凄く素敵です。
1巻から既に こう ではなく、巻が進むほど良くなっているんです。
比較のため、1巻と13巻で、同様のシーンを抜粋してみました。
まずは、1巻より。
【出典】はねバド!(第1巻)/濱田浩輔
スマッシュが目の前に落とされて反応できない、というシーンです。
直前の時間停止感が、スマッシュの超スピードでぶち破られる。
これでも十分良い、と思いますが、
これが13巻では、こうなります。
【出典】はねバド!(第13巻)/濱田浩輔
強い…
圧倒的強さを見せつけられた絶望感が、格段にアップしています。
直前の時間停止感と、スマッシュの超スピードの対比、という流れは、1巻でも同様です。
大きく違うのは、スマッシュに反応できなかったことを、
1巻では言葉で表現したのに対し、
13巻では感覚的に表現されているところだと思います。
スマッシュを打たれたあとも、時間停止感が続いており、
読者も一瞬何が起きたかわからない!
次のページで、時間が進み全容が見え、「え…?」と絶望に直結する。
この緩急による表現が、試合の中で繰り返されます。
実に実に良いです。
また、緩急の中では、
キャラクターの心理描写が細やかに描かれているのです。
細やかな心理描写で キャラの魅力が見える!
バドミントンの緩急が見事に表現されているからか、
その隙間に挟まれる心理描写も、実によく浸透している。
内容がスムーズに入ってきて、キャラクターに感情移入しやすくなる。
【出典】はねバド!(第11巻)/濱田浩輔
攻防の隙間に表現される羽咲綾乃の心理描写
試合の攻防に関する感情だけではなく、
そのキャラの悩みや、その背景となる過去の話まで掘り下げて丁寧に描かれます。
【出典】はねバド!(第9巻)/濱田浩輔
相手チームの心理描写までしっかり描かれており、敵なのに感情移入ができる。
それ故、敵味方問わず、魅力的なキャラクターがたくさんいます。
バドミントンの技術的な部分(テクニック)だけではなく、
心理的部分が組み合わさリ、勝敗を分けます。
お互いの感情が、バドミントンを通じてぶつかり合う。
これこそ、『白帯の向こうに見える自分の心』という、この作品屈指の名言に繋がるのです。
そうした試合を通じて、羽咲たちが人間的に成長していくのが、本当にアツい。
青春です。
【出典】はねバド!(第8巻)/濱田浩輔
キャラクターに感情移入してもどちらかは必ず負ける。この切なさよ。
テクニックに寄り過ぎないので、
羽咲が謎の異能力に目覚めたりはしません(笑)。
多分今後もないです。
とにかく7巻まで読んでみよう
1巻から3巻くらいまで、作品の方向性を模索していたのか、
なぜかギャグとかお色気とかが、多いです。
【出典】はねバド!(第2巻)/濱田浩輔
序盤はゆるくいこうとしていたのか…?
それでも読み進めてみてください。
いきなり化けます。
4巻くらいから、その兆しは見られ、
5巻~6巻で大きく変化し、
7巻では、完全に方向性が確立したように思います。
【出典】はねバド!(第7巻)/濱田浩輔
極限の中で成長していく羽咲綾乃(と作者)
事実、第7巻の『綾乃VSなぎさ戦』終了後のおまけ漫画では、
作者の濱田浩輔氏は、次のように語っています。
試合だけを描いてた…
自分でも引くくらい何も覚えてない…!!
本当に何も描くことが無くなる程、この試合は全力で描けた
これはありがたい事です。
【出典】はねバド!(第7巻)/濱田浩輔
コメントも納得の、凄い内容でした。
特に、なぎさのスマッシュは、
アニメでは表現しきれていなかったかな、と感じたほど、
原作では大迫力です。
是非一度ご覧あれ。
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