アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第7話Bパートの前半(七島壁内から湖まで)について。
過去の記事はこちら。

第7話 Bパート 前半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第7話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
七島の壁の内側
りなっち「なんかここ、明るいナ。」
りなよ「ナ!」
りつ「それに、すっごい静かだにゃ。」
視聴者側からは、いまいちよくわからないが、
壁の内外で、明るさと静けさに差があるようだ。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
これは、霧の濃さによるものだろうか。
壁外では、赤霧はみどりの木によって浄化され、
通常のような白い霧になっているようだった。
赤霧の侵入がほとんど無い壁内では、霧そのものが薄く、
視野が明るくなっていたのかもしれない。
音が静かなのは、赤霧のあるエリアから遮断されているからだろうか。
りつは、赤霧はノイズとして感知してしまう。
「赤霧がほとんど無い」と言っていた七島でも、
後方の六島の赤霧から、ノイズが聴こえていたのかもしれない。
ちなみに、スタッフコメンタリーでは、壁の内側の質感について、
たつき監督から「木の化石」という指定があったことが、
語られている。
(ただし、当の本人は「覚えてない」とのこと…!)
それだけ長い年月、壁内は閉ざされた空間だったのかもしれない。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
倒壊した建物、謎の白衣
七島の中心の大木の周りは、電柱やら、瓦屋根の家やらが倒壊している。
それらは、敷き詰められてぐちゃぐちゃに折り重なっているようだ。
急速に成長した木の幹に押しやられた、というところだろう。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
そして、ここで特筆すべきなのが、
木の中心部で確認できる、謎の白衣。
これは、体を張って木を生かした、ワカバ船長のものだと思われる。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
それも踏まえた詳しい考察は、過去記事を参照して欲しい。

水を発見したときの高揚
いきなり大量の水を発見できたことで、りんたちは当然喜ぶわけだが、
りつとりなは特に、テンションが上りすぎて、やや混乱気味にも見える。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
二人のりなは、水にいきなり手を突っ込み、巻き上げたりしている。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
りつは、根の先で水面を揺らし、水の音を確認しているのか。
かと思いきや直後、感極まって泣き出してしまう。
もう一人のりなは、水面に顔を突っ込んで直飲みし始めた。
りなむは、まるで水に初めて触れたヘレン・ケラーのように、感慨に浸っている。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
多種多様な喜び方が見られる。
りんも高揚しているようだが、水のチェックは怠らない。
手ですくった水を観察しているが、これは1話で発見した水でも同様の事を行っていた。

【出典】『ケムリクサ』第1話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
唯一、わかばはおとなしく、
終始、りんたちの反応を静観していた。
わかばは、りんたちほど水を必要としない体ということもあってか、
直接的に喜んでいるりんたちを見て、間接的に喜んでいる様子だ。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
これはまさしく、このシーンを見ていた視聴者の視点に近く、
りんたちが喜び合ってる様子を見て、
「ああ… 良かった…。」と
胸を撫で下ろしているのだろう。
わかばの気持ちが、我々には一番よくわかるのではないだろうか。
りんたちの喜び、そして…
りつ「これで当分安心だにゃあ。
みんな… お疲れ様だにゃあ…!
これで、りく姉も、りょうちゃんも、りょくちゃんも… きっと…。
りんもこれで危ない目に遭わなくて済むにゃあ。
いつもしんどい役ばっかりやらせてたから…。」
りん「そんなこと…!
姉さんも、これでゆっくりみどりの面倒が見られるね。」
みんなを労おうとしたりつだったが…、
感極まって泣き出してしまった。
「きっと…」と言いかけているが、「故人も報われる」という事を言いたいのだろう。
これはつまり、
「これまでの苦労は、
全てここにたどり着くためだったんだ」
と確信していることに、他ならない。
それほどまでに、今まで見たこともないほどの量の水なのだろう。
後に、「ここが新しい拠点で決まり」とも発言している。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
そして、泣き出してしまったりつに、すぐ寄り添う、優しさ溢れるりん。
りんはいつでも、自分よりも他の姉妹が優先。
自分の身の安全が確保されたことよりも、
りつたちが、好きなことを好きなだけできるようになることを喜んでいる。
早速みどりについて語り始めたりつを前にしたりんは、
なんと微笑んでいるではないか…!

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
わずかでも口角が上がったのは、作中ではこれが初めてである。
しかしこれらのシーンは、
後半のりんの怒りの大きさへと繋がっていく。
ケムリクサがいっぱい落ちてる?
姉妹たちの喜ぶ様を静観していたわかばだが、
ケムリクサを見つけた途端、テンションが上がっている。
これには、りなも呆れている。
りな「相変わらずケムリクサ好きだナ、あいつ…。」

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
と言いつつも、わかばに懐いてきたからか、
りなもケムリクサに興味が出てきているようだ。
りな「りなでも食べられるやつ無いのかナ!」「よこすのナ!」
わかばより先に、ケムリクサを拾い集めてもいる。
これは今までには無かった。
りな「なんかいっぱい落ちてるのナ。」

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
ここで見られるケムリクサは、
おなじみのアオイロと、イチョウの葉型と笹の葉型のキイロ、
それから、3話でわかばが拾ったウスイロの葉と思しきものもある。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
この大木は、ミドリイロのケムリクサの木のはずだが、
既に死んでいるためか、ミドリイロの葉は無いようだ。
島の地面にケムリクサが生えていたように、
大木の上にも、別の色のケムリクサが生えたとも取れるが…
「いっぱい落ちてる」というりなの発言が正しいのなら、
誰かが落としたケムリクサなのかもしれない。
ここには、ワカバ船長のものと思われる白衣も落ちていた。
ならば、彼の私物であるケムリクサも、その辺に散らばり、
今まで残っていたとも考えられないだろうか。

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
根を伸ばす目的は、索敵だけではない?
りつ「とりあえず一休みして、みどりちゃんの根を簡単に伸ばすにゃ。」
りん「本当なら、赤虫に警戒するところだけど、幸いさっきの壁があるから、
ムシも入ってこれない。 赤霧も見えない。」
りつ「いい事尽くめだにゃあ。」
壁に守られ、赤霧も無い、ということで、
りんですら、警戒を解いたようだ。
にもかかわらず、「みどりの根を簡単に伸ばす」ということは、
珍しくりつの方が警戒を強めているのだろうか?
しかし、そうではない。
根は、必ずしも赤虫の索敵だけに用いられていたのではない。
要はこのときのりつの提案は、
周囲の状況を簡単に調べよう、ということだったのだろう。
根と音によって、りつにはそれが可能だった。
1話冒頭で新たに発見した水場も、
「りつ姉ねでも見つからないはず」と言われていたことからも、
りつの根には簡易的な探索に定評があったことがわかっている。
轟音を聴き取った、わかばの判断
わかば「なんだろ… これ…。」
りん「どうした?」
わかば「あの、ちょっと見てきてもいいですか?」
りん「周りを把握しておきたい。 私も行く。」
六島側(入り口)と反対側から、謎の轟音を聞き取ったわかば。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
聴覚といえば、りつだが、
この音は聞き取れなかったのか、水に夢中で聞き逃したのか。
りんとりなには、当然聞こえなかった。
しかし、りんは、わかばの異変には気づく。
ここでわかばは、音については何も伝えず、一人で原因を確認しようとした。
これまで散々危険な目に遭っていながら、ここであえて単独行動しようとするのは、無謀だ。
六島で予想外に単独行動した際は、道に迷ってガタガタ震えていた。

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
それでもここで単独で行こうとしたのは、
喜んでいるりんたちに水を差すわけにはいかないと、
わかばなりに配慮をした上での提案だったのかもしれない。
杞憂だったのなら、それでいい。
ようやく一安心できたりんたちに、余計な心配はさせたくない。
それでもりんは、自ら進んで、わかばに同行するのであった。
「周りを把握しておきたい」というのは本心であり、
これはもう、性分であろう。
「わかばを見張る」という警戒心は、既に無いことは、
この次のシーンでわかるが、
今回はここまで。
次回、第7話 Bパート 中盤!
ようやく湖にたどり着けて、私も一安心である。
しかし! 辛くとも、この続きを考察せねばなるまい!
次回!
七島の壁の向こう!

ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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コメント
更新お疲れさまです。認証画像の対応ありがとうございました!
ついに東方のエデン希望の地に辿り着きましたね!
1島へ帰還出来る程の水の量はとうに無くなり、湖が無かったら水切れで死ぬしかなかった片道の旅が報われた瞬間のりん、りつ、りなたちの笑顔は心に染み入るものがあります。
命の安全が保障されている視聴者としては、気持ちをわかばに重ねるのは必然! この話数からわかばが、めちゃくちゃかっこよくなっていくんですよ!(力説)
◆樹のそばにあったケムリクサ、Ugさんのおっしゃる通りワカバの遺品だったとする方がしっくりきますね。で、
◇新たに生まれたケムリクサは丸い球体状に樹についている。
◇落ちているケムリクサは、形状そのままで発光状態。
と考えると、発見されるケムリクサの状態について説明がつきそうですね。 6島の地下に大量に落ちていた謎は不明のままですが。w
◆監督が木の根元にある白衣を描きつつも、わざと拾わせたりしなかったのは、わかばはワカバと違う という意図だったんですかね?
◆枯れてしまったとはいえ、巨大な樹木に溜まる水が豊富にある7島。そこからなぜ、
1)みどりちゃんが命を懸けて6島に移動したのか。
2)十分な成長後&大量の水を確保後(1話)にわかばを生んだのか。
自分の考えでは。。。
A1)ワカバの記憶がリセットされる事を知っていて、りりを知らないわかばが7島で復活したら、1島に移動しない(する動機が見出せない)と みどりちゃん自身が判断したから?
A2)みどりちゃんが「この人型姉妹ケムリクサ?なら 死と隣り合わせの厳しい世界でお荷物の自分もこれだけ育ててくれたし、体内のわかばを託せるかも!」と判断したから?
かと思いました。
PS.ああ、運命の7話後半が待ち遠しいです! (>_<)
監督の表現を見たらなおさら、気高き狼の様にしっぽをピンと立てて、感情を殺して頑張ってきたリーダーのりんのココロの揺れと、りんのしたい事を優先するわかばの優しさが愛おしいッ!!
いけましたか! 良かったです! お手数おかけしました。
今後も何か問題ありましたら、遠慮なく… いやむしろお教え頂けると大変助かります。
ありがとうございました!
いつの間にか、大半の視聴者はわかば視点になっちゃってるんですよねえ。
わかば、7話最大の見せ場は、Bパート後半にて。
◆あーなるほど、確かに木に成ってるクサは、球状の光体になってますよね。
言われて気がつきましたw
一島のアオイロも、球体にはなってなかったですね。あれも元ある木から落ちたものなのか…?
ただ、りくが持ち歩いていたアイちゃんも、球状の光体の中で状態保存されている感じでした。
木から離れて長い時間が経つと、球体はなくなる、といったところですかね。
いずれにしても、やはり七島で見つけたクサは、大木から生えたものでは無い、と、さらに確信が持てました。
◆スタッフコメンタリーでも、白衣については触れている様子でした。
それが何なのか、までは、はぐらかしていましたけどw
意図的にチラ見させた上で、特に誰も触れていないのは、誰も見覚えがないからでしょうね。
もちろんわかばの記憶にもない。
そうなると、ヒトがいた痕跡という点で、その辺の瓦礫と変わらんのでしょう。
「わかばはワカバではない」という表現にもなる、と言えば、確かにそうかもしれません。
11話で記憶の葉を開いた後のりんが、またここに来れば、白衣に触れるかもしれないですね。
◆そもそも、みどりの大木が、なぜ死に至ったか…。 これが明確に描写されていれば、はっきりしたことが言えそうだったのですが…。
私は植物の専門家でもなんでもないのですが、ちょいと調べた程度の知識で、ちょっと語ります。
木が枯れるときは、普通は葉から枯れ、次に枝、最後には幹も枯れるそうです。
枝の先端だったと思われる、みどりちゃんの苗木が、最後の生き残りってのは、これだとおかしいですね。
しかし、長寿で育ちに育った木の場合、幹が枯れても、根本からさらに枝が伸びて、それが新たな幹になったりもするそうです。
最初の幹が枯れても、新たな幹が伸び、また枯れて、またそこから伸び… という繰り返しの果てに、
最後に芽生えた部分が届いたのが、六島のガケだったでは…?
六島は赤霧だらけだったそうですが、みどりの幹からみどりを発芽させるのは、特に問題ないのでしょう。
わかばが体内で発芽させてたようですし。
というわけで、私の考えは、意図的に移動したわけではなく、伸びに伸びたその果てが、
たまたま六島で、たまたまりつが見つけた、という事になります。
でも、みどりの大木が意志を持っていた、という考察、かなり良いと思います。
りんたちも、ケムリクサを本体にしながら、意思を持って動いているわけですからね。
アイちゃんもそう。
みどりの大木に、発声器官や稼働部分がないからといって、意思など無かったとは、とても言い切れません。
この考察で、一つ書けそうでしたね。
7話後半は、楽しみでもあり、深く読み取るのが辛くもあり…
どうかお楽しみにw