アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第8話Aパートの後半(八島トンネルから)について。
過去の記事はこちら。
第8話 Aパート 後半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第8話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
シロは自発的に、りんたちも助けようとしている?
ここまで見ていてわかるシロの行動原理は、わかばを手助けすること。
5話で出会ってから8話の間まで、地図探しをしていたし、
それを終えた今は、新たに何か手伝えることはないかと、わかばの後ろについて行っている。
ここでの新たな行動として、シロは、
わかばと行動を共にしているりんたちにも、興味を持ち始める。
シロ「ピ? (ワカバ ホカ ナマエ?)」
これも前述の行動原理に当てはめると、
同行者を手助けすれば、わかばの手助けにもなる、と考えてのことなのだろうか。
11話を見るに、ヌシっちは、りりの手助けをしていたようだった。
これも元は、ワカバの指示によるものだったと考えられるが、
ワカバと共にいるりりを、自然と手助けするようになっていった可能性もある。
つまりシロ(ヌシ)は、
「マスター(この場合は、わかばおよびワカバ)の手助けをする」という行動原理を、
拡大解釈して、
「マスターとその周りの人達の手助けをする」と、
自発的に考え行動しているのかもしれない。
命令を遵守する、というロボット的な印象が強いシロだが、
「リン アタマ カタイ」と言い放ったり、
ときに人間味のある一面を見せるのは、事実だ。
「誰かを助けるため」というシロの行動原理は、
この8話において特に重要な要素となる。
わかばより役に立つ?
りな「わかばより役に立つかもナ。」「だナ!」
ひどい言い草だが(笑)、たぶんここでりなが言う「役に立つ」というのは、
わかばが根の位置を探りながら進むよりも、シロの地図を信じて進んだほうが良い、
という意味合いだろう。
空橋で助けてくれたわかばの能力に対して、「役立たず」と言うとは思えない。
なお、シロ自身には周囲の空間、もしくは道を把握する能力があるのか、
8島のトンネル内で迷ったときも、出口を案内してくれた。
これは確かに役に立つ。
りなたちを見分けるわかば
りな「わかば! どれがなにりなか、わかるのか!?」
わかば「いやぁ、さすがにわかりますよ。」
りな「ナ… ナナ…! わかばのくせにぃ~!」
『わかばメモ』によると、
りなたちと出会った当初、わかばはりなたちを見分けられていなかった。
というか、顔を見ただけでは、我々視聴者にも見分けがつかないので当然である。
それが今やひと目見てわかるくらいになっていること、
また、「さすがにわかる」という発言から、
かなり長い期間、一緒にいたことが伺える。
これもまた、
りんたちの旅路が、我々が知るよりもずっと長いものであることの裏付けとなるだろう。
ちなみに、わかばに簡単に見分けられたりなたちは、
驚いたような、悔しいような、照れ隠しのような、
そんな反応を見せた。
見分けがつかないことは自覚しており、それなりに自信もあったようだ。
排他的なりん
りん「また変なのが…。 気を取られるな! 邪魔になるなら処理しろ!」
「前の変なの」は、わかばのことだろう。
正体不明の存在が現れた時の対応は、その頃から変わらず、「危うきは処理」。
わかばに対する見方が変わってきたり、赤い木討伐を決心したりと、
物語冒頭から、りんの考え方も変化してきているが、
この警戒心の高さについては、あまり変わっていない。
これは、姉妹たちの死を経験してきて備わったものであり、
このため「姉妹の危険になりそうなものは迷わず処理」という考え方が一貫している、
と言えよう。
それでも、即処理しようとしないあたり、丸くなってきているのかもしれない。
移動中のりんとわかばの関係の変化、比較
旅を開始したての3話と、
長く旅を続けてきた8話を比較すると、
りんとわかばの関係の変化がよくわかる。
まとめたので、ざっと見ていこう。
電車内でのわかばに対するりんの監視
3話:電車内で動くわかばに脅しをかける
8話:電車内で休ませ、自由にさせる
わかばの給水
3話:りつに言われて水を分け与える
8話:給水をりん自ら勧める
わかばの能力への理解
3話:根で拘束し、行動を抑制していた
8話:拘束は無く、わかばの能力を当てにしている
りんの優しさへの理解
3話:「姉妹には甘い」と、こっそり羨むわかば
8話:「優しいですね」と、直接伝えるわかば
これに対し、りんもわかばに、自分の心境を吐露する。
緩やかに、しかし確実に、二人の関係性は変化しているようだ。
りょくの日記2
りょくの日記が読めるのは、6話に続いて、ここで二度目。
内容を確認していこう。
壁について
かべもきっとけむりくさ
じゃん そうさはできない
りくでも
これは読んだ通りの情報である。
島と島の境界となる青い壁はケムリクサによるものであるが、
他のケムリクサを操作できるりくにも、操作ができなかった。
恐らくわかばが扱う青いケムリクサと、同じものであるが、
使い方に差があるのか、
ワカバが作った壁は、破壊されない限りそこにあり続け、
操作にロックをかけることができたようだ。
ちなみに、
この内容から察するに、
この文は一島と二島の間の壁を破壊する前に記されたのだろう。
赤いケムリクサの存在を予想
むしもけむりのめいれい
でうごいてる? あかいけ
むりくさ?
りょくが生きていた一島の時点で、
赤虫がケムリクサで動いていたことを察し、
赤いケムリクサの存在を予想していた。
この高い洞察力は、りょくの目の能力ならでは。
島の構造について
しまのちけいがきになる
うごいたのか つなぎめが
へんじゃん
りょくは、島と島の地形の繋がりに違和感を感じていた。
現実の日本列島をモデルにしている地形だが、
必ずしも元の地形そのままではないことが、このことから示唆される。
つまり、島と島の間の繋がりは、すっ飛ばされている可能性もあるということだ。
「最初の人の葉」=「記憶の葉」と知る
さいしょのひとのはが
きおくのは か ひらけない
いまりょうがもってる
りょうが持っていた2枚目の葉を、姉妹の間では「最初の人の葉」と呼んでいたのだろう。
「記憶の葉」というワードは、りりのメモに書かれている。
つまりりょくは、この文を書いた直前に、その部分が解読できたものと思われる。
どっちみち、ロックされていて開けなかったが。
姉妹の特徴
め みみ はな した
りくはひふ?りんはから
だ?つよさ?
六姉妹の特徴・能力を、ここで記している。
りん以外は、人間の五感に当てはめることができるが、
「五感」という概念が知識としてないのか、器官で述べられている。
目=視覚=りょく(自分)
耳=聴覚=りつ
鼻=嗅覚=りょう
舌=味覚=りな
皮膚=触覚=りく
りんについては、りょくにもはっきりとわかってはおらず、
体の頑丈さに注目している。
※りんが何に特化しているのか、は、
かなりボリュームが大きい考察となりそうなので、
後ほど別途まとめようと思う。
「最初の人の葉」のやり取りを覚えてない?
わかば「それってもしかして、最初の人の?」
りん「なぜ知っている? そうだ。」
りんの体の中に見えた葉について、今しがた日記で出てきた
「最初の人の葉」であるかと問う、わかば。
これについて、りんは意外そうにしていたが…
「最初の人の葉」をりんが持っていることは、3話でりなが語っていた。
りんは「自分の葉」「りょくの葉」「最初の人の葉」の3枚を持っている、と。
このとき、りんはすぐに、わかばから距離を取ったので、
わかばには、どれが「最初の人の」か確認できなかったのだろうが、
「なぜ知っている」というりんの返答について、
明らかに当時を覚えていないことを表している。
わかばの急接近で、全て吹き飛んだか。
まあ、脚本のミスと言えばそれまでなのだが…。
遠くのものも、大きいものは見えている、りな
トンネルを抜けて目の前に広がった巨大な建造物(ダム)に対し、
反応するりなたち。
りな「でっかいナー!」「これ、食べたことないんじゃないかナ?」
「遠くはよく見えない」と言うりなたちだが、全く見えない、というわけではなく、
大きいものなら見えているようだ。
そういえば3話では、テーマパークの巨大建造物を見てヨダレを垂らしていた。
次回、第8話 Bパート 前半!
Aパートは中盤を挟まず、二部構成で事足りた。
次回! シロの仲間たち、遭遇!
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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コメント
なぜ(この葉が最初の人の葉だと)知っている?だと思ってました。
その前のりんの「これは使えたことがないがな」というセリフで、わかばが最初の人の葉だと確信したっぽいので。
日記が読めないりんからしたら、わかばがそれを最初の人の葉だと当てたことについて、驚くのも無理ないでしょうし。
『使えたことがない葉が「最初の人の葉」だと、なぜ知っている?』
ということですかね?
ややこしいけど、確かにそうとも考えられますね。
りんの反応から、「最初の人の葉」というワードがわかばから出てきたことに驚いていたようだったので、
そう考えてしまいましたね。
りんの継承した力の考察で、そもそも姉妹の感覚の継承元が仏教の八識に基づいているという説があるにはあります。
八識ですか。眼識、耳識…。
こういうのもあるんですね。
更新お疲れさまです。
8話後半も待ちきれませんが、この前半の6姉妹の分割についてのりょくの考察のところは、欲しかった謎解き&さらに深まる謎と、話にのめり込まざるを得ない構成で本当に面白かったです。
監督は細やかな心理的動作の演技も凄いですが、世界の謎の提示の仕方がホント絶妙です。
りょくはその時点での観察結果から6姉妹の特性を5感に当てはめていましたが、
◆なぜ分割は5でも7でもなく6分割だったのか。
これも監督に伺いたい話のひとつでした。
「大人になって壁を突破する」だけならバックアップ含め3体でも充分なはずなのに。それとも「分割の葉」は問答無用で特性ごとに分割してしまう能力だったのか。(そうするとりなも特性ごとに分割されている??)
同時に使用した強化の葉が実は大麻のようなドーピング薬物で、原因不明な特性分割のチカラを与えてしまったとか。。w
12話まで観た個人的考えでは
◆りんは 分割後のりりとなる身体(5感を分割した残りの意識)だったのではないか、
と思っています。(からだ?やチカラ自慢はミスリード)
分割直後に記憶の葉にロックをかけたため、りりの記憶が継承されないままの意識(感情&思考力)のみで、好きに生きる「りん」として生成されたのではないかと。(その後姉妹の好きを守る事を好き&使命としますが)
また最終的にりりとなる身体だからこそ他の姉妹の葉を回収して使用できるのではないでしょうか。
りょくの日記は、情報量がものすごいですね。
公開されていない全文読んでみたいものです。
制作当時は、きっと考えられていたんだと思います。
◆確かに、りりがなぜ自分を6分割したのかは、謎ですね。
多ければ多いほどいいと思ったのか。
りりもりなも、問答無用で6人になっているということは、
モモちゃんでの分割は、「6」にか分けられないのかもしれない。
◆母体であるりりを最も受け継いだ特別な個体がりんだった、といったところですか。
りりの記憶を失った、新しいりり、のような。
なるほどおもしろいです。
ただ、記憶の葉が関わってくるとなると、最初に記憶の葉を受け継いだりょうが、
その位置づけになるはずだったのでは、と感じました。
「からだ」とか「つよさ」は、私もミスリード的なものであると思っています。