アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
それでは、作品の公開順に追っていきます。
こちらでまとめています。
本ページではまず、本編公開前にTwitter上で公開された「はじまり」から。
はじまり
趣味のアニメです #ケムリクサ pic.twitter.com/rD9evc6P56
— たつき/irodori (@irodori7) August 31, 2018
「はじまり」とは言うものの、6姉妹が生まれてから、かなり時間が経過していることがわかる。
少なくとも暗転後のシーンでは、それがわかるやり取りがてんこ盛りである。
時間の経過について
順を追って確認していこう。
(以下のセリフは、全て上記の動画から引用したものである。)
りく「いつ触ってもこのモフモフ…」(略)
りつ「それ何度目にゃ?」
既に何度も行われているやり取りであるようだ。
りょく「もうちょっとここ、調べてからでもいいけどね。」
一島を既にある程度は調査済みであることがわかる。
「もうちょっと」という言葉から、少なくとも半分以上は探索済みと思われる。
りな「新しいとこも楽しみだナ~。」
「も」ということは、一島を探索し始めたときも、楽しみにしていた、ということだ。
当時を懐かしむ程度には、時間が経っている。
りょう「水のこと考えると、いずれ行くことになるね。」
りん「りょうは戦いたいだけなんじゃないの?」
水が有限であることと、それが一島には無くなってきたことを危惧している。
しかし「いずれ」という言葉から、現時点では緊急性は高くない様子。
「他の島もここと同じ感じなら、なんとかなるな~」というくらいの展望。
楽天的なりょうの発言ということもあり、りんもこの時点では本気で心配していない。
また、りょうが戦闘狂であることが周知の事実となっている程度には、
戦闘が繰り返されたようだ。
しかし戦闘といっても、姉妹同士の「組み手」や「ケンカ」、
あるいは小型のあかむしを「狩る」程度で、
大型アカムシと遭遇してはいないようだ。
これは「0.6話」でのりんの発言からわかる。
いずれにせよ、命の危険までは、誰も感じていない。
りつ「実際、どうやって渡るのがいいのかにゃあ。」
りな「霧が全部吸い込めたらいいんだけどナ!」
現時点ではあかむしではなく、あかぎりのほうが不安要素となっている。
あのりんですら、なんだかぽわ~っとしている。
りょく「そういえば、”ふね“っていうのがあってね。」
りく「おぉ? りょくの怪しいのが始まったぜ~!」
一島での調査と、りりのメモが書かれた橙(だいだい)から、
文字を解読できつつあるりょく。
これも何度も繰り返されたやり取りであるようだ。
この時点では、りょくは文字を読めるだけで、日記を書くまでには至っていない?
また、最後に姉妹のやり取りを見て笑っているのは、りんだ。
笑顔を映さない構成にしているのも、あえてそうしているであろうことなのは、
全話視聴した今ならよくわかる。
りりの最期と、「はじまり」の間の出来事
現状、りりの最期(11話のラストと、12話中盤)と、時系列的に一番近く繋がるのが、
この「はじまり」である。
6話の「りりのメモ」、「りょくの日記」とも合わせて、
わかることを挙げていこう。
文字が読めるのはりょくだけで、しかも「ひらがな」しか読めなくなった。
※この辺の詳しい事情については、いずれ11話の考察で行うとする。
とにかく、最初はりょくも漢字が読めなかったようで、
メモに書かれた「記憶の葉」についても知ることができず、
分割された6姉妹は、生まれた事情が何もわからない状態で日々を生きることになった。
りょくがいる内に、やがては漢字も読めるようになったようだが、
「記憶の葉」はロックされていた(9話のりょくの証言)ので、どちらにせよ何もわからなかった。
生存本能として「水」が必要である事情だけはわかった。
「りりのメモ」には『お腹はへらない』、『水はちゃんととって』と書かれてはいたが、
上記の理由から恐らく読めてはおらず、本能的に水を探し、摂取したものと思われる。
一般的な知識は備わっている。
例えば、普通の会話は問題ないし、
それぞれの生まれた順番がはっきりわかる程度には、最初から記憶もはっきりしている。
事情・状況だけがわかっていない。
6人は生まれた順番で「姉妹」とすることにした。
りょう(長女)、りく(次女)、りつ(三女)、りん(四女)、りな(五女)、りょく(末女)
これは、エンディングのシルエットの並びとも一致する。
それぞれが「個性」を持っていることがわかった。
「個性」とは、一般的に言う「五感」を特化したようなもの。
りょう(嗅覚)、りく(触覚)、りつ(聴覚)、りな(味覚)、りょく(視覚)
※りんはこの時点では、「頑丈な体」(0.6話より)ということしかわかっていない。
りんに備わっている力は、五感とは別の「何か」である、というのが、
この物語のテーマにも繋がる重要な要素でもあるかもしれない。
キャラ付けのために、しゃべり方を分けた。
12話より、姉妹のキャラ付けのために、しゃべり方を分けていたことが判明した。
そしてそれは「はじまり」の時点で、既に実行されていた。
りょう(わな・わね)、りく(ぜ)、りつ(にゃ)、りな(ナ)、りょく(じゃん)
※りんは、しゃべり方を矯正できなかったのか、特に何もない。
元々が、「ストレートすぎる」性格のためかもしれない。
特に、各々「好き」を語っているときは、語尾が出てきやすいようだ。
姿の交換が可能だった?
りつのネコ耳を触るりくが
『やっぱ交換しようぜ!』
と提案している。
しかも何度も提案している様子なので、冗談でもないようだ。
ドユコト…?
「姿の交換」というと、
9話でりょうとりょくが、同じ個体で姿と意識を共有して、任意で交換していたが、
お互いの体で、葉を入れ替えれば姿を入れ替えることもできたのかもしれない。
しかし、姿を変えると恐らく「個性」も変わり、
「交換しても、りくには“触りごこち”がわからなくなるのでは?」
ということに気づいて、実際に交換までには至っていなかったのではないだろうか。
りくならそれでも交換の提案を直感的に繰り返し言いそうなので、こうした発言も頷ける。
0.5話以降は次回
さて、ここまで書いていて、私が一番驚いているのは、
たった1分ちょっとに、どんだけ盛り込まれてんだよ!
ということだ(笑)。
しかもこれが、
最初に見たときはほとんどわからなかったのに、
全話見てきた今、見直すと、実はこれだけの情報量があったことに気づけるのだから、
もう驚きである。
嬉しいことに予想外に長くなってしまったので、
「はじまり」に続く「0.5話」以降は、次回に持ち越すことにする。
引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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コメント
本編中の発言にありますが、生まれた順番ではなく、目覚めた順番ですね。