アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第4話Bパートの前半(空橋到達からヌシ登場前まで)について。
過去の記事はこちら。
第4話 Bパート 前半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第4話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
前と同じ
りん「前と同じでいい?」
りつ「そうにゃ! よろしく頼むにゃ!」
「前と同じ」と言って、みどりの根っこを使って、電車ごと引き上げるりん。
電車を見つけたのは、空橋の向こう側の五島なので、
初めて空橋に来たときは、電車は無かった。
「電車を引き上げる」のが、「前と同じ」ということは、
五島で電車発見後に、少なくとも一度は三島まで戻り、
その後改めて、電車に乗って空橋を通ったことになる。
「いつもと同じ」ではなく、「前と同じ」という言い方から、
おそらく過去に一度だけだったのではないかと推測している。
以前考察したが、そのときの様子が、OPのAメロの映像だと思われる。
二・三島のマッピングは、ほぼ完了しているようだが、
四島はそれほど探索できていない。
四島には渡ったものの、
危険度が高いため、すぐに戻り、
基本は二・三島を探索していたのではないだろうか。
りつがりんと通信している様子を見る、わかば
根っこを使って、「りつが遠くのヒトと会話できる」、ということは、
わかばも知っていただろう。
しかし、それをどうやっているのかは、
このとき初めて見たと思われる。
このときわかばは、「え?」と二回繰り返し発している。
りつ「りんー? こっちはオッケーにゃ。」
わかば「え? えっ!? もしかして…。」
一回目が「疑問」、二回目が「驚嘆」のようだ。
「根に向けて、りんに呼びかけている」ことに対し「疑問」を感じつつ、
「りんの腕力で引き上げるのでは」という予測に「驚嘆」しているのかもしれない。
いずれにせよここで、
「根の先に声を届ける仕組み」
を、はっきりと認識できた。
これが、このあと重要になってくる。
根っこの強さ < りんの腕力
細い根を、電車の下に二回通しただけで、
ちぎれる様子もなく、車体を持ち上げられている。
かなり強靭であるようだ。
しかし、それより驚くべきなのは、
りんの腕力である。
根が上まで届くなら、そのまま根を柱にでも引っ掛けて、
根の力で引っ張り上げても良さそうなものである。
それをしない、ということは、
根の力よりも、りんの腕力の方が、遥かに強い、ということなのだろう。
最後、橋の上に乗せるときも、
メインパワーはりんで、根っこは補助のように使っていた。
電車から生える太い根っこでも、りんのパワーには及ばないのだろう。
こうなると、移動時も、りんが手で押したほうが速い気もする。
実際、このあとヌシから逃げる際に、りんが思いっきり押して後退していた。
しかし通常時は、
視力に特化したりんが進行方向を見張ってないと危険だし、
なにより精密な動きができないから、
やはり電車の移動は、りつの根が適任なのだろう。
恐怖の感情がない?
細い根っこで車体が持ち上げられると、
わかばは、腰が抜けるほど恐怖する。
一方で、
りなたちは、わーきゃー楽しんでいるし、
りつは、「りんはしっかりものだから」と平然としている。
空橋のモデルとなっている、現実の瀬戸大橋だと、
線路の通路までの高さは、70~80mあるそうだ。
ビルの高さに例えると、20階ほどになる。
高っ!!
これではわかばのように怖がるのが、むしろ普通だ。
「初めてじゃないから」
「高く跳べたりできるから」
「りんを信頼しているから」
怖がらない理由はたくさんあるかもしれないが、
それにしても、りんたち六姉妹は、作中で「恐怖」をほとんど見せない。
1話でわかばに対して「なにそれ怖いナー」と、りなが発言したくらいしかない。
それも少し冗談じみていて、本気の恐怖ではなさそうだ。
3話で地震が起きたときも、「ビックリした」としか言っていない。
「怖い」という感情がわからないわけではない。
1話のわかばに対し、「怖がっていたんじゃないのか」と、りんは聞いている。
六姉妹が不自然なまでに怖がらないのは、
何か理由があるのではないか。
決意を元に生まれた六姉妹
六姉妹以外の人物が、怖がっているシーンはある。
りりだ。
りりは、自身が作り出した赤い木に恐怖し、怯えていた。
自分をケムリクサ化しようとしたときも、
赤い木に襲われ、消されかねないことに対し、
「怖いな…。」と、明言している。(11話)
しかし、
その「恐怖」を乗り越える決意をして、
その決意をしたりりを元にして生まれたのが、
りんたちだ。
六姉妹は、恐怖に屈せず立ち向かう、りりの分身。
だからこそ、ヌシが出ようが、赤い木を目の前にしようが、
怖がる姿を決して見せないのではないだろうか。
橋が切れていることに疑問を持つ、りな
りなっち「空橋って、なんでちょん切れてるのナ?」
りなじ「昔はもっと先まであったのかナ。
誰かが食べちゃったんじゃないかナ。」
りょくほどではないが、りなも、世界に対してわずかだが疑問を抱いたようだ。
少なからず、知識欲は持っているのか…! と思いきや、
結局は、「食べる」ことに帰結しているあたり、りならしい(笑)。
ちなみに、橋が切れているのは、そこに壁が建てられたせいではないかと、
前回考察した。
橋の上の霧が濃い?
りん「今日の橋の上は霧が濃い。 私が前を歩く。」
「橋の上」というのは、今歩いている通路の事を指しているのだろうが、
見た感じ、霧に覆われているようには見えない。
「橋の下」の言い間違いでないとしたら、
どういうことなのか。
1話でりんは、あかむしがいた痕跡を、
視覚を研ぎ澄ませることで確認していた。
4話冒頭で、空橋にヌシがいるのは見えていたので、
昨日からウロチョロしている内に、
りんにしか見えない痕跡が残っていたのかもしれない。
謎の機械音
橋の途中で、わかばが謎の機械音を察知する。
ノイズのような高音だが、聴力に優れたりつが、気づいている様子はない。
人間は年齢によっては高音が聴こえなくなるが、まさか…!
高音といっても、モスキート音と比べると低い音である。
通常であれば、りつが聴き逃すはずがない。
むしろりつが聴こえすぎるせいで、この音を聴き逃したのではないか。
りつは、あかぎりからも、ノイズを聴き取ってしまう。
これは、1話のやり取りから既にわかっている。
そして今は、霧の濃い橋の上。
りつの察知能力は、このとき満足に機能していなかった。
それをわかっていたからこそ、
りんは前に出て歩いていたのだろう。
これが上記の推測の裏付になる。
二度目の地震と、ヌシの登場
謎の機械音は、この後、
さらに音を高め、直後にヌシの光線が放たれる。
このことから、この機械音は、光線のチャージ音だったと推測される。
チャージ音が聴こえてきた時点で、既にりんは狙われていたと思われるが、
地震が起きたことで中断された。
あかむし達にとっても、地震は予想外の出来事なのだろう。
このときヌシも、わかば同様に慌てふためいていたとしたら、
少し愛嬌がでてくる。
次回、第4話Bパート後半!
電車を引き上げるときに腰が抜けたわかばから、
意外な考察が掘り出されるものである。
次回!
激闘!空橋のヌシ!
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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コメント
毎回新しい視点を頂ける考察の更新ありがとうございます。
初見時に誰もが驚愕したに違いない電車を引き上げるりん!(考察班の方の計算で約11.2t)
その後に出る鉄の車輪(約300kg)を素手で抱えるわかば、を見てて
あらためて思うのですが、
◇このフネの中のモノはほぼ全て、ケムリクサを通して出力している。
◇出力した物質は、ケムリ成分をその物質の形状に固めている状態。(水に浮く密度)
かもしれないですね。
(ケムリ成分の固着には水が必要で、水が切れると崩壊&廃墟化とか)
なので、フネの中で一番重いのは水(電話ボックス満杯で約1.5t)かも!!ww
りんたち姉妹に人間的な共感をしにくい重要な部分の1つ「恐怖の感情が薄すぎる」問題ですが、
「りりの決意と覚悟が、抽出後の6姉妹の恐怖感情を和らげている!」
というのはとても素敵です! 目からウロコが落ちました!!
それにしても、なぜ分割は 2でも3でも4でも5でもなく『6』なんでしょうか。。。
転換点である7島までの島の数、壊されて無くなっていた壁の枚数、バリアのベンゼン環、もそうですし。
1つの物事に2つ以上の意味を持たせるのが好きな監督の事ですから、
きっと意味がありそうですが。。
次回のヌシ登場回は密度が濃いので、考察記事が今から楽しみです☆☆
こちらこそ、ありがとうございます。
確かに、5話では車輪も抱えていますね。
調べると、300kgかどうかの明確なデータはないようですが、それにしても結構重いでしょうね。
クサでコピーされたこの世界の物体は、意外と軽いのでは、という可能性も、
実は考えました。
しかし、3話でわかばに鉄くずが当たって痛がってたり、
りなの鉄骨攻撃で、むしをふっ飛ばしたり(あれらもケムリクサで動いているが)、
重い物は、重い物なりの描写をしているシーンもあるし、
そもそもその理論だと、りんたちも軽いことになるし、
相対的に、重量に差は無いのかな、と…
考えてもよくわからないことになってきたので、その線で語るのはやめておきました。
しかし可能性としては、十分にあるとも思います。
なぜ姉妹の分割が「6」か。
という点について、私なりには既に答えを持っているのですが、
それは考察を進めていけばいずれ語ることになるので、それまで楽しみにしておいてください。