アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
作品の公開順に追っています。
過去の記事はこちら。
0.9話
趣味のアニメ0.9話です #ケムリクサ pic.twitter.com/OOxP9ax4lV
— たつき/irodori (@irodori7) January 2, 2019
三島で、みどりちゃんが育っていることに満足そうなりつ。
(これより先で引用するセリフは、全て上記の動画「0.9話」のものである。)
「みどり」が育ち始めたシーン
0.9話のシーンが、三島であることは、既に多くの方が考察していたので、
参考にさせてもらいました。
第5話の会話から、「みどり」を見つけたのは「六島のガケ」だとわかるので、
0.9話は、「みどりがようやく育ち始めたところ」となる。
りくまで死んでしまったため、
もう新しいところに行くのはやめて、一島に帰ろうとしているところだろう。
前回の考察から繋がっているので、参照して欲しい。
りく死亡前に、りなぞうも死亡した。
エンディングのシルエットが時系列に対応しているなら、
りくの死亡前に、
りなの分身の一人である、りなぞうも死亡していることになる。
一方で、
四島の分岐点より少し手前にて、「りなぞうが作ったもの」があることが、
第5話の会話からわかる。
(りなの区別は、私の独断によるもの)
六島以外は、第1話までに探索し尽くしていた様子でもあったので、
五島から戻ってきてから、ある程度四島をうろついていたのだろう。
りなぞうは、りくと同じく、「大型だらけ」の六島でやられたと推測する。
六島を振り返って、りなが「死にかけた」と言っていたのは、
実際に、りなの一人を失った故の発言と考えられる。(第5話)
0.9話に、りなが6人いるのは、制作側のミス?
しかしながら、りく死亡後のはずの0.9話では、りなが6人確認できる。
これについては、さすがに制作側のミスだったのではないかと思っている。
りくが死亡した直後だとしても、りなは5人になっているはずだ。
#ケムリクサ 0.9話で、りなが6人いるのは、
さすがに制作側のミスだと思っているのですが、どうなんでしょう?
りんがりくのマフラーを受け継いでいるから、この時点でりくの死はほぼ確実。
そしてED映像から、りくより先に、りなぞうが死んでいることが示唆されている。#ケムリクサ考察班 pic.twitter.com/hWdziaeiFu— ug (@ugniconico) April 6, 2019
もし仮に…だが、
6人いることが正しいとするのならば?
例えば、実はりくはまだ死んでおらず、六島でみんなと別れ、一人で探索中、とか。
「俺のこたぁ忘れろ。もし”みずうみ”ってやつを見つけたら、迎えに行ってやっからよ。」
というような感じで、りんにマフラーを託して。
そうすれば、0.9話の時点で、りくがいなくて、りなが6人いるのも成立する。
このあと、りなぞうが死んでしまった後に、別行動していたりくも、人知れず死亡する。
そんな仮説。
しかし、0.8話のラストに表示されるロゴの葉が、一枚色を失っているので、
やはり、0.9話中にりくが生きていたとは考えにくい。
りつの「好き」は、「育てる」こと
りつ「ゆっくりでも、何かが育ってるって、すごく素敵だにゃあ。
この世界は、減っていくだけだと思ってたから、すごく、キラキラして聞こえるにゃ。」
「みどり」が育ってきたことに感激する、りつ。「育てる」喜びを、初めて知った。
「ゆっくり」と言っていることから、第1話で、みどりがあれほどの大きさになるまで、
かなりの時間が経過していることが伺える。
「減っていくだけ」というのは、
水を見つけては消費し、姉妹も次々にいなくなっていく現状を、指している。
やがてみどりは、電車を植木鉢代わりにするわけだが、
このときはまだ電車が見当たらない。
五島で見つけてきたはずなので、りなが食べて確保している、と私は推測している。
お互いの「好き」については、よくわからない。
りつ「これって凄くないかにゃ!?」
りな「そうかナ?」「よくわかんないナ!」
りつの説明を聞いても、りなにはその良さはよくわかっていないようだ。
「はじまり」~「0.8話」にかけて、りんも他の姉妹の「好き」がよくわかっていなかったが、
りんだけに限ったことではなく、
他の姉妹も、お互いの「好き」については、よくわかっていない。
りんは、「好き」を探す余裕すら無くなった。
りつ「このコは私が守るにゃあ。」
りん「そうだね。なら、私が姉さんたちを守るよ。」
りん「これ以上… 誰も…!」
りくからマフラーを受け継ぎ、さらに身を守る装備が増えたりん。
周囲への警戒心も、最大に高まっている。
『ケムリクサ』は、『りんの「好き」を探す物語』とも言える。
しかしそのスタートは、「探す余裕すら無い状況」から、という、なんとも過酷なお話。
命を賭けて新しいところを目指して生き長らえるくらいなら、
安全なところで、静かに死んでいくほうがいい。
というのが、本編開始時のりんの考え方、生き方だった。
死を待つだけになった状態から、物語はスタートする。
ロゴに点が加わる。
0.8話で、ロゴの葉の3枚が色を失い、元々のロゴになった。
と思っていただろうが、
どっこい、まだ足りないものがあった。
右下の、ドットである。
色を失っていくばっかりだったロゴに、新しく点が増えた。
りつがみどりを見つけて、仲間に加わえたことを表しているのだろう。
その真上は、地面が盛り上がったようになっているため、
この点はまるで種のようだ。
この種がどうなったかは、最終話まで視聴した方なら、ピンと来るだろう。
日が暮れていくのは、船内の機能が停止していく様?
「はじまり」から日が暮れ始めており、続く0.5話から徐々に、夜が近づいて来ている。
しかしこれらは、一日の間の出来事では決してなく、長い長い時間が経っているはずだ。
そもそもここは、巨大な船の中であることが、最終話でわかる。
ということは、太陽のようなものも、実は船内の光源に過ぎない。
だとすると、暗くなっていくのは、船内の赤い木の侵攻が進んで、
船の機能が停止していく様を表しているのだろう。
ケムリクサ本編では、第1話から最終話まで、夜のように暗いままだった。
しかし昼夜が無い、というわけではなく、
日が昇り、そして沈むことで、「一日」と判断していることが、
9話や10話の会話などからわかる。
十島は、比較的明るい。
ほとんど真っ暗の一島でも、昼夜の明暗はあるようだ。(2話、出発前)
最も明るくなるのは、赤い木が消滅した後だ。
船の機能が回復しつつあり、光源も元に戻ってきたのだろう。
ここまで長い積み重ねを経て、次回! 第1話から
「はじまり」から「0.9話」まで、間の出来事も思い浮かべながらの考察は、
まさにりんたちのように、長い長い旅をしてきたかのようである。
ここからいよいよ、第1話の考察を改めて行うのは、私自身楽しみである。
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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コメント
0.9話は電車の拾える広島に近い尾道なので、5島ではないでしょうか。
また、Despairさんが考察していましたが、りなが6人いるカットで明度を上げると、左上に現実の尾道に対応しない黒い影が映ります。これも考察されると面白いのではないでしょうか。
>リアタイ 様
0.9話が五島だとすると、
「りなが五島に行った記憶がない」→「分裂前だったから」と自身で発言していたことと、
0.9話でりなが分裂していたことの、辻褄が合わなくなると判断したので、
位置的にも三島に該当すると考察しました。(0.9話考察に引用した、gl5さんの地形考察などを参考にしています)
Despairさんの考察、というのは、おそらくこれですね?
https://twitter.com/_desirepath/status/1094950226404634625
しかしこれだけだと、なんとも言いづらいですね…。
ロゴの葉と姉妹の生存状況が一致するなら、やはりこの時点ではりくは死んでいたと思います。
たくさんのコメントありがとうございます! さらに考察が深まるので、楽しいです。
話数が進むに連れ、「船内」が暗くなっていくのは全然気付きませんでした 見逃し点が多すぎるこのアニメの解説、いつも助かります(╹◡╹)♡
>がんべあ 様
ありがとうございます。
私も初見は、ただの演出だと思っていましたからね。
先入観で見逃してしまうように巧妙に作られている箇所が、実に多い…!
はじめまして。0.X話の考察、通して拝見しました。
ハッとさせられることも少なくはなく、つぶさに見ればここまでいろいろと推察できるのかと驚きました。
感化されてというか、ひとつ思ったのは、タイトルの追加されたドットは見たままピリオドでもあったのかな、ということです。本編EDでBWEが停滞したように、終わる決意をしたりんたちの物語は、ここで一度閉じられるはずだった。そういう意味で、ピリオドが打たれてしまったのではないかと思いましたが、どうでしょう?
読んでいて楽しい考察でした。ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。
恐縮です。
タイトルのドットはピリオド!
確かにそうですね。
りつも2話で「この島で終わるつもりだった」と言っていました。
そういった意味も含まれているのかもしれません。
ケムリクサのロゴの最後のドットについて
自分もピリオドだと思いました。
ピリオド=英語
kemurikusa.
↓
アナグラムで
make ur suki.
という伏線かもしれないかなと、冷奴失礼しました。
0.x話考察全て見ました。面白かったですありがとうございました!
ピリオドがあると、アナグラムも文章として成り立ちますね。
終わり(ピリオド)から、始まりの象徴たる芽吹きがあるとは、なんともエモい。