アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
作品の公開順に追っています。
過去の記事はこちら。

今回は、本編公開前にTwitter上で公開された「0.8話」です。
0.8話
趣味のアニメ0.8話です #ケムリクサ pic.twitter.com/loH5s19wF9
— たつき/irodori (@irodori7) December 31, 2018
三島から空橋を越え、四島に初上陸した一行。
(これより先で引用するセリフは、全て上記の動画「0.8話」のものである。)
第5話で、車輪を修理した場所
りつ「ここから、五島と六島に分岐してるってことにゃ?」
第5話にて、電車の車輪が壊れて、代わりを見つけて修理した場所である。
全く同じアングルなので、すぐわかる。

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
これが全体のどの辺なのか、作中の地図で確認してよう。
一島からは下図の通り。
四島は、T字を傾けたような地形になっており、五島と六島と接している。
水色の線は、壁だ。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
そして0.8話の分岐点は、下図の赤点のあたり。

【出典】『ケムリクサ』第4話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
「壁は島と島の間にある」と言っていたのが正しいのならば、
空橋の下や、六島のガケの上にも壁があるのを、見ているはずである。
0.8話の直後、りくは死亡する。
0.8話では、りくは生存している。
しかし、映像の最後に映し出されるロゴの、葉の3枚目が色を失っていることから、
0.8話の直後にりくが死亡したであろうことが、示唆されている。

【出典】https://twitter.com/irodori7/status/1079736476248600577
では、りょくやりょうのときと同じように、
りくが、「どこで」「どのような」最期を遂げたのか、考察していこう。
りくの最期
「どこで」から考えていこう。
四島の分岐まで到達はしているわけだが、続く0.9話では、三島に戻っているのだ。
(詳しくは、次回考察する。)

【出典】https://twitter.com/irodori7/status/1080461251900170240
よって、選択肢は、三、四、五、六島と、比較的多くなる。
ここでヒントになるのは、
「りんは知らない場所にいくたび、辛い思いをした」という、第7話でのりつの発言だ。
これで、四島まで来た時点で「知らない場所」であろう、五島と六島に絞られる。
では、このあとどちらに向かったのか。
五島には、りなが分裂する前に一度行った
りつとりなの会話から、
「りなが一人だったときに五島に一度行ったことがある」(第4話冒頭)、
ということがわかる。

【出典】『ケムリクサ』第4話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
0.8話では、既にりなは分裂していたので、
五島から帰ってきたところだったのだろう。
五島が行き止まりだったため、他の道を探しながら戻ってきたところ、
分岐のあたりで、六島の存在に初めて気づいたのかもしれない。
ちなみに、第5話の会話では、
「りなは電車を五島で拾ったことを知らない」
ことがわかるため、
りなが分裂したのは、五島で電車を見つけた後、ということになる。

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
みどりが成長していない状態では、電車に乗って移動はできない。
考えられるのは、りんの怪力で運んだか、りなが食べたか、だ。
電車ほどの質量を食べたことで、りなが分裂できるほどのパワーを得られたとするなら、
辻褄が合うのではないだろうか。
この後、六島へ向かった
りく「六島の方から、湿気を感じるぜ。
これもしかしたら、「みずうみ」ってやつかもな。」
りくはここで、六島方面の「湖」と、さらに奥の「赤い木」を感じ取っている。
水を探すために彷徨っているのだから、当然水のありそうな方へ、優先して進むだろう。
続くシーンでも、このあと湖方面を目指して進んだことを示唆している。
りく「”みずうみ“がマジであんなら、あの”どうぶつ”ってのも、きっといるぜ!」

【出典】https://twitter.com/irodori7/status/1079736476248600577
湖に行くのがたまらなく楽しみな、りくである。
ここまで言ってて、この後別の島に向かった、というのは、あまりに不自然というものだ。
北海道のラーメン楽しみだな~ と言いながら、沖縄に旅行に行くようなものだ。
0.8話は、六島に上陸する直前だったのだろう。
行動の主導権は、りくにあった。
りん「もう新しいところに進むの… やめないか?」
りく「なんだぁ?メソメソと。」
りく「手ぇ突っ込んでみねえと、実際のとこはわかんねえしな。」
水を探すためとはいえ、新しいところに進むことに、りんは否定的だった。
りく一人に反対を提案している、ということは、
姉妹の行動の主導権は、現在一番上の姉であるりくにあったということだろう。
そして、りくはとにかく前向きに行動するタイプだったので、
危険を承知で、一行は六島へ進むことになった。
また一方で、
りつもりなも、比較的前向きに行動するタイプだったので、
恐らく、六島に向かうことに完全に否定的だったのは、りんだけだったのだろう。

【出典】『ケムリクサ』第2話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
六島のガケの穴を見つけたのに、行ったことがなかった
六島のガケの穴は、「りくが見つけた」ということだ。(第5話)
目がいいわけでもないりくが見つけたということは、岩盤の触り心地から、
ダウジング的に検知したのだろう。

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
しかし、6話まで入ったことはなかった。
以前来た時は、ガケの上のルートに進んだ、というのだ。
湖に行きたくてたまらないりくが、穴を見つけたのに、そこに行ったことはない。
どうも行動に一貫性がない。
湖のある六島への横穴を見つけたなら、迷わずそのまま進めば良いのに、
なぜそこから進んでいないのか。
りくが穴を見つけたタイミングに、
何か問題があったのではないだろうか。
六島の穴を見つけたタイミングは…?
六島に到達してすぐ、穴を見つけたはずはない。
それならわざわざ、あかぎりに覆われたガケの上のルートに向かうわけがない。

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
実際にガケ上のルートは、「大型だらけだった」「りなが死にかけた」(第5話)と、
危険な状態だった。
整理すると、
上のルートにいるときに、偶然横穴が通っていることを検知したが、
そのまま四島に引き返すことにした。
ということだ。
行動に一貫性がないのは、判断の主導権が途中で移ったから?
活路を見出したが、安全を優先して引き返した。
こんな判断を、果たしてりくがするだろうか。
これは、
六島に向かうことに否定的だった、りんの判断
ではないだろうか。
とすれば、
穴を発見した前後で、行動の主導権が、りくからりんに移ったのだ。
主導権が移ったのは、なぜか。
りくがそこで死亡したためだ。
主導権が、姉であるりつに移っていないことは、
本編を見ればわかるだろう。
進路の決定や、戦闘中の咄嗟の指示も、ほぼりんがメインで行っている。

【出典】『ケムリクサ』第4話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
死因は、ヌシか?
【ケムリクサ考察】0.7話 で説明したとおり、
りょうを殺したヌシが現れたのは、あの時点では異例中の異例であり、
りょうとりん以外は、ヌシに直面したことは、ここまでなかったはず。
第4話のりつの「六島以外には(ヌシは)出なかったはず」という発言から、
六島のガケ上ルートで、ヌシに遭遇したであろうことは、ほぼ間違いない。

【出典】『ケムリクサ』第4話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
そこそこ強いはずのりくがやられた直接の原因は、
大量の大型あかむしと、なによりヌシの存在によるものだろう。
結論:りくの最期
以上をまとめると、こうだ。
四島の分岐点に到達し、りくは、六島方面に湖を感知した。
心配するりんを押し切り、新たな島、六島へと一行は向かった。
六島の入り口は、断崖絶壁のガケ。やむなくガケの上の、あかぎりに覆われたルートを進む。

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
そこは大型のあかむしだらけ。りなが死にかける。
思うように進めない中、そこでりつは、後の「みどり」の苗木を発見する。
さらに偶然りくが、岩盤の感触から、ガケには横穴があることを感知する。
しかしそこで、ヌシが現れ、りくは致命傷を受ける。
りくは消える間際に、りんたちに穴のことを伝える。
そして、りくのマフラーはりんに託される。
りくが死亡したことで、即座に主導権はりんに移った。
このままここにいても、全員やられるだけ。
新たな犠牲者に絶望するりんは、六島からの撤退を決断。
四島まで引き、そして湖に向かうことは危険と判断し、諦めることにした。
以上が、りくが死亡した状況の仮説である。
この他にも数点、0.8話で分かることがあるので、取り上げよう。
分岐点に来る前に、りなは分裂している
りつ「おめぇらの方が不思議だぜ。どうなってんだぁ?それ。」
四島に上陸し、分岐点に到達するまでの間に、りなは分裂し、
6人の「りなちゃんズ」が誕生したようだ。
「味覚に特化したりなが、色々なものを食べたことで、味覚が成長した。」
「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味と、もう一つ現在未確定の味覚を含め、6つの味覚があるから、
6人に分かれた」、
とする考えが、わりと主流だ。
葉が分割されたことと関係があるのか、分身したりなは、体が少し小さくなっている。
りくはこの頃から、電撃を発するケムリクサを扱えていた?
りく「たま~に、痛い目みたり、痺れたりはするけどよ。」
「痺れる」というワードから連想されるのは、りくが得意とする、電撃系のケムリクサだろう。

【出典】『ケムリクサ』第6話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
どうも初めは扱いに失敗していたようである。
りくが触覚に長けており、ケムリクサを操作できるのは、
りょくのいた一島の頃からわかっていたため、
新しいケムリクサを見つけては、とにかく触ってみる、ということを繰り返していたのだろう。
りくの「好き」は、触ること
りく「触ってみたら、たまんね~ってこと、案外多いんだぜ?」
りく「あの”どうぶつ”ってのも、きっといるぜ!」
りくの「好き」なことは、触ったり、触られたりすること。感触を楽しむ。
特に好きなのは、「もふもふ系」のようで、りつの耳はお気に入りだったようだ。
「はじまり」でも、いきなり触っていた。

【出典】https://twitter.com/irodori7/status/1035542093945438208
「どうぶつ」については、りょくから聞いた話だろう。
りつの耳のような触り心地の生き物がいる、とでも教えてもらったのかもしれない。
もじゃもじゃ頭のわかばを、「どうぶつ」と勘違いしたこともあった。(第6話)
次回は、0.9話
いよいよ次回で、本編開始前のTwitter公開分のエピソードの考察は、締めくくりとなる。
こんな長い考察を、全部読んでくれている人がいるのだろうか?(笑)
もしいたら、引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。

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筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。

コメント
地図上の円が蓮の葉とわかったので、4島の範囲はもっと小さいのではないでしょうか。
>リアタイ 様
そうなんですよ。
地図上の円の形と、「島」の単位が、一致しないのは悩みました。
これは、「一つの円」(蓮の葉)から作られる地形が、必ずしも「一つの島」と考えているわけではないから、
だと私は推測しています。
特に、四島は、「島」と呼ぶには、地形がごちゃごちゃで、かなり入り組んでいました。
「円」で考えるなら「別の島(六島)」に上陸していたとしても、ごちゃごちゃしすぎていて、実際には「島の境界」とは判断しにくかった。
四島と、その次の島の「境界」としてわかりやすかったのが、あの「ガケ」だった。
だから、りんたちの言う「四島」は、他と違って円形に当てはまらないのかな、と思いました。
これらは、「分岐点」が四島である、という推論が前提ですが、0.8話と5話の会話から、それは間違いないかな、と思っています。
そして「分岐点」の位置は、日本の尼崎駅の位置であるという他の方の考察を、参考にしています。(0.9話の考察に記載)