アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第3話Aパートの中盤(一島出発から二島到達まで)について。
過去の記事はこちら。

第3話 Aパート 中盤
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第3話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
海上の謎の建造物
「海上」と言っても、
正確には海は存在しないので、一島と二島の間の空間のことである。
線路以外に、いくつか建造物らしきものが見える。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
これは、港にある海上コンテナ用のクレーンだ。
※親切な方に教えていただきました。
こんにちは。
シルエットから見て、港にある海上コンテナ用のクレーンかと思います。長崎港ではあまり目立たないので博多港あたりかもしれませんね。https://t.co/4SXNpLJyfR— テンシルちしる (@structure7311) May 4, 2019
現実の地球上の地形では、一島となる「軍艦島」から、二島となる「長崎」の間にも、
いくつか島や陸地が存在する。
そこに、こうしたクレーンを数機配備しているようだ。
※気になる人は、Googleマップ(航空写真)で確認してみてほしい。
「香焼」という地名である。
つまり、かつてはこのあたりの陸地の一部も抽出していたが、
長い年月およびあかぎりの影響によって、ほとんど崩れ去って、
その残骸だけが見えているのかもしれない。
もしそうだとしたら、0.6話で二島に渡るときには、既に崩れ落ちていたのだろう。
陸地があったのなら、二島まで全ての道を新たに作る必要はなかったはずだからだ。
ちなみに、遠景には二島の陸地が見えており、
このあと訪れるテーマパークの影もある。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
「雲」を知るわかば
わかば「霧… 雲?でいっぱいですね!」
「雲」というものを知っているようだ。
ワカバの持っていた知識だろうか。
空には一応、雲のようなものが見えなくもない。
しかし、この世界(宇宙船内)では、雨が降ることはないようだ。
雨が降るなら、水を探す必要もないだろう。
作中でも一度も見られない。
雨が降らないということは、大きい雲が形成されないのか。
雲の形成には、水蒸気が冷やされる必要があるが、
船内上空の温度は、それほど低くないのかもしれない。
空調が効いてて、水蒸気は船外に排出されているのか?
物語の本筋から反れてくるので、この辺にしておこう(笑)。
特にお姉さん的な、りなじ
りなじ「りなじは賢いから、そういうことも知ってるんだナ~。」
わかば「勉強になります! なるほどな~。」
りなじ「えっへん! お姉さんだからナ! 色々教えてやるのナ!」
りな(特にりなじ)は、このあとも度々、わかばに対してお姉さん的に振る舞う。
理由については、以前考察している。


【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
特にりなじに、その傾向が強いのは、
「この世界の知見」について、わかばに対して優位に立てるからか。
これをきっかけに、わかばに最も懐いていくのもりなじのようなので、いずれまた取り上げよう。
せんろ
わかば「この道も凄いですね。“せんろ”… ですか?」
りなじ「お! 目の付け所が良いナ、わかば! これはりなが作ったのナ!」
わかばは、「線路」を知らない?
わかば(ワカバ)が元々「線路」というものを知っていたかどうかは不明。
2話にて、りなたちが「線路」と発言しているので、
そこで知った可能性がある。
ここでも、「線路」を指して、「せんろ…?」とやや疑問系で訪ねている。
線路はいつ引いた?
「はじまり」~0.5話の段階では、一島から二島に渡る方法は無かった様子なので、
0.5話~0.6話の間で、この道を建造したことになる。
当時は電車での移動ではなかったので、線路無しの道を繋いでいったのだろう。
電車とみどりの根を合体させてから、新たに線路を引いていった。
OP前半の映像を、「一島に一度戻ってきたときの様子」と以前考察したが、
それが正しいとすれば、
あの時点で電車は現在の形になっているので、
あのとき一島に戻ってくるときに、線路を引きながら進んできたことになる。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
大質量を生み出す、りな
道にしろ、線路にしろ、
一島から二島までの距離は、相当なものである。
繋ぐための石橋も、相当な量となる。
これを全てりなが作ったというのだから、驚きだ。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
私は最初、りなの能力は、
「食べたものを体内にしまい込んで、任意に取り出す」
というものだと思っていた。
つまり、1個食べたら、1個しか出せない。
しかし今ではそうではないと、思っている。
これだけの質量を、一島だけで収集して作ったのだとしたら、
一島には瓦礫の欠片も残っていないだろう。
ということは、りなの能力は、
「一度食べたものを、いくらでも再現できる」
のではないか。
つまり、
1個食べたら、それを無限に生み出せる。
(生み出すのには、おそらく水やみどりの葉が必要なので、
正確には無限ではないだろうが。)
一度石柱のパーツを食べ、あとはそれらをひたすらコピーして、
石橋の道としたのではないだろうか。
線路も同様だ。
だからこそ、
りなは「新しいもの」、「変わった形のもの」を食べることに、
執着している。
そこら中のものをなんでも食べるのではなく、
食べたこと無い形のものだけを食べる。
2話冒頭では、欠けていた線路を、
食べずに捨ててしまっているのだ。
もはや線路は再現できるものだから、必要ない、という裏付けにならないだろうか。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
※追記
しかしこの推論は、5話の一言で、脆くも崩れ去ることとなった…。

「新しいものを食べること」には、もう一つ理由があるようだが、
それについてはBパートでわかるので、そのとき取り上げる。
再結合? 再分身?
さらに、りなの不思議が続く。
りなじの後ろから、どこからともなく現れる、他のりなたち。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
こうした描写は、今後も度々見られる。
分身したりなたちは、結合して再度分身するのも、瞬時に可能なのだろうか。
擬似的に、瞬間移動的なことができている。
※ちなみに、このシーンはBD版では、
りなむが現れたときの発言を、りなじが代弁していることがわかるようになっている。
どこに引っかかったんだ、わかば
揺れたはずみで、電車から落ちたわかばだが、何かに引っかかって一命を取り留めた。
しかし一体これは、
どこに引っかかったのか(笑)。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
体の動き方から見て、胴に巻いた根っこの下部分が、
電車の側面の管(?)のどこかに引っかかったように見える。
視聴者には見えないだけで、ほんのわずかな出っ張りがあったのかもしれない。
引っかかった後のわかばの足元に、
どこから現れたかわからない謎の鉄パイプが、あかぎりに落ちていく。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
「鉄パイプ」といえば、りょうの武器が想起されるが…。

【出典】『ケムリクサ』第9話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
このとき、人知れずりょうがわかばを助けていたのだとしたら、
9話でわかばに初めて会ったであろうことと、矛盾する。
とぼけているようにも見えない。
鉄パイプの形も、微妙に違う。(りょうの武器の方が、短辺部分が短い)
というわけで、ここで落ちていった鉄パイプは、
演出上、「電車が揺れたことで何かがあかぎりに落ちていった」
ということに使われただけだろう。
目がいいわかば
わかば「下がちょうど赤かったので、びっくりしました…。気をつけます…。」
りん「そう言えばお前、あかぎりが見えてるな。」
りな「わかばは目がいいんだナー。」
線路の下があかぎりだらけになっていた、とわかることで、
「目がいい」と判断されたわかば。
りつやりなは、線路下程度の距離のあかぎりを視認できないのか、
それとも色が判断できないだけなのか。
りつは音であかぎりを判断できているだろうが、
りなは全く判断できていない様子だ。
もっと目がいいりん
りん「妙な動きをするな。このあたりはあかぎりも多い。
いつでも処理できるからな。」
警告しながら、目を光らせるりん。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
普通脅しなら、目ではなく、武器であるグローブを光らせるだろうが、
わかばを処理するためには、「あかぎりに落とす」のが有効だと思っているため、
「常に監視しているぞ」という脅しになるのだろう。
「わかばの目がいい」ということが判明した直後でもあるため、
「お前より見えているぞ」という威嚇でもあるかもしれない。
線路はなぜ途切れたか
わかば「あれ? 線路が… 途切れてますけど?」
後付で作った線路(道)を、わざわざ途切れたものにする必要はないはずだ。
線路が途中で崩れ落ちてるように見える。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
その奥で崩れている建物は、現実世界だと、長崎港ターミナルに該当する。
そこを越えると、再び線路が続いていたので、
線路の道を作った後に、ターミナルが崩れて線路を破壊したのだろう。
二島の壁の残骸は、ターミナル内にあったため、
本来の線路は、ターミナルの窓をぶち抜いて壁に到達しており、
さらに先の線路と繋がっていたのかもしれない。
少し後の会話でも、これまでに線路が破損したであろうことが、示唆されている。
りつ「あったあった! 大丈夫そうにゃ~!」
りん「しばらく先まで無事そう。」
二島の壁付近で、警戒を強めるりんたち
壁に近づくあたりから、りんは外の様子を注意深く観察しているようだ。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
その後も、りんを先頭に、りなたちも周囲を警戒している。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
ターミナル内が、さらに崩れたりしていないか、
あるいは、「二島でバタバタする」という発言や、
りょくがこのあたりで死亡したであろうことと関係しているのか。
推測できることでも、これだけ挙げられるので、
複合的な理由で、警戒を強めているのかもしれない。
なお、わかばはここで、初めて壁を見る。
気を引き締める、りなたち
りな「よーし!こっからだナ!」「今回は簡単にやられないんだからナ!」
わかば「…! あれ?いつも死人がって…
じゃあ… こっから先がすごく危ないんじゃ…!」
壁を越え、二島に入ったことで、気を引き締めるりなたち。
「簡単にやられない」という発言から、あかむしとの戦闘への意気込みを表している。
わかばが予感したとおり、「二島から戦闘が苛烈になる」模様。
※以下、0.6話での考察で、既に取り上げた、同様のことを記述しています。
りなが気合をいれるのと、同じタイミングで、りんが位牌代わりの水晶を撫でている。
0.6話で二島到達時に、りょくが欠けていたことから察するに、
このあたりで、りょくは命を落としたのだろう。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
さらに進むと、
大型のあかむしらしき死骸があるため、
これがりょくが死亡した原因となったあかむしではないかと、推測している。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
このときりんは、位牌を撫でながら、りょくの事を思い出していたのかもしれない。
次回、第3話Aパート後半!
二島に到達し、このあとはさらに、陸地へと入っていく。
次回! 二島で休憩!

ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
もしよければ、右のプロフィールや、記事下のフォローボタンを押してもらえると、タスカル。
筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。

コメント
3話の続き楽しみながら読ませていただいてます
だんだんと個性が現れるりなちゃんズ。わかばに絡んでくるりなじは一番最初に区別つくようになった思い出。最初はわからないのが2週目では自然にわかってくるあたり、キャラの魅せ方のうまさが光ります
さて考察班泣かせの裏姉妹たちどこでやられたのか問題、意味深な大型赤虫の残骸をわざわざ映すあたりここなのが有力な説ですね、島のつなぎ目がおかしいことに気付いた材料(おそらく道路の行先表示があるのに島がぶつ切りになってる事)が1島には皆無という弱点があるにはありますが…
1島の範囲だけで得た情報であそこまでの考察を見せてくれた姉妹唯一の知性派のあまりに早すぎる離脱は、その後の過程を見るに大きい痛手でした。武闘派オンリーではやっぱり駄目だったよ…
わかばに絡むりなじは、ネット上でも人気高いようですね。
りなちゃんズの解答集が欲しいですねえ。
りょくの日記(8話)で書いてある「島のつなぎ目が雑なこと」に、どこで気づいたか、ですね。
私の推測は後ほど詳しく語る場があると思いますが、
簡単に言うと、超視力で、遠くから島のつなぎ目も視認できていた、という考えです。
またいずれ。
りょくがもし、もう少し長く生きてくれていれば…!
ケムリクサの有効的な使い方をあみだし、戦闘の助けにもなっていたかもしれない。
しかし私は、りょくの強すぎる好奇心ゆえの単独行動が、早々の離脱に繋がったと推測しています。
りょくの知識欲が姉妹の助けになる反面、知識欲があるからこそ自らを危険に晒しやすかったとすると、
やはり遅かれ早かれ、りょくが最初に命を落とすのは、避けられなかったのかもしれません。
こうなると、
12.1話の続きで、りょくの知識面の活躍を見てみたいものです。