アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第1話Bパートの前半(わかば拘束から、わかば処理執行まで)について。
過去の記事はこちら。
第1話 Bパート前半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第1話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
わかばの寝言とワカバの記憶
わかば「ダメだよ…それ… 触っちゃ…。」
このセリフは、11話でも登場する。
「BWE(バケットホイールエクスカベータ)」的な乗り物にて、
ケムリクサを勝手に触るりりを、ワカバが全く同じ言葉で注意している。
ワカバの記憶が、潜在的に残っているのかもしれない。
一見しょうもない寝言が、そんな希望を抱かせてくれる。
りなの視認距離
りなよ「あっ こいつ起きてるナ!こっち見てるナー!」
わかばが目を覚ましていることに真っ先に気がついたのは、
サポート上手で、周りがよく見えてる、りなよ、と予想。
りなは遠くは見えないが、この程度の距離なら問題なく見えるようだ。
ちなみに、りつの証言に反応して注意深く聞いているのが、りなじ。
寝てるのが、りなむ。
消去法で、座っているのが、りなっち。
と予想。
あかむしの定義
りん「こいつ!もしかしてヌシじゃないのか!?」
大きければ「ヌシ」と判断しているわけではなさそうだが、
何を持ってりんたちは「ヌシ」と判断しているのか、基準は謎である。
九島のヌシも、りつは音で判断していた。
りつ「やっぱり新種かにゃ…。こんなに流暢に話すむしは、初めてにゃ!」
りつ「確かに形は私達に近いにゃ。やっぱり新種かにゃ…!」
りつはなんだか楽しそうにも見える。りょくほどではないにしろ、多少の好奇心はあるのだろう。
「言葉を話すむし」ではなく「流暢に話すむし」という言い方は、
「流暢ではないが話せるむし」が過去にいたためだろうか。
りなっち「なんか柔らかそうなむしだナ。」
りなよ「変なむしだナ!」
「むし」というと、硬いやつしかいなかったのだろう。
殺る気満々りんさん
りん「あいつ!葉はどこにある!?」
葉が力を失わない限り、あかむしは動き続ける。
後のシーンで、「ばらばらにしても、あかむしは死なない」とりなたちが発言している。
つまり葉は弱点なので、
このときのりんは、殺る気満々!
ということだ(笑)。
「ヒト」の証明は誰がする
わかば「あの…! 僕、ヒトです!ヒトですよー!」
りん「ヒト…? ヒトは私達だ!」
わかばは、自身が何者であるかははっきりと覚えている。
そもそも、基本的な会話も問題ない。
りんたちと同じように、状況や目的に関する記憶だけが、すっぽり失われた状態なのだろう。
故に、ヒトであるワカバから生まれたわかばも、ヒトであるりりから生まれたりんたちも、
どちらも自身を「ヒト」と認識している。
他に誰もいない世界で、
自分たちを「ヒト」と証明してくれるものは何も無い。
お互いに、深層の記憶だけが頼り。
りなを見分けやすいシーン
ワンシーンで、3人が続けて喋ってくれると、見分けが付きやすい。
りなっちが先行し、りなじが論理的に話し、りなよが直情的に発言。
「むし」の定義は、りりの記憶から
りなっち「むしはむしだナ!」
りなじ「ごちゃごちゃ動いているのナ! 赤いのは襲ってくるやつだナ!」
先の「ヒト」の定義と同じく、
「むし」を「むし」と定義するものは、何も無い。
これも、りり(地球の人間)の記憶が元になっているのだろう。
りりにとっては、「ごちゃごちゃ動いている」のが「虫っぽい」と感じていたのか、
りなたちもいつしか、それらを「むし」と呼ぶようになったのだ。
ミスリードが補足される
りなっち「お前どっから来た!」
りなじ「水のところに隠れてたのか!」
「水場にいたわかばが回収されて現れた」というのはミスリードであると、前回考察した。
それをさらに捕捉する会話になる。
こう来ると、視聴者の意識は「なぜ水のところに隠れてたんだ?」と、なってしまうのだ。
巧妙。
自分の名前を知っていたわかば。りんたちは?
りつ「あなたは?」
わかば「僕は… えーっと… わかば…です。」
わかばは、自分の名前を覚えていた。
このことから出てきた疑問は、「りんたちの名前は、誰がつけたのか?」ということだ。
元となった「りり」の名前すら覚えていなかった様子なのだ。
なのに、全員名前に「りり」を想起する「り」が頭文字となっている。
りりが葉を生成しているときに、既に決めて呼びかけでもしていたのだろうか。
これについては、全く情報もないので、考察しようもない。
黙って観察するりん
りん「なんだ…?こいつ。 確かに普通のむしとは…
だが!あの血の色…!」
途中から、わかばへの問いかけをやめて、静観していたりん。
どうやらりょくの目の力で、注意深く観察していたようだ。
4話でも、りんは「見て」、ヌシを「ヌシ」と断定していた。
何を見ているのかは詳しくはわからないが、
「見たところ、わかばはあかむしとは違う」、と判断したようだ。
キラキラと眩しく見えるわかば?
わかば「あの光ってる木…。」
りつ「みどりちゃんにゃ。」
わかば「さっき、下でも、似た光を…!」
りつ「根っこが繋がってるから当然にゃ。」
わかば「えぇ!すごい! そんな長い距離を!? 気になる~!」
拘束されて尋問されながらも、みどりちゃんが気になるケムリクサアホのわかば。
顔もキラキラと輝いている。
Aパートで、みどりの根っこを見たときが、わかばの初キラキラシーンであった。
この演出上のキラキラが、周囲の者にも見えるものかはわからないが、
りんは視界がボヤケているかのようなしぐさをする。
今は、「演出上のキラキラは周囲の者にも見える」と仮定しよう。
わかば登場時にキラキラ光って見えていたのは、
りりの記憶の葉の影響だと、前回考察した。
ここでは記憶の葉は反応していなかったが、キラキラ光っているように見えたのが、
りんは最初と同じ現象だと勘違いしたのかもしれない。
実際のところは、りんの視界がキラキラしていたのではなく、
わかば自身がキラキラしていただけだ。
やっぱりたまに怖いよ、りつ姉
わかば「撃つってなんですか? 撃つってなんですか!?」
りつ「みどりちゃんの葉だにゃ。 えっへん!」
こわいよりつ姉(笑)。
それが今から撃ち殺す相手に向ける言葉ですか!
このあとのりなたちの、「砕け散る」「ぐっちゃぐちゃ」という発言も大概だが、
それは事実を事実のままに伝えているだけだ。
りつ姉のは、
銃で撃つ前に、
その銃の自慢を聞かせてるようなもんじゃないですか!
だがそれがいい。
わかばが追い詰められて何かするのかと、警戒するりん
りんが葉を撃とうとしたことで、わかばはうなだれる。
追い詰められたわかばがヤケを起こすのではないかと思ったのか、
りんは撃とうとするのを一度やめ、りなを守る態勢を取っている。
死を受け入れるわかばと、怯むりん
しかし驚くことに、ここでわかばは、死を受け入れ、
あろうことか、自分を殺そうとしている者たちに、謝罪を始めたのだ。
わかば「しかた…ないですね。お話聞いてると、皆さん相当警戒されてますし。
きっとこれまで、大変なことがあったんですよね。
なんかすみません! お騒がせして。
僕と似た何かが、ご迷惑をおかけしてたのなら、それも…。
さっき皆さんも、ケガとか無かったですか?
あっ さっきの水も、汚しちゃったりとか!?
大丈夫でしたかねえ…?」
「死の受容過程」
「死ぬ瞬間」のヒトの精神状態について、アメリカの精神科医が提唱した
「死の受容過程」というものがある。(参考:Wikipedia)
これによると、ヒトが自分の「死」に直面すると、
最初はその事実を否定し、
次に、怒りを周囲に表し、
次に、死ななくて済むよう取引を考え、
次に、絶望し、
そして最後にようやく、死を受け入れることができる。
これらは、通常は長い時間をかけて辿る。
つまり普通ならこのときのわかばは、
拒絶して怒り、ヤケクソになって暴れるところだ。
りんが警戒態勢をとったのは、至極真っ当である。
瞬時に死を受け入れたわかば
だがわかばは、死を瞬時に受け入れ、謝罪した。
しかも的はずれなことは全く言っておらず、パニックを起こしている様子でもない。
11話の研究者ワカバも同じだった。
赤い木の絶望を目の前にして、彼はりりを守るために、死も恐れず、
恐らくあの時点で最善の行動を起こした。
これは、ワカバ(わかば)特有のものなのか、
ワカバの人種全てがそういうものなのかはわからない。
(私個人としては、前者であってほしい)
とにかく、
わかばのこの「強さ」に、りんは怯んだ。
地球人のりりの記憶が根源にあるりんにとって、異様に思えたからだろうか?
だが、姉妹であるりなとりつの反応は、りんとは少し違う。
どちらかというと、「ペラペラしゃべること」に疑問を抱いているだけだ。
りんだけが、わかばの死の受容に怯んだ。
ここでりんだけが感じたことは、なんだったのだろう。
りんだけが感じた違和感
物事へ抱く感情(感動)は、その人の経験に大きく左右される。
子供の頃見てもなんとも思わなかった映画が、
大人になってから見たら深みが増して感動した、
というのは、よくあるだろう。
りんだけが経験してきたであろうこと。
それは、「姉妹たちの死を看取ってきた」ことではないか。
りなこは、死の間際でも、当然のようにそれを受け入れ、笑顔で消えていった。
そしておそらく、他の姉妹もそうだった。
りんはこのとき、
姉妹たちと同じように死を受容していたわかばに、
既視感を感じたのではないだろうか。
そして、
「絶対に誰も死なせない」ことだけが目的になっていたりんにとって、
まるで、自分の命よりも大事なものがあると悟っているかのような彼らの行動は、
とても理解できるものではなかったのだろう。
だからりんは怯んだ。
りんは考えることをやめた
りん「…もういい! 処理する!」
「理解はできない」。
だがとにかく「みんなを守る」。ただそれだけ。
りんは考えることをやめて、わかばにケムリクサを撃った。
次回、Bパート中盤!
今回こんなに長くなると思わなかった。
書いている内に、りんがわかばに怯んだシーンで、
急に上記のような内容が閃いてしまった。
…ということは勢いで書いているだけなので、あまり当てにしないほうがいいかもしれないね。
次回! Bパート中盤!
わかば処理失敗!
引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。
コメント
りつ姉の銃自慢!
笑いました
みどりちゃんへの愛が深すぎるw
今から撃たれるわかばからすると、
なにが「えっへん」だ!
という感じですw
動画から来ました
自力では見落としが多すぎて拾いきれないので
こういうガッツリ考察を待っていたので嬉しいです
続きもお待ちしています
ありがとうございます。
モチベーションが向上します!
流暢ではないが話せるむし…
同人版で戦っていたヌシが喋っていたことを思い出しました。
「このエリアは禁煙です」
いましたね!
「分煙」の裏設定が無くなったのか、機械音声でしゃべるヌシは結局登場しませんでしたね。