アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第8話Aパートの前半(八島から)について。
過去の記事はこちら。

第8話 Aパート 前半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第8話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
冒頭の戦闘は…?

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
8話は、いきなり戦闘の終わり際から始まる。
しかも、皆こなれてる感じなので、
七島を出てから、既に数戦交えているようだ。
このときの戦闘が、一体どんな状況だったか、
ここで想像してみよう。
大型の赤虫6体に囲まれた
最初のシーンでは、りんは大型赤虫5体に囲まれていた様子だったが、
後のシーンと比較すると、後方にももう1体の赤虫がいたことがわかる。
このときは、少なくとも6体の赤虫に囲まれていた、ということだ。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
また、りなたちが倒れていた位置も、後のシーンから推察できる。
このとき映っていた岩と似たようなものが、電車右後方にあるので、この辺だったのだろう。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
りなのモモちゃんが奪われた
先の画像を見るに、りなたちは、電車の後方にまとまって倒れていたことになる。
ではなぜこんなことに?
そこで、このときの戦闘の状況を振り返る、りなの発言がある。
りな「いやー危ない危ない。モモちゃん取られちゃうとこだったナ。」
りなの分身の源となる「モモちゃん」が、赤虫に奪われかけていたようだ。
消えかかっている3人のりなと、
わかばがモモイロの葉をりなに戻している様子から見ても、
このことがわかる。
葉が奪われたなら、すぐに取り返さなくてはならない。
そうして焦ったりなたちは、葉を奪われまいと赤虫に向かっていったが、
そこで葉を剥がされ、1人を除いて動けなくなってしまった。
後方でまとまっていた、ということは、
葉を奪われたりなが、後方にいた、ということではないか。
モモちゃんの持ち主は、りなの任意で変えられるのは、
3話や4話のやり取りからわかっている。
移動中のりなの位置はまちまちだが、
後方にいたのは、りなじかりなよだろう。
一番乗りが好きなりなっちは先頭、
半分寝ている状態のりなむは電車内にいることが多い。
5話移動中でも、後方を歩いていたのは、りなじとりなよだった。
(これも私の考察に過ぎないが)

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
特にりなよは、全体を見渡すが故、自分の守りが疎かになりがちで、
1話でも赤虫に捕らえられてしまった。
このときも、不意討ちで攻撃を受けたのは、りなよだったかもしれない。
腑に落ちないのは、
4話にて、りなむからモモちゃんを取り出したら、
りなむ以外が消えかかっていたことである。
このことから、「モモちゃんを失ったら、りなむ1人に戻る」と考えていたが、
この8話で1人残っていたのは、りなむではない。
最後の一人となったりなは、モモちゃんを戻した後も、目を見開き、喋っていた。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
ということは、
葉を体外に出したときに、誰を残すかは、りなの判断次第なのかもしれない。
良く言われる「りなむが本体」、…とは限らないのではないか、ということだ。
みどりの葉と水を消耗している
さて、りなの葉が奪われたとしたら、りんが血相変えて飛んできそうなものだが、
そうもいかなかったようだ。
恐らくそれと同時か、それ以前に、前方に5体の赤虫が現れた。
りんが退いては、りつと電車が狙われる。
そこで、戦闘後のシーンをもう一度思い出して欲しい。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
電車の左後方に、赤虫が1体いた。
位置関係的に、こいつを倒したのは、りつではなかろうか。
そして、こいつがりなの葉を奪った赤虫だとしたら、
りつは、りなの葉の奪還のために動き、りんもそれを任せた、
ということになるだろう。
戦闘に不向きとなったりつが、どうやって大型を倒したかはわからないが、
戦闘後に座り込んで咳き込んでいた様子を見ても、
かなりの体力を消耗したであろうことがわかる。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
そして、モモちゃんをりなに戻したのは、わかばであった。
赤虫を倒すことに体力を使い果たしたりつが、
わかばに、葉をりなのところまで持っていくよう頼んだ、
あるいは、わかばが自発的に行動した、
と考えれば、流れが出来上がる。
まとめ
8話開始直前の様子を、まとめてみよう。
先頭りん、最後方りなよで、移動していた。
大型赤虫の不意討ちを受け、りなよが襲われる。
ほとんど同時に、前方に5体の大型赤虫が出現し、りんが対応する。
後方の不意討ちに気づけなかったのは、前方の気配に集中しすぎたためだ。
りなよを襲った赤虫に向かっていったりなたちだが、モモちゃんを奪われ一人となる。
りつが根の力を使って、この赤虫を倒すも、反動で動けなくなる。
倒した赤虫から、わかばがモモちゃんを取り戻す。
この間に、りんは5体中4体の赤虫を倒す。
そして、8話へ。
こんなところではないだろうか。
時間の経過
7話からどれくらい時間が経っているのか。
様々な材料から考察してみよう。
水と葉が減っている
電話ボックス3つ分まで満タンに補充していた水だが、
既に1つ目が半分以下になっている。
これは、もう少し後のシーンだとよくわかる。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
また、みどりの葉も、7話から少し減っているように見える。

【出典】『ケムリクサ』第7,8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
水と葉をこれだけ消費するほど、長く辛い道のりだったのだろう。
わかばが手のひらで根を探れるのが、既知
手のひらで熱源を感知する手法は、6話でりくがやっていたことだが、
わかばがやるのは、実はここが初めてである。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
にも関わらず、りつは、わかばにそれができることを知っている様子だった。
りつ「わかばくん、近くの根っこの位置って、わかるかにゃあ?」
七島を出てから、ここに来るまでの間、
それを知るやり取りが既にあった、ということだろう。
実際の距離で、150km以上の道のり
地図や風景から、位置的にも、かなり北側に進んできていることがわかる。
現実の地名でいうと、富山県あたり。
これは、七島の湖のモデルである琵琶湖から、直線距離にしても、150km以上はある。
船内の地形もほぼ実寸通りだとして、
これを、赤虫や赤い根を避けつつ、時には戦闘し…と進んでいるのだから…、
数日どころか、数十日は経っているのかもしれない。
シロに気づくのが遅いりな
ここで、シロが追いついた。
最初に気づいたのは、聴覚が鋭いりつ。
そして、視覚に優れたりんは、りつの様子に即座に反応できたのか、ほぼ同時に気づく。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
次にわかばが気づいて、
このとき大きい声を出したおかげか、最後にりなたちも気づく。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
こういうところが凄く細かくて、
見直すたびに感心させられる。
(もう何度言ったかわからない)
シロに嫉妬するりなじ
無事にここまでたどり着いたシロを褒めるわかばと、
それに対抗意識を燃やすりなじ。
わかば「シロは賢いねぇ~。」
りなじ「わかば! りなじのほうが賢いのナ!」
りなじは、「賢い」という言葉に、過剰に反応しているようだ。
3話では「お姉さんだから色々教えてやる」とも言っていたりなじは、
わかばに対し、どこか姉のような威厳を保っていたのだが、
それがここで失われると思ったのだろうか(笑)。
もしくは単純に、自分も褒めてもらいたかったかもしれないが、
「りなじも賢い」ではなく「りなじのほうが賢い」という言い方から、
それとは少し違うのかもしれない。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
地図はどこから?
地図のデータを持ってきてくれたシロだが、一体どこから取得してきたのか。
後に、九島の地図を、「九島に行ったことがある仲間」から、
近距離通信で受け取っていたようなので、
同じように「八島に行ったことがある仲間」から受け取ったのだろう。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
シロと同形ではないが、白色のムシは、各地にいたので、
それらと意思疎通が可能だったのかもしれない。
なぜ合流が遅れた?
7話ラストでは、わかばとすぐ合流できる距離まで追いついていた様子だったが、
あそこで合流しなかった。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
これがなぜなのか、あの時点ではわからなかったが、
もしかしたらあの時点では、六島と七島の地図しか持っていなかったのかもしれない。
地図調達の任を受けたのが、六島手前でのことだったからだ。
シロは、八島に向かうわかばを確認して、
そこで改めて、八島の地図を入手するために再度探索に出たのかもしれない。
なんと健気。
疑り深いりん
シロに対して、りんは冷たい。というか、疑り深くなっている。
りん「おい! 今そんなものに構ってる時間はないぞ!」
りん「信用できるのか?」
「正体不明のものは、みんなに危険を及ぼすかも」という不安が、常にあるのだろう。
これまで、自分の目の前で姉妹がムシに殺され続けてきたので、不信感があるのは至極当然だ。
1話でわかばに対してもそうだったように。

【出典】『ケムリクサ』第8話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
実際、もしシロが赤霧に侵食されたとしたら、空橋のヌシとの再戦ともなりかねないので、
シロの同行に慎重になるのは、妥当な判断とも言える。
オープニング後半期
8話以降、オープニングの映像が一部変わっているので、
それについても後ほど考察を書く。
しばしお待ちを。
次回、第8話 Aパート 後半!
7話から時間が少し飛んでいるようだが、
細かく見ていくと、色々と読み取れるようになっているのが、おもしろい。
次回! 八島のトンネルへ!

ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。

コメント
更新お疲れさまです。
この8話冒頭のモモイロの扱いも、監督に聞きたい事項のひとつでした。
「身体が色を失って停止する原因。モモイロを入れるとなぜ動くのか。」
りなの本体の葉はモモイロのチカラで分割されている、モモイロは1枚きりとすると、普段からりなむ以外のりな’sは本体の葉以外は持っていないという事になるんですが(強化の葉は脇に置くとして)、
分身の身体が停止する原因がモモイロの喪失だけなの?という理由と、モモイロを入れると動く理由がどうもわかりませんでした。1話のりなじは散る寸前まで自我を持っていましたし。
ugさんの考察の様に、12話のモモイロを譲渡して失うと分身がすべて消えて分割前のりなに戻る、という形の方が理解できるんですが。。
こればかりは想像しかないのですが、個人的な考えでは、
1)6体分割のりなは、分割された本体の葉以外にモモイロのケムリで満たされている状態で初めて自我を持って動ける。灰色の身体はモモイロのケムリが消失している状態。わかばは取り戻したモモイロの葉でケムリを充填している。
2)モモイロの葉はルーターで、分身5体は子機。モモイロを喪失すると本体からの指令を飛ばせないため子機の身体は機能停止する。わかばの行為は子機の再起動。(とすると、りな’sの性格分けは全て本体からの演技指令??)
3)実はモモイロは分身それぞれにあって合計6枚。わかばには1枚しかないように見せていた。8話で種明かしして分割したモモイロをそれぞれに入れている。12話ではモモイロを1つにまとめて譲渡。
のどれかかなと考えてました。でもどの案にしてもりりの分割と矛盾が出るんですよね。w
PS.この8話放送当時、
「え?りつ姉、みどりちゃんと一体化してたんちゃうの?」Σ(゚д゚;)
と驚いた人は私だけではないはずッ!
あとりつ姉の死亡フラグが回収されるんじゃないかとハンカチ握りしめてました。w
モモちゃんは謎が多いですね。
どこでどういう経緯で手に入れたのかも謎。
妄想を膨らませられる要素だと思います。
色々な可能性をお聞かせ頂けるのは、おもしろいです。
あ、なるほど、りつが根っこから離れたのは、ここが初めてでしたか。
確かに重要なポイントですね。
私は「りつと根は別」という先入観から、その発想には至っていませんでした。
むしろここでは、離れてたから息切れしていたのかもしれない。