アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第7話Aパートの前半(七島入り口付近)について。
過去の記事はこちら。
第7話 Aパート 前半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第7話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
七島の陸地はどこ?
四島は地形が沈下していたため、六島の地下道の入り口は、ガケに丸見えの状態だった。
そして地下道を抜けた先の七島は…
陸地はほとんど無く、巨大な根の上に、
街灯や標識や高架などの建造物が存在している。
根のはるか下は、赤くない霧で覆われているようだ。
りん「赤霧がほぼ無いな。
これなら、多少霧に入っても、問題無さそうだ。」
わかば「確かに、真っ白に近いですね。
この木と何か、関係してるんですかね?」
四島が沈下していて、六島が陸地を保てているのは、みどりの根が守ってくれたおかげ、
と、以前考察したが…、
それだけなら、大木が根を張る七島の陸地も守られていなければおかしい。
三島以降、陸地が保たれているのは、六島だけだ。
六島だけにあるものといえば、地下道だ。
実際の地盤は、地下道を作れば脆くなるだろう。
しかし、ケムリクサの抽出で作られる地形は、
そもそも地盤の底の底まで全て再現していたわけでもなさそうである。
これは、三島の道路のすぐ下まで赤霧が来ていたことなどからもわかる。
そのため、六島のように
地下に建造物があった場合は、
その分生成される地形(深さ)が増すので、耐久性が上がる
のではないか。
わかりづらいと思うので、また安い絵で図解しておく。
島の断面図(横から見た図)だ。
11話冒頭時
・抽出時は、各島の地表の高さは揃っていたはず。
・各島の下地は、9話冒頭で歩いた地形と同様。
あるいは、それが崩れた中のクサの本体(?)である。
11話~はじまり
・赤霧は、島の上も下も関係なく広がっていく。
下のほうが溜まりやすいと思われる。
赤霧の拡散は圧倒的に早く、ケムリクサでできた島の地盤を破壊し始める。
・七島以外の壁は、やがて破壊される。
・ワカバは壁で赤霧の拡大を抑え、みどりの木で浄化しようとするが、
根や枝は、隣の六島および八島までしか伸びなかった。
しかし根は六島の地下を貫き、これが支えとなる。
また、六島は地下街がある分、他の島より崩れにくい。
0.8話~7話(現在)
・七島の壁内を中心に、霧は浄化できたが、木は枯れる。
・六島以外は、地盤が沈下し、地表の赤霧が濃くなる。
六島の地表は他より高いが、赤霧は滞留している。
・みどりの木の枝の先端と思われる、後の「みどりちゃんの苗木」は、
0.8話~0.9話の間で、りつが発見し、持ち帰る。
・七島の建造物は、根が伸びたときに上に持ち上げられたか、
もしくは地盤が崩れたとき、枯れた根の上に落ちた。
両方あると思われる。
ところで、↑の風景では、水面のようなものが見えるが、
りんたちが全く反応していないので、水ではないのだろう。
だとすると、葉脈に見えるが、その下にも根は広がっているように見える。
これは一体なんなのか、さっぱりわからない。
補足
大木の道について、
りつは「根」と呼び、りなは「枝」と呼んでいた。
りつ「りょくちゃんの言う通りなら、この根をたどれば…!」
りな「でも、葉っぱがなってないナ。」「ずっと枝が続いてるナ。」
りなは、上を見上げながら話しているようなので、自分たちの歩いている場所より上のものを、
「枝」と判断しているようだが…。
おそらく上に伸びているのも、全て根だと思われる。
しかし正直なところ、枝でも根でもどっちでも良くて、
「みどりが伸びている」のがわかれば良い。
信じられない大きさの木
わかば「すごい! 信じられない大きさですね!」
わかばの言う通りで、これほど巨大な木が現実にあったら、とんでもない事である。
現存する最大の木の、何十、何百倍もありそうだ。
4話のウスイロや、11話の赤い木(苗木)は、
目に見えるほどニョキニョキと伸びていたが、
水さえあれば、短時間で際限なく伸び続けるのだろうか。
価値観の違う、りつとりな
りつ「こっちのみどりちゃんも負けてないにゃ!
ツヤとか音が、こっちのみどりちゃんの方がいいにゃ!」
りな「そうかナ? 似たようなもんじゃないかナ?」
りつ「そんなことないにゃ! 全然違うにゃ!」
珍しく、声を荒げるりつ。
りなは味覚には敏感だが、
ツヤとか音について自慢されても、その違いがほとんどわからないのだろう。
「巨大さ」は、りなでもわかる。
りなを納得させるには、
「みどりちゃんの葉の方が、おいしいにゃ。」
とでも言えば良かったかもしれない。
これはこれで、逆にりつにはわからない感覚なので、
りつの口からそんな反論が出てくるとは思えないが。
夢見るりょくちゃん
りつ「そういえばりょくちゃんは、”かわ“っていうのも言ってたにゃあ。
水がいつもたくさん流れてて、取り放題なんだってにゃ。」
りな「夢のようだナ~。」「りょくちゃんて話聞いてると、夢見がちだよナ。」
五島以前の記憶がほとんどないりなには、
りょくは話の中でしか知らない「物知りの妹」という存在だ。
湖や川など、見たこともないものについて語ったとするりょくのことは、
夢見る乙女だと思っているようだ(笑)。
りょくからすると、空想ではなく、資料から得たであろう事実を語っているのだが。
12話ラストに広がる光景は、湖と川があり、まさに「夢のような光景」だった。
ちなみにここでの会話シーン、りなが上から急に顔を出しているが、
りつはその音を事前に察知したようで、耳がピクッと動いている。
実に細かい。
りくとアイイロ
りなじ「そういえばわかば、どこでアイちゃん見つけたのナ?」
りなよ「よく見つけたナ!」
りつ「いつも、りく姉が見つけてくれたのよにゃあ。」
アイイロは、りくにしか見つけられなかったらしい。
見つけるのに、触覚が関係しているのだろうか。
もしかしたら、わかばにも見つけられるのかもしれない。
りつ「考えたらりく姉は、自分で水探せるから、あれっていつも、
私たちのために持ってきてくれてたのよにゃあ。」
りくがいれば、水の捜索には困らないはず。
それでもアイイロを、りく自身が見つけてきていたのは、
自分にもしもの事があったときのことを考えていたのだろう。
りくが死んでしまうと、残された姉妹は水を探せず途方に暮れる。
そうならないために、アイイロを確保していたのだろう。
やはり、りくはガサツそうに見えて、なかなかのキレ者だ。
アイイロの触り心地がいいから集めてただけ、などであってほしくはない(笑)。
「いつも」という言い方から、アイイロは過去数回交換してきたことが伺える。
6話で寿命を迎えたアイイロが、りくの生前から動き続けていたはずなので、
数回交換したということは、それだけ長い時間が経過していることがわかる。
一段と警戒を強めている、りん
りん「まだよくわからないから、油断しないで。」
りん「赤虫もいなさそうだが、何があるかわからない!
警戒していこう。」
七島には赤霧も無く、皆警戒を緩めてウキウキしがちだが、
りんだけは警戒を一層強めている。
これについては、りつが詳しく説明してくれている。
りつ「今まで新しいところにいったときは、
いつも、りんに辛い思いをさせちゃってるからにゃあ。
わかば「あ… 確か… 誰かがお亡くなりにって…。」
私の推測だが、
一島を出たときにりょく、
二島を探索中もしくは三島に進んだときにりょう、
六島に進んだときにはりく、
と、りんが「新しい場所」に訪れたときに、
みんな死亡している。
おそらく、りなぞうも六島に進んだときだし、
りなこの場合は一島だが、「今まで知らなかった場所」を探索した直後だった。
三島休憩時には、原因不明の地震に襲われたりもした。
安全そうだからといって油断しては、また誰かを失ってしまうという懸念が、
このときのりんにはあったのだろう。
ちなみに、ここでわかばが想起したのは、一島を出るときの
「島を出るとだいたい誰か死ぬ」という、りんの言葉だろう。
りくには会えたので、りょうかりょく、特に、りょうは死んでいると、
ここまでの流れで推測しているはずだ。
心情を語る、りつ
りつの、わかばに対する信用度も上がっているようだ。
4話では、「ヌシの話はりんの前ではしないで」と忠告しただけだったが、
ここでは詳しい事情と、自分の心情まで吐露している。
りつ「いっつも私たちのために気を張ってくれてるから、
りんにももっと気楽に過ごして欲しいにゃあ。
好きなこと見つけて… 少しは、気を抜いて…。
水さえ見つかったら、今度こそ…!」
各々の関係性が、時間と共に微妙に変化していく描写が実に緻密なのも、
『ケムリクサ』の魅力であろう。
探検好きのりん
りつ「元々、わかばくんみたいに、知らないところ探検するの、
結構好きだったのにゃ、りん。」
作中ではここで初めて、りんの「好きなもの」が一つ示唆された。
最終的に、「りんの好きなもの」=「わかば」というのが印象的すぎて見落としがちだが、
「どちらかと言えば好き」というものに、「知らないところを探検すること」があったようだ。
しかし、それをしていると、辛いことばかりが起きてしまって、
「好き」と言えなくなってしまった。
りつ「でも、知らない場所に行くたび、大変だったから…。」
この辺りは、作品のテーマに深く関わっていそうである。
りつにしてみれば、「安全」を確保して、
りんの好きだった「探検」を、思う存分してもらいたい、という気持ちだったのだろう。
12話のラストを見るに、この伏線すらも回収される、ベリーグッドエンドとなったわけだ。
りんには、外の世界を存分に探検してもらいたい。
次回、第7話 Aパート 後半!
7話Aパートは、前後編でまとめられそうである。
そもそも、「前半」「後半」と言っているのに、「中盤」ってなんなんだ。
次回!
七島の壁!
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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