アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第3話Aパートの後半(二島壁越えから二島休憩地点到達まで)について。
過去の記事はこちら。

第3話 Aパート 後半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第3話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
あいちゃん、登場
島内の水を感知できる
りなっち「水もやっぱり無いっぽいナ。」
りなじ「全部回収したからナ。」
りなじ「この島に水がどれぐらいあるか、わかるんだナ。 えっへん!」
水を感知できる藍色のケムリクサ、通称「あいちゃん」。
2話に続いて、二度目の登場である。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
「近くの水」ではなく、「島の水」がわかる、という言い方が少し気になったが、
6話では、六島にて、七島の湖を感知していたため、
「近くの水」を感知できるという解釈で、問題無さそうだ。
葉の動きから、わかるようだ。
この時点では、「近くの水の量」がわかる、という説明だったが、
後々、「方角」もわかる描写があるので、そのとき改めて取り上げよう。
「魚」を知っている、わかば
わかば「魚みたい! これもしかして、水の場所がわかるんですか?」
わかばは、「魚」というものを知っているようだ。
1話で登場してからここまで、魚は一度も見かけてはいないので、
これは恐らく、「ワカバの知識」を受け継いでいるのだろう。
さらに、ワカバはどこで「魚」を知ったのかについて考えよう。
地球から転写されたものを見たことがある
湖からりりが転写されたように、
魚や、他の動物も、同じく転写された可能性がある。
「生き物は転写されないはず」ということ(11話)から、どれも死体であったのだろう。
その生物について調べ、「魚」というものを知った。
りりに教えてもらった
ヌシたちを「虫っぽい」と呼んでいたりりなので、
何か別のものを、「魚っぽい」と発言していて、
それが、ワカバが「魚」を知るきっかけになったのかもしれない。
あるいはそれがまさしく、「藍色のケムリクサ」だったかも?

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
ちなみに、りんたちが「魚」というものを知っているかどうかは不明。
りりの持っていた知識は、ほとんど欠損しており、
りくは「動物」すら詳しく知らない様子だった。
わかばの「魚」発言にも、特に反応がない。
「知識の継承」という点では、
りんたちより、わかばのほうが、優れているようだ。
三島までは探索しつくした
りな「三島も水ないんだよナ~。」「四島から期待だナ!」
二島、三島の水は「全部回収」したらしい。
島全体を一回りする程度には、探索をしているのだろう。
四島以降に比べると、危険度はずっとマシだったようで、
りく死亡後は、ほとんど二島、三島をうろついていたであろうことが、想像される。
りつの異変に、すぐさま駆け寄る妹たち
りん「姉さん! 平気!?」
りつが咳き込むと、
すぐさま側に駆け寄った、りんとりな。
1話でも、りつが咳き込み、りんが心配するシーンがあった。
咳一つで、ここまで過剰に心配するものだろうか?
実際、わかばは、りつを心配するよりも、現状を見て不思議そうにもしている。
咳は、りつしかしない
現実において、多少の咳をした人がいたところで、そこまで心配をすることはないだろう。
それは、誰にでもよくあることだから、である。
ということは、りんたちにとって、「咳」という症状は、
誰にでもよくあることではない、珍しい現象なのではないか。
本体の葉を消耗しすぎると咳き込むのは、りつだけの特徴のようだ。
みどりと融合していることに、関係があるのか?
1話で、あかぎりに根を伸ばそうとした際にも咳き込んでいたのは、
まるで「あかぎりが毒ガス」であるかのような描写ではあった。
しかし、よく思い出して欲しい。
その後、
あかぎりに足を踏み入れたりんも、
りなよを助けにあかぎりに飛び込んだわかばも、
あかぎりに放置されていたりなよも、
咳き込んだ様子は一切ない。

【出典】『ケムリクサ』第1話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
少なくとも作中の描写においては、
「咳をする」という症状は、あかぎりは関係なく、
「みどりと融合したりつが、過剰な力を行使」したことでしか見られないのだ。
「恋」を知らないことで、りつがりんを心配するように、
「咳」を知らないことで、りんたちはりつを心配している。
なぜりつだけが咳をするのか。
それはさらに次のシーンで考察しよう。
本体の葉から発生する気泡
りつ「だいじょぶ、だいじょぶ…。ちょっと一気に来ただけにゃあ…。」
「一気に来ただけ」というのは、移動距離のことではなく、体への反動のことだろう。
移動距離のことを指すなら、「一気に来たから」と言うはずだ。
本体の葉から、かなり気泡が発生しているのが見える。
気泡が出ているということは、その空気は体外に排出されているはずで、
呼吸器官を経由し、口または鼻が出口となっている。
咳き込んだときの吐息が、気泡と同じ色だ。
また、本体の葉の消耗と、気泡の発生量は、比例しているものと思われる。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
りつだけが咳き込むのは、この気泡の発生が多すぎるせいなのだろう。
つまり、「みどりの根の力」を使うことは、本体の葉の消耗が大きすぎる、ということだ。
どうして本体の葉を消耗している?
りつが元々持つ、超聴力を行使するのは、
みどりをエネルギー源とすることが可能なようだ。
耳が緑色に光っているのは、それを表してる。
1話で、りんとりなは、みどりの葉を体内に取り込んでいるが、
りつはそうした描写は一切無い。
根と融合していることから、直接みどりのエネルギーを取り込んでいるのだろう。

【出典】『ケムリクサ』第1話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
しかし、
みどりの根そのものを行使する場合、
みどりをエネルギー源に扱うことはできないようだ。
スマホの充電を、そのスマホ本体の電力で行うことはできない。当たり前だが。
みどりの根を使うためのエネルギーは、
りつが本体の葉から供給するしかないのだろう。
まとめると、
みどりの根の力は、本体の葉を消耗しなくては扱えず、しかも消耗が激しい。
これが、りつだけが咳き込むことの要因だろう。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
りんが本体の葉を使おうとすると、必死になって止めるんだから、
自分のことももっと心配してくれ!
りつ姉!
根を張ると、地上の音を広範囲に感知できる?
地面に根を張り、
マップで広範囲を索敵しているような描写が見られる。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
一島では、島の各所に根を張り巡らせて、島全体を感知していたようだが、
自分たちの周囲を察知するだけなら、これでも十分なのだろう。
直後のりつの発言から、音で索敵をしていることがわかる。
りつ「ざっと聴いた感じ、大きいむしはいないと思うにゃ。」
「大きいむし」限定での索敵ということは、足音で判別しているのだろう。
あかぎりは、りんが視認
りん「見える範囲では、あかぎりも無さそうだ。」
あかぎりは、りつには雑音としてしか聴こえず、判別がしづらいことが、1話からわかっている。
そのため、周囲にあかぎりが迫ってきていた場合、それを察知するのは、
視認できるりんの役目である。
水を摂取することに、後ろめたさを感じるりつ
りつ「大丈夫にゃあ。大げさにゃあ。」
りつ「ふがいないにゃあ…。」
りつ「いいにゃいいにゃ。そこまで葉も渇いてないし、もったいないにゃ。」
休憩し、水を摂取することに、度々遠慮するりつ。
前線で戦えない自分が水を浪費することに、後ろめたさを感じている。
このときの胸中が、5話で明確に語られることは、既にご存知だろう。
りんが、「もっと飲んで」と言っていることから、
とりあえず、一杯分は飲んだようだ。
しかし、二杯目を飲んだことは描写されていない。
遠慮しつつも、ちゃっかり者
りつ「みんなが先に飲んでにゃ。」
りん「……。」
りな「…!」

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
りつのお許しが出て、「待ってました」と言わんばかりに、
無言で「水飲みたい」アピールをして現れる、ちゃっかり者のりな(笑)。
それでも、りななりに遠慮しているのか、
自分から要求はせず、姉たちの判断に委ねている。
作中においても、水が飲みたいと、わがままを言うことは一切ない。
水を消費することに、悲観的にならない
一島、二島、三島では水が得られず、四島以降も未知数。
そんな中で、残りわずかな水を消費する、となると、
普通は悲観的にならないだろうか。
しかし、ほとんどの人がこのシーンを見て感じた事は、
「非常に和やかな雰囲気」
ではなかったか。
これは全て、りなたちのおかげだろう。
前述の「ちゃっかり」から、
水を受け取って素直に「わーい!」と喜び、
笑顔でゴクゴクする、良い飲みっぷりからの、
「たまらないナ~!」「これだナ~!」

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
残り少ない水の心配よりも、むしろ
「水、美味そうだな」
という、羨望が先に来てしまう。
冷静に考えると、絶望すべき状況ではあるが、
そんな事を考えさせないりなたちの、
ムードーメーカーっぷり、大発揮のワンシーンである。
りなたちの、水を受け取る順番

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
水を貰えるとなると、親鳥に餌をもらう雛たちのように、
我先にと騒ぎ立てるかと思いきや、
りなたちは、受け取る順番が決まっているかのように、整然としている。
りなっち→りなじ→りなよ→りなむ
と、順序を決めているのか? と最初は思ったが、
そもそも、一人が飲んだ水は、全員の体で共有できており、
焦る必要もない、ということなのかもしれない。
このときりつは「みんな飲んで」と言っていたのに対し、
りなの内二人しか飲んでいないのに、りんは「ほら、飲んだよ。」と返している。
7話や10話で水を飲むシーンでも、一部のりなは、水を飲んでいない。
(10話では、飲むフリだったが)

【出典】『ケムリクサ』第10話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
じゃあそもそも、ここでも二人が飲む必要はないのでは、と思うが、
りなは分身している分、
りんたちよりも水の必要量が多くなっている、ということかもしれない。
10日間は、水も飲まずに動ける
りん「言われてみれば、しばらく水を取っていなかったね。」
りなじ「これで10日は動けるナ!」
水一杯だけで(大量だが)、10日は動けるという、驚きの生命力だ。
それに対し、「しばらく取っていなかった」ということは、
10日ないし、それに近いくらいは、水を飲んでいなかったであろうことがわかる。
1話ではりなこも、「早くみんなで水飲みたい」と言っていたことから、
だいぶ節約していたのだろう。
(1話開始時点で、水が尽きているわけではなかった。)
わかばは、みどりで調律すれば大丈夫?
りつ「わかば君も飲んでにゃ。体の仕組みは知らないけど、水は必要にゃ?」
わかば「いえいえ! 僕は…!」
りん「姉さんが言うなら…。」
わかば「あ… ありがとう、ございます。」
りんたちと同じく、わかばも飲まず食わずでここまで来ているわけだが、
全然問題ないようだ。
このときも、りんに水を差し出されて、断りきれなくなった感じだ。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
1話と2話で、りんにみどりの葉を体に浴びせられているが、
これで満たされているのかもしれない。
11話のワカバを見るに、
りりの食事も、好奇心で食べているようにも見えるし、
みどりの葉による、「全身の調律」をすれば、生きる上では問題なさそうだ。
りながいなくなったのは、二度目?
りなの人数が足りないことにすぐさま気づき、
「またか」という感じで呆れるりん。

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト
これは、オープニングの考察でも触れたが、
以前にも、二島でりながいなくなることがあったのだろう。
ちなみにこのとき、電車に残っていた内の一人は、りなむ(画像右)になるが、
「…!」というような、ハッと気づいたような声を出しているようにも聞こえる。
次回、第3話Bパート前半!
二島で小休止し、りんとわかばは、りな探しへ…。
次回! Bパート!
テーマパークへ!

ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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