【ケムリクサ考察】オープニングについて (前半期)

アニメ
【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。

今回は、2話ラストが初のお披露目となった、ケムリクサオープニング(OP)について。

※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。

※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、

 遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。

※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。

 

作品の公開順に追っています。

過去の記事こちら

【ケムリクサ考察】まとめページ
アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。 物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。 皆様の参考となれば幸いです。

オープニング(前半期)

オープニングの楽曲は、

アーティスト:ナノによる『KEMURIKUSA』(レーベル:フライングドッグ)

である。

導入(イントロ)

六枚の葉、映し出されるシーン

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

一本の枝から分かれる、6枚の葉っぱ

葉には、六姉妹の「キラキラした顔、すなわち好きを語っているときの表情が映し出される

これらは、0.5話~0.9話のシーンに該当する。

このことから、これは記憶の葉」を表していると考えられるが、

作中の「記憶の葉」のは、輪郭がギザギザしているので、あくまで「表している」と捉えよう。

【出典】『ケムリクサ』第12話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

形や葉脈を厳密に比較すると、作中で該当するケムリクサは見当たらない

 

また、最後に落ちる葉は、消去法でりんに該当するが、

他とは違い、何も映し出されない

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

これは、りんが自分の「好き」を見つけていないことを示唆している

 

二枚重ねのりょうの葉

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

よく見ると、りょうの葉だけ、二枚重ねになっている

これは、りりの記憶の葉(最初のヒトの葉)を、最初はりょうが持っていたことを表しているのか、

(死に際で、りんに渡した)

9話でりょう葉に保存されていた」と言っていたことと関係しているのか、

そもそもそれがどちらも共通した話なのか…。

このあたりは、依然謎が多く明確に考察を示すこともできない

 

今のところ言えるのが、

りょうの葉が二枚重ねなのは、なにか理由がある

ということだけだ。

 

枝(幹)とりり

葉の枝(幹)の最上部をよく見ると、巻いたような形をしている。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

まるでくせ毛だ。

これは、

りりのくせ毛を表しているのではないか。

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

つまりこの苗木は、

6枚の葉っぱは、りんたち六姉妹を、

枝(幹)は、りんたちの元となったりりを、

概念的に表したものなのだろう。

 

ちなみに、この枝のくせ毛的なもの

一番上の葉っぱに付いているように見えなくもないが、

最後に落ちる葉っぱには付いていないので、

やはり枝についているのだろう。

 

『ケムリクサ』ロゴ

ロゴについては、既に0.5話~0.9話の考察で語った。

ここでは、簡単にまとめる

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

・「」に描かれる6枚の葉は、りんたち六姉妹を表し、3枚の葉が色を失っているのは、

 現時点で既に3人が死亡していることを表している。

 また、根本の球根は「はじまり」から色が着いていないので、これはりりを示している。

 

・ローマ字の末尾(「a」の右)に加わったドットは、りつが拾った「みどり」(ゆくゆくはわかば)

 を示しており、そのさらに上の上半円は、ドットを「」に見立てた盛り土を表している。

 

イントロの和訳

イントロでは、英語と日本語が混ざるが、和訳してまとめると、以下のようになる。

 

闇の中で鼓動が響く。

長い夜は続く。

 

自分を取り巻く地獄に立ち向かうときが来た。

己を壊され、焼き尽くされる前に、

終焉から今、魂は立ち上がる。

 

和訳すると、とんでもねえ中二感!

(私が訳しました。)

 

fine」という単語は、「finish」をイタリア語風にもじっているのでは、

と思い、そう訳している。

From under the fine」を直訳すると、「終わりの下から」となるのだが、

これは、

スタッフロールが上に流れていくと最後には、「Fine (おわり)」が表示され、

さらにその「下」(終わりの下)から始まる物語であることを示していると、

勝手に解釈している。

(筆者に語学力はなく、外国ではノリで会話する人間なので、間違っていたらご指摘下さい。)

 

上の訳が合っているとして、詳細を見ていこう

闇(夜)の中の鼓動

一島で息を潜めて生き抜いているりんたちを指している。

 

取り巻く地獄

真っ暗な世界廃墟あかぎりあかむし

そして全ての元凶の赤い木

これらを指して、「地獄」と表現している。

 

終焉から立ち上がる魂

終焉」を迎えたのは、この世界ワカバの命りりの命

立ち上がる魂」とは、その終わった世界から蘇ったわかばりんたち

 

こうしてみると、物語を抽象的ながら、忠実に表わしている。

 

引き続き、先に進む。

赤いワイヤーフレーム風景

赤いワイヤーフレームで描かれる風景を、後ろ向きに引いていく

地下道、線路、橋、テーマパーク、港… と、景色は流れる。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

これらは、それぞれ、

六島、四島、空橋、三島、二島… の風景に対応している

 

高速で一島へと向かっていることになるが、これと対応するシーンが、本編に存在する

11話で、ワカバによってりりが一島に転送されたシーンだ。

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

イントロで高速に引いていく風景は、りんたちが生まれる「はじまり」より以前に、

りりがここまで飛ばされてきたことを表しているのだろう。

 

 

Aメロ

一島への帰還

一枚目の風景は、一島の拠点と思われる場所。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

電車があるりつみどりと融合している。

上記二点から、0.9話以降であることがわかる

つまり、あれから一島に戻ってきた、ということだ。

 

後ろではりなが、はしゃいで走り回っている

りなは、新しいところに着いた時は、いつも走り回っているので(0.6話、7話)、

一島久々に戻ってきたところであろうことが、推測される。

【出典】『ケムリクサ』第7話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りつりんが何かを話し、りつが微笑んでいる

会話の内容は、「とりあえず一安心だにゃあ。」といったところか。

 

 

二島で勝手に動くりなたち

次に、二島のテーマパークと、同じ場所に移る。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

りな4人しか見られないことから、0.9話以降であると推測される。

おそらく時系列的には、一つ前の絵に続くシーンとなるのだろう。

一島に一度帰還したあと、再び島外に出た、ということになる。

 

3話において、りな勝手にどこかに行ってしまったことに対して、

りんは、「またか…。」という感じで呆れていた

【出典】『ケムリクサ』第3話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

おそらく、以前もこの同じ場所で、りなこっそり単独行動を取ったのだろう。

それが、このときの一枚絵なのかもしれない。

3話でりつが言っていた「二島でいっつもバタバタする」ということの一つか…?

 

以前は4人まとめていなくなったからすぐバレたが、

半分残していけばバレないかもナ…!」 

と、りなは考え、3話で実行したのかも(笑)。

 

 

四島の「分岐点」近く

3枚目の風景は、四島で、電車の車輪を修理した直後に通った場所だ。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

【出典】『ケムリクサ』第5話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

正確な場所は、既に特定していた方がおりましたので、参考にしました。

Ginneko3D (@airacg005) on X
#ケムリクサ OPで、りんが立っている工場を特定! 「大阪チタニウムテクノロジーズ 尼崎工場」である。 #ケムリクサ考察班

 

眼下を見据えるりん

四島のどこかに一時拠点を構えて、あたりを探索中、といったところか。

建造物が青白い光りを発しているのは、

演出上のものなのか、ケムリクサの輝きなのか…。 

(たぶん前者)

 

それにしても、オープニングと5話では、風景がだいぶ様変わりしている

1話まで、かなりの時間が経過していることが伺える。

 

 

九島を眺めるりつ

Aメロラストを飾る4枚目の場所は、三島と四島を結ぶ空橋だろう。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

柵の構造と、斜めに組んである柱は、4話の空橋でも同様のものを確認できる。

足元のあかぎりも、非常に濃い

【出典】『ケムリクサ』第4話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

遠くに薄っすらと、九島の山(富士山)が見えているようだが、

現実の日本では、瀬戸大橋から富士山は視認できないらしい。

途中に遮るものが少ないこの世界なら、見えなくもないのだろうか。

 

りつには遠くは見えないはずだが、りくりょうが、各々の感覚で「赤い木」を察していたように、

もしかしたらりつにも、「赤い木」の何かが聴こえていたのかもしれない。

 

Aメロの歌詞

吸い込んで 吐き出して 生死の狭間で 虚ろな瞳で見つめて

【出典】『KEMURIKUSA』(アーティスト:ナノ / レーベル:Flying Dog)

 

単純に、呼吸=生の実感、とも取れるが、

ケムリクサ』において「吸って吐く」といえば、りんが「みどりの葉」を使うときだ。

みどりの葉を使用するのは、まさに生死を懸けた戦闘の最中

虚ろな瞳」とは、目的を持たず戦い続けるりんを比喩しているのか。

 

今アクセル 踏み込んで トンネルを抜け出して

痛みを追い越していく

【出典】『KEMURIKUSA』(アーティスト:ナノ / レーベル:Flying Dog)

 

アクセル」や「トンネル」は、作中では出てきそうもない言葉だ。

みどりちゃんの根っこを「アクセル」として、六島の地下道の「トンネル」を抜けた、

という直接的なのも有りかもしれないが…、

 

前の歌詞から続いているなら、これらはりんの精神状態を比喩していると捉えてみよう。

 

アクセル」とは、「前に進む力」。

今踏み込む」ということは、無理矢理にでも踏ん張ってその力を出しているということ。

トンネル」とは、暗くて狭い「絶望の象徴。

そこからなんとか「抜け出して」いくが、

前に進んでいる限り、また次の「トンネル」が現れるだろう。

そして、「痛みを追い越す」ということは、「苦痛を置き去りにして進んでいる」ということ。

 

まとめると、Aメロは、

0.9話~1話にかけて、

あかむしと戦い続けるりんのことを表してる

ように感じた。

 

腕を落とされようが、足を失おうが、「平気だ!」活を入れて戦い続ける

りんの姿が目に浮かぶ。

【出典】『ケムリクサ』第4話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

 

Bメロ

ピンク色(マゼンタ)木の幹下から上に伸びていく

両脇には、りょくりょうりく線画

上にいくにつれ、画面を覆うが濃くなっていくが、

それでも幹は上に伸び続けていく。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

一つずつ確認していこう。

上に伸びていく幹

これは「時間の経過」や「物語の進行度」を表しているのだろう。

この色は、もちろん「六姉妹」のことを表わしている。

曲がりくねったり枝分かれしているのは、

紆余曲折を経ていることを表しているのか。

 

笑顔のりょくりょうりく

白黒の線画で描かれる3人。

下から、死亡した順に並んでいる

しかし全員、笑顔で眠っているような表情だ。

各々の「好き」を追い続けられた3人は、満足して死んでいった、という比喩だろう。

 

濃くなっていく

は、「あかぎり」を象徴している

時間の経過と共に、状況が一層苛烈になっていく様を表しているのだろう。

の枯渇あかぎりあかむしの増大

そして何より、赤い木の勢力拡大

 

りんたちは、日に日に劣勢になっていくが、

それでも生き続けていく

 

 

Bメロの歌詞

煙に消える影 Lost light 明日へ続くんだ

【出典】『KEMURIKUSA』(アーティスト:ナノ / レーベル:Flying Dog)

 

歌詞の内容が、まさにそのまま映像で表れている

」とは、「あかぎり

そこに消える影」、「Lost light(失われる光)」とは、

あかぎりから現れるあかむし殺されたりょくたちのこと。

しかしそのは、りんたちを生かし、「明日」へと繋がっていく

 

 

サビ

サビ前の三姉妹アップ

りんりつりなが、緑色の光を帯びる。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

体内に取り込んだ「みどりの葉」を使って各々の得意な「力」を行使する際、

対応する器官緑色に発光する。

つまり、戦闘態勢に入った

 

ここからは、めちゃくちゃ動くため、ゆっくり見ると非常におもしろい

りなちゃんズの連携

りなは、出てきた順番で判別していく。(つまり適当)

 

まずはりなっちが、小型あかむし引きつける。楽しそう。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

あかむしの注意が、りなっち(右)に向いている隙に、

りなじが左から跳んできて、後ろを取った

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りなじはそのまま、小型あかむしの後ろ足を持ち上げ、拘束した

りなっちは、左上へ離脱。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りなっちとバトンタッチして、りなよが左上から登場

スカート内から、鉄骨を出している

りなじに拘束されていたあかむしは、そのままりなよの目の前に投げられた

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りなよ鉄骨で、あかむし倒した

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

あかむしバラバラに四散したが、こちら側を見て驚いた表情りなよ

次のあかむしが襲いかかってきていた! ピンチ!

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りつの防衛

みどりの根っこに乗ったりつが、左から登場

あかむしの前に、割って入る

りなよは、りつを信じているのか、焦りの表情は消えた

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りなよが左上に離脱し、りなちゃんズ退場

りなむはどこかで眠っている。

一瞬みどりの根を複雑に絡め、あかむしに巻きつけるりつ

どれくらい一瞬かというと、手前の瓦礫の影が通り過ぎる一瞬

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

そのままあかむし絞め殺したつよい。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

しかし次の瞬間、手前に何かがいるのが映る

りつはそれを目で捉えた

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りんのトドメ

左から、りん登場

りつ触れかけた黒い何かを、左腕ではねのける

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

りんさんカッコいい

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

しかし、さらに大きい何かが、りんの右側からのしかかる

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

これもホコリを払うかのごとく、はねのける

うっとおしそうな、りんさん。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

カメラが回り込み、攻撃の正体が映る

大型のあかむしだった。 1話冒頭に現れたやつと、同じタイプのようだ。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

視点はさらに回り込み、再び大型あかむし側に戻る

みどりの葉吸い込むりん

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

既におなじみとなった、みどりの葉の弾を撃ち込む

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

どこかで夕日を眺める、りんわかば

夕日の綺麗な風景を、りんわかばが二人っきりで眺めている。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

作中において、船内の光源が、夕日のように輝いていたのは、

「はじまり」から「0.6話」くらいまでであり、

当然、その頃はわかばと出会ってはいない

 

ただのイメージ映像」といえばそれまでだが、真面目に考えたならば、

この風景を見るタイミングは、12話終了後しかない

船内の光源が回復してからの、船内のどこかか、

あるいは、船外で見た、本物の太陽による夕日か。

 

12話ラストで船外に出たときと、二人の立ち位置は一致している

また、このときは昼間のようだが、太陽画面左上に位置しているようなので、

夕日二人の正面(西側)に見えることになる

【出典】『ケムリクサ』第12話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

もしこのまま夕日が出るまで待ってたんだとしたら、

早くりつたちに持ってってあげて(笑)。

 

当初は、このラストシーンは夕日になるはずだったのかもしれない。

 

 

4人が並ぶ

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

りんりなりつわかばの順で並び、何かを見ているようだ。

ここも真面目に考察するなら、

りな一人しか見当たらないようなので、12話以降ではないかとも思われるが、

それにしては、りんの表情が硬いので、旅の途中の一コマ、ということにしておこう。

 

何かに手を伸ばすりん

手前にある何かに、手を伸ばすりん

心配したような表情をしている。

【出典】『ケムリクサ』オープニング ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

これが、

物語において重要なシーンとなることを、

この時点で示唆していた。

 

壁のむこうのわかばに手を伸ばす

12話にて、わかば赤い木に潰されながらも、りんを守るためにを作った

「おい…!」と困惑しながら、りんわかば手を伸ばす

直後に、ほぼ同じ体験をしたりりの記憶も、目に映し出される

【出典】『ケムリクサ』第12話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

右手を伸ばしてわかば(ワカバ)を助けようとするのは、11話のりりも同じだった。

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

このシーンが、りんにとっても、りりにとっても、

大きな転換機(ターニングポイント)となった

物語においても、非常に重要なシーンだ。

 

落下するわかばに手を伸ばす

そして、上のシーンを経て、赤い木を倒した後

解放され落下するわかばに、再びりんが右手を伸ばす

落下してはいるが、「わかばを助けようと手を伸ばす」という構図は、

オープニング映像と同じ

【出典】『ケムリクサ』第12話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

 

そしてついに、その手はわかばに届く

落下するわかば受け止め助け出すことができた

 

…と、最終的にはそうなったわけだが、

オープニングの映像では、まだ手は届いていない段階だ。

12話まで繰り返し見せられ、苦悩しましょう。

終わらないアゴニー

 

サビの歌詞

いつか僕らの世界 変わり果てて

幻想の中 Remember, remember

この手で 君のミライを 無情に壊して 奪い去っていくんだ

【出典】『KEMURIKUSA』(アーティスト:ナノ / レーベル:Flying Dog)

 

Aメロ、Bメロから続くなら、これもりんの視点となるだろう。

だがそう単純ではない

 

幻想の中、思い出す」とは、10話、11話にて、

りりの記憶を見て、全てを思い出したりんのこと。

世界が変わり果てた瞬間」を、その目で見てきた

未来を無情に壊して奪い去られた」とは、そのとき犠牲になった船長ワカバのこと。

ということは、「この手」とは、

その原因となった赤い木を生み出した、「りりの手だ。

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

伸ばしてもワカバには届かなかった手でもある。

【出典】『ケムリクサ』第11話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

そして今は、「りんの手」になっていると言える。

【出典】『ケムリクサ』第12話 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

自分の手で、かつてはワカバの命を奪ったことを、

りんは思い出した

 

サビはさらに続く。

僕の身体 朽ち果てるまで

限界の先 We’ll never surrender

終わらないアゴニー

【出典】『KEMURIKUSA』(アーティスト:ナノ / レーベル:Flying Dog)

 

」とは、ここまで「りんのことだった。

だが、

ここから「りり」のことでも当てはまるだろう。

 

朽ち果てるまで」「限界の先」「決して諦めない」、

これらは、

11話で自らをケムリクサ化して

ワカバを助けに行こうとするりり

12話で本体の葉を使い、腕も、足も失いながらも、

赤い木に立ち向かうりん

どちらにでも当てはまる。

 

終わらない苦悩」とは、

りりが死んでも終わることなく

りんに受け継がれたわかば(ワカバ)を助けたい」という願い

それに伴う苦悩

 

つまりこの歌詞は、

りりりんの心情同時に表現されているのではないか。

 

なんと素晴らしい歌詞だ。

歌詞が良いのは知ってたけど、

こんな深みに、今まで気づかないとは…。

 

 

そしてサビの締めくくり。

Finding my life in the KEMURIKUSA

【出典】『KEMURIKUSA』(アーティスト:ナノ / レーベル:Flying Dog)

 

これは「my」にあたる 」とは誰なのか、で、二通り考えた。

私=りり

ケムリクサの中で、私の命を見つけてと訳せば、

「記憶の葉」を見て、自分を思い出して、と願っているりりを想起させる。

物語中の誰かに「」を当てはめるなら、これが一番妥当だと考える。

しかしながら、りりは12話において、

好きに生きてと言い残して消えていった

そのりりが、自分の記憶を見て欲しいとは、どうも考えづらい

 

私=視聴者

「『ケムリクサ』という作品を見て、生き方を見つけると訳せば、

作品から伝わる強いメッセージを、そのまま歌詞にしていると受け取れる。

 

作詞したナノさんも、

ケムリクサ」を「生命を繋げるツール」に例えている、と

インタビューで発言している。

ナノ
ナノにとって2019年第1弾作品となる、ニューシングル『KEMURIKUSA』が2/6にリリース。前作のシングル『Starlight, Star bright』発売から約3ヶ月という短いスパンで放たれる今作の表題曲は、たつ...

 

つまり、

視聴した君たちが、

生きるための「何か」(ケムリクサ)を見つけろ!

ということだ。

 

作詞者がそう言ってんなら最初からこっちしか無いじゃん!

と言われるかもしれないが、

それだと考察として薄くなるし、一応ね…。

 

ちなみに私は、

『ケムリクサ』を見て、『ケムリクサ』が好きだと

見つけました!

後半期の映像と、2番以降の歌詞は、またいつか

7話~12話で映像が一部変わるが、それはまた

考察がそこまで進んだタイミングで、改めて取り上げるとする。

2番以降の歌詞についての考察も、またどこかでやるつもりである。

 

とりあえず、この場はここで一旦締めよう。

まさかこんなボリュームになるとは思わなかった。

まあ毎度のことか。

 

それでは、ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。

【ケムリクサ考察】まとめページ
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コメント

  1. nobu より:

    いつも楽しく拝読しています

    歌詞考察ありがとうございました❗

    無理をせずにご自身のペースで進めて頂ければと思います

    自分もケムリクサが好きだと見つけました😄

    • ugug より:

      こちらこそありがとうございます。
      思った以上に考察ポイントがありましたねえ。

      いいですねえ! 好きなものは他にもたくさんあります。
      それを大事にしていきましょう!

  2. 吾亦紅団長 より:

    KEMURIKUSAを組み換えるとMAKE UR SUKIとなるという話も聞きましたね。
    ちょっと強引だけれど最後の歌詞と合わせて「自分の好きを見つけてほしい」というメッセージにも思えます。
    作品テーマにも合っているし。

    • ugug より:

      そのアナグラム、いいですよね。
      意図的だとしても、偶然だとしても、すごい。
      見た人それぞれが、「そう」思ったなら、それでいいんです!

  3. いちファン より:

    いつも楽しみにしています!

    現実の日本では、瀬戸大橋から富士山は視認できないのに、
    なぜそれが視認できているのか・・・。
    理由が分かった時は衝撃でした。
    ほんとスゴイですよね。

    • ugug より:

      いつも楽しみにして頂いて、ありがとうございます!

      そもそも日本ではなく、日本のコピーだなんて、普通気づくわけ無いですよね…。
      とんでもない世界を見せてくれます。

  4. いつも楽しく見てます! より:

    歌詞考察ありがとうございます!
    本当に丁寧で分かりやすいです!

    個人的見解なんですか、
    “Finding my life in the KEMURIKUS”
    のmyは、りりが分裂後の自分(リン達)に向けた言葉なのではないかと。つまりmyはりり自身=リン達それぞれを指し、自分たち(my)の生きがい(好き)を、ケムリクサ(KEMURIKUSA)の蔓延る世界で見つけていく。この作品の根幹的なことを指しているのかと少し思いました!

    opの歌詞でここまで伏線が含まれてるのなんて当初全然気付かないし、気づかせない作りにしてるケムリクサは本当に面白いです!

    • ugug より:

      本当ですか!ありがとうございます!

      「my=りん(たち)」にしても、当てはまりますね。
      最終的に、全員「好き」を見つけられましたから。
      りんたちも、我々も、生きがいを見つけていけ、ってことですね! 

      OPまでここまでしっかり考えて作られているこだわりは、本当に凄いですね。
      まさに、製作者様方の「好き」を、これでもかと言うほどに見せつけられました。