2018年11月12日(月)~20日(火) に東京で行われた、『藤田和日郎原画展』に行ってきました。
カラーも合わせて、原稿200点以上!! 複製原画無しの、生原稿ばかり。
そこから受ける印象は、ただただものすげえパワー!
写真撮影OKの原画展だったので、その魅力を皆様にもお伝えしたい。
ホワイトの凸凹!
まず眺めていて最初に受けた印象は、
「ホワイトの使い方」!
上の写真だと伝わらないと思うが、真ん中に走った稲妻が、ホワイトで描かれているようだ。
なので、周りよりちょっと盛り上がっている。
こちらは、『からくりサーカス』の1巻のカラー原画。
ホワイトが使われているのは、「しろがねの髪」。
接写したものだと、多少伝わるだろうか。
しろがねの髪の輪郭に、全体的にホワイトを走らせ、
さらにホワイトを散らすことで、銀色の輝きを表現している。
このホワイトの使い方を目の当たりにしただけで、ため息が出る。
なにもカラー原画だけではない。
白黒原稿でも、大胆にホワイトを多用している。
特に多いのが、先にも紹介したとおり、『うしおととら』でよくある「稲妻」の表現でだ。
見開きページ全体に迸る、真っ白な稲妻!
描きあげた絵の上から、迷いもなくズババッ!と走らせたかのようだ。
勢いのあるシーンや、ハッとするようなシーンでは、とにかくホワイトが散らばっている!
パワーのあるシーンには、ホワイトを散らす!
まるでそんな法則性があるかのようだ。
とにかく散らしてる散らしてる。
漫画を読んでるときは気にしてないのに、原画を見ると凹凸がはっきりしているので、
凄い印象的だ。
せんべえの『雪の宿』か、ってくらい散らしてる。
豪快!と思いきや繊細
これまた、私が藤田和日郎氏に勝手に思っている印象だが、
絵のタッチは、とにかく豪快!
先のホワイトの使い方でも述べたとおり、勢いや熱量が、とにかく凄い。
しかし原画展に来て、印象が変わった。
非常に細かいところまで描き込まれた線!
絵の具の微妙な濃淡!
すっごい繊細じゃないか!(失礼)
こちらは、『月光条例』のカラー原画。
なんとも綺麗な色使い。
青?紫?藍色? 一色では表現しきれない、夜の闇に、眩しいほど輝く月の色!
そして見て!この、鉢かづき姫のお椀の影の描き込み!
カラーなのに、ここはあえて線で影をつけている。
(一寸法師の帽子も黒いが、影は色でつけている。)
これが金棒の鈍い輝きを表現するのに、一枚噛んでいるのか。 実に味がある。
白面の者の毛並みも、細い細い線で描き込まれている。とっても繊細。
RPGのラスボス最終形態によくある話だが、最後の敵ほど、シュッとした繊細なヤツだったりする。
それが逆にキャラクターの邪悪さを際立たせているのか。
白面の者の原画は、まさにそれを感じさせる。
それにしても怖すぎる。
カラー原画は、基本的に水彩で描かれているが、
色を重ねまくった結果なのか、紙が水でふやけて変形しているところまで、
実際に見るとよくわかってしまう(笑)。
繊細ながらも、やはり豪快なところもあるのだ。
設定資料まで見れた!
各作品エリア毎に、ショーケースが設置されている。
中には、設定資料が!
最後のつもりで描く!『それから後のマンガなどない!』
表紙から既にすげえアツさ。
メインキャラクターたちのラフ画も、数点見ることができた。
しかしその中でも、私が一番興味深かったのが、これ!
ストーリーの原案!
ここには、フランシーヌ人形とゾナハ病誕生の背景が書かれている。
白金、白銀の二人ではなく、「トロマメーヤ」という一人の男が元凶となっていたようだ。
しかし大筋は、この頃から決められている。
ここからやがて、あれだけ話が膨らませられるのである。すげえ…。
最新作『双亡亭壊すべし』の設定資料もある。
表紙には、元タイトルである『あの家を壊せ!』の文字がでかでかと。
こちらも同じく、大筋が初期から変わっていないようである。
坂巻泥怒は、最初は老人だったようだ。 今ではすっかりイケメンに(笑)。
今後も開催はあるのか? 機会を見逃すな!
原画展は、連日大盛況だったようで、
実際に私が来場したときも、後から後から人が入ってきて、大賑わいだった。
ということは、もしかしたら、東京以外でも開催されるかもしれない。
私がここで紹介したのは、ほんの一部。そもそも生の迫力は、写真ではお伝えできない。
今回、来たくても来られなかった人は、次回開催の機会を逃すことのないよう、
公式情報を要チェックだ。
11/20、ライブドローイングも増設を経て、無事完成したとのこと。
藤田先生に会期中ご協力頂きましたライブドローイングですが、
本日完成致しました!また、本日をもって、
池袋で行われました原画展は終了となります。ご来場頂きました皆さま、
誠にありがとうございました! pic.twitter.com/j2EgWrqjDa— 藤田和日郎原画展 (@fujita_genga) November 20, 2018
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