アニメ『ケムリクサ』の考察をしていきます。
内容としては、裏設定とか、各要素のモチーフなどを考えることより、
物語をつぶさに観察して、世界やキャラの深みを掘り下げていくことに特化しています。
※筆者個人の考えに過ぎませんので、参考程度にお読み下さい。
※共感の他、間違いや別な意見などもあれば、
遠慮なくコメントして(本ページ下部から)頂ければ幸いです。
※最終話までの視聴を前提に書いています。ネタバレ必至です。
作品の公開順に追っています。
ここでは、第5話Aパートの前半(四島上陸)について。
過去の記事はこちら。
第5話 Aパート 前半
※以降のセリフの引用(❝ ❞内)は、全て
『ケムリクサ』第5話(©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト) を出典としている。
あかぎりが高い?
空橋の入り口(三島側)は、あかぎりは橋のかなり下に位置していたのだが、
四島側では、橋の下スレスレにあかぎりがある。
「霧が高くまで来てる」と、りんも発言しているため、
四島のあかぎりが濃い、とも見て取れる。
しかし逆に、島が沈下してきている、とも考えられるだろう。
後の会話で、「道が消えてる」とも言っているのが、
地形そのものが消失していることによるものなら、辻褄があう。
りん「おかしい…! 霧が凄く高くまで来てる!」
りつ「道も消えちゃってるにゃあ。」
わかば「前は、こうじゃなかったんですか?」
りつ「もっとこう… 普通の陸地だったのにゃあ。」
実際、空橋の終着点は、かなり斜めに傾いていた様子も、見られる。
水やり定期
りつ「りなちゃん、わかばくん。
みどりちゃんにまた、お水あげてくれるかにゃあ。」
わかばに、みどりの水やりを指示し、
わかばも手慣れた感じで実行している。
作中では描写がないが、少なくとも一回はみどりに水やりをし、
そのとき、やり方をわかばにも教えているようだ。
飲料水は、みどりの根から出していたが、
ここでは水道管のようなところから水を出している。
みどりに与えた水を、再度飲料水として使い回せるのか、
とも思ったが、
10話では、りつとりなは水を飲まずに、みどりに与えていたので、
そういったわけでもなさそうだ。
みどりに水をあげると、りつも元気?
りつ「よ~っし元気元気~♪ 今日もたくさん移動しちゃうにゃあ!」
みどりに水を与えると、りつまで元気になったようだ。
やはり、みどりと合体しているために、状態を共有しているのか、
それとも、ただみどりの状態が、りつにはわかるだけなのか。
根を手足のように動かしているし、おそらく前者だろう。
ウスイロの鉢植え
3話の遊園地で発見したウスイロのケムリクサだが、
わかばが鉢に植えて育てている。
この鉢、みどりの苗木を育て始めた頃に使用していたものと、
同一のものであるようだが…。(0.9話)
さらに、りりが赤い木を植えていた鉢とも、
同一であるようにも見える。
同一だとしたら、一体どういう流れで、りりの元から、りつの手元に渡ったのか。
どこにでもあるようなものでも無さそうだが…。
謎多き鉢植え。
回復しているウスイロ
「謎」といえば、
3話でウスイロの葉の一枚食べたわかばだが、
その葉が、既に回復しているようだ。
水を与えただけで目に見えるほどの急成長をしているし、
ケムリクサの生命力は、非常に強いのだろうか。
水やりを許すりつ
5話後半でわかることだが、りつは、残り少ない水をみどりに与えることに、
罪悪感を感じていた。
にもかかわらず、ここでわかばのウスイロにも水やりを促したのは、
罪の意識・責任を和らげたい、という側面もあったのかもしれない。
わかばに水やりを許すことで、
自分の水やりも許して欲しい、という気持ちがあったのかもしれない。
もちろん、そんな心配が無用であったことは、
このあとの展開でわかることなのだが。
車輪を落っことす
空橋から降りるタイミングで、電車の車輪が、ポロッと落っこちている。
道の割れ目から、あかぎりに落ちてしまったようだ。
この後、しばらく歩きだったため、車輪を失ったことに気づくのは、
かなり遅れてしまう。
りんの本体の葉も弱っている
りんの葉をよく見ると、上半分の色が消えかけている。
ヌシとの戦闘での消耗が、葉に表れているのだろう。
りつはそれを気遣う。
りつ「りん! 休まなくて平気にゃ? 戦闘もあったし…。」
葉の色の変化は、りつには見えないはずだが、
葉の「音」で状態を確認したのかもしれない。
直前の仕草が、りんの葉に耳を傾けているように見えなくもない。
なぜ急ぐ?
あかぎりも濃く、進むのが危険そうな四島で、
多少無理をしてでも、りんが先を急いでいるのは、
空橋で想定外のヌシに遭遇したためだろう。
「近くにまだ他のヌシがいるかも」
という心配を抱えていてもおかしくはない。
空橋のあかぎりが濃いことで、ヌシを察知できず不意打ちを受けた、
という事実も、影響しているかもしれない。
この辺りは、いつもよりあかぎりが濃くなっているようなので、
さっさと通り過ぎたかった。
りつの負担を軽くするために、自主的に歩く
りな「あ~るき♪ あ~るき♪」
一島から空橋までのほとんどは、全員が電車に乗って移動していたが、
ここでは逆に、ほとんど全員が電車を降りて、歩いて移動している。
後のシーンで、りつは「線路以外で動かすのが苦手」と発言している。
りな「りつ姉ねは大雑把だナ~。」「ナ~。」
りん「こら! そんなこと言うな。」
りつ「線路以外で動かすの、どーも苦手なのよにゃあ~。」
りなたちも、そんなりつを「大雑把」と揶揄してはいるが、
それを知っているからこそ、
電車から降りて、りつの負担を少しでも軽くしてあげていたのかもしれない。
ただ単に、揺れるから乗っていたくないだけかもしれないが…。(笑)
りなたちの過去
りなたちが過去について語り始める。
橋の建築時期
りなっち「懐かしいナ~。」
りなじ「ここ知ってるナ! あの建物、食べたことあるナ!」
りなよ「おー! りなぞうが作ったやつナ!」
さて、この巨大な橋を築いたタイミングはいつになるか、考えよう。
主なポイントは、下記の3点。
・ 場所は五島と六島の分岐点より手前
・ 分身後にりなぞうが作った
・ 五島まで、りなは一人だった
これらのことから、初めてここに訪れたときは、りなは分身前であり、
橋を作ってもいなかった。
ということは、遠回りして、五島に到達したのだろう。
五島から戻り、四島をうろついている間に、何かしらのきっかけがあり、
りなが分身した。
そして、りなぞうが橋を作ることで、新たな道に進めた。
その直後が、0.8話となる。
こんなところだろうか。
りなぞうがいなければ、湖を目指すこともできなかったかもしれない。
りなの力は、人数に比例?
りなっち「はー、りなこも死んじゃったからナー。」
りなじ「あいつらがいたら、道ごと作っちゃえたのにナ!」
りなよ「その点、惜しいナ!」
「りなことりなぞうがいたら、道ごと作れる」という発言は、
単に労働力の話ではなく、
能力による実現の可否を言っているようだ。
人数が多いほど、より大きいものを形成できるのか。
それとも、りなことりなぞうは、より大きい物を溜め込んでいたのだろうか。
ここの橋を、りなぞう一人が作ったらしいので、
後者だと考えてる。
りなことりなぞうは、大きいものを形成することに、長けていた、ということか。
りなぞうをシバいたのは…?
りなっち「でもりなこは、抜け駆けするやつだしナ。」
りなよ「りなぞうも、静かに人のかじるやつだしナ。」
りなじ「一回りょうちゃんのパイプかじって、めっちゃシバかれてたナ!」
この発言から、「りなぞうは、りょうにシバかれた」と勘違いしてしまいがちだが、
時系列的に、これはあり得ないはずだ。
りなぞうが生まれるのは、りょうが死亡したずっと後、
つまり、二人は出会ったことがない。
「りょうのパイプ」とは、りょうの遺品ということになる。
りょくのダイダイを保管していたように、パイプも保管していたのだろう。
そもそも、
「りょうにシバかれた」とは、言っていないではないか。
りなぞうをシバいたのは、誰だ?
そりゃあもう、りつ姉でしょう。
1話や4話のやり取りを見るに、
りんは注意係に過ぎず(というか姉妹に甘い)、
本気のお叱りは、りつの役目だっただろうことがわかる。
実際にりつが怒るシーンは、作中では見られないため、
これらは推測に過ぎない。
裏付けになるわけではないが、旧版(自主制作版)ケムリクサにおいては、
みどりの木に触れたわかばに、りつは鬼の形相で怒りを顕にしている。
このノリでシバかれたのかもしれない…。
りくは、カワイイもの好き?
りなじ「りなこもりく姉ねと、よく取り合いしてたナ~。」
りなっち「りく姉ねは、なんで取り合ってたのナ?」
りん「りくは、カワイイものに目がないんだよ。」
りなよ「は~、さっぱりわかんないナ。」
「りくはカワイイものが好き」。
これは過去にも考察したが、りんの勘違いだろう。
取り合っていたのは、「ふかふか」で「カワイイ」もの。
おそらく、動物のぬいぐるみのようなもので、
りなは、「ふかふかの食感」を、
りくは、「わしわしの触感」を、
それぞれ欲して、取り合っていたと思われる。
動物をわしわしするのは、りくの夢だ。
りんからすると、どちらの感覚も全くわからないため、
「りくはああいうのが好きなのか」
と、勝手に認識したことになる。
安心と信頼の、りんの腕力
道中の障害物を、人力でどけるシーン。
りな3人とわかばで力を合わせて、ふんばって持ち上げているのに対し、
一方のりんは一人で余裕そうだ。
声を上げてすらいない。
わかば側の方が、重いのかもしれないが、
それにしても、りんの横で、りなは見てるだけ、ということは、
助力が必要ないことをわかっているのだろう。
りんにとっては、小石をどける程度に容易い、ということだ。
ちなみに、わかば側の4人は、持ち上げるのに疲れたのか、
その後、座り込んでしまっているようだ。
次回、第5話 Aパート 後半!
四島の道は荒れているものの、わりと平和に進みます。
次回!
わかば、みどりの葉を使う!
ここからも引き続き、お付き合いいただけると、幸いである。
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筆者のやる気が上がり、更新頻度が早くなります。
コメント
更新ありがとうございます☆
それにしても、りな’sの、たったこれだけのセリフから これほど深く過去を考察していくUgさんホントすごいですね!! セリフに無駄のないストーリー展開も凄いですが。。
モモイロに染まっているように見える、ヨモギのようなウスイロのケムリクサ。
わざと色がのっている表現をしている所をみると、
ウスイロは、近くにあるアカやミドリ、アオなどに影響を受ける特性がありそうですね。
で、染まりきると、枝分かれした葉っぱ一枚一枚がその色の特性を持ったケムリクサに変化。
そして、各島でところどころ群生しているケムリクサになる、とか。
ウスイロを育ててるカンテラみたいな容器ですが、
赤い木が育って不要になった後、避難の際にりりが持って行くケムリクサの保管容器として使って1島に移動。りつ姉がみどりちゃん用に使い、その後わかばが引き継いだ。
じゃないかと勝手に思ってました。ww
次回のりつ姉が楽しみです! コロンビア!W
ありがとうございます。
それだけじっくりゆっくり見てる、というだけです。
考察にそれだけ時間がかかるという…。
「そう読み取れる構成」が、やはり凄いと思いますね。
ウスイロは、拾ったときにも、微妙に緑色に光っていたりしていて、謎が多いですね。
なので、その辺については、まだ語れるほど整理できてないのです。
「薄色」という用語自体は、「淡い紫色」を指しているため、基本は紫なのかな… とは思っているのですが…。
枝分かれしている、というのも、確かにウスイロとアカイロにしか見られないので、何かあるかもしれませんね。
カンテラ容器が同一のものだとしたら、りりの転送時に一緒に運ばれたのが妥当なんですよね、確かに。
11話の前半後半は、それなりに時間が経過している可能性もあるので、
赤い木がそこそこ成長したあとは、どこかに植え替えた可能性も、無くはないですね。
りつ姉の変なポーズについては、たぶん3行くらいしか触れないと思いますw
更新おつかれさまです。
りつとミドリちゃんの関係はとても不思議ですね、根を操作できるのはりつ個人の能力なのか、それともこれもまたミドリというケムリクサを『使う』という行為に当てはまるのか。
状態を共有しているかについては、りつ個人が水の補給を必要としていますので、私は共有はないと考えます。ミドリちゃんの体調の把握は聴覚等で行っているのではないでしょうか。
ワカバにウスイロの栽培を許した点ですが、あまり打算的な考えは持っていないのではと思います。
素直に、命を育てることを楽しむワカバの姿に共感しての行いではないでしょうか。個人的な思い込みかもしれませんが、姉妹達一行にはギブアンドテイクな考えは持っていない様な気がします
ありがとうございます。
「共有」と書きましたが、
「完全に重なり合っている」というより、「混ざり合う部分がある」と言ったほうが良いですかね。
もちろん、りつ自身へ水を補給する必要はあると思います。
が、みどりが弱ると、その分りつの力も吸い取られてしまうような、そんな関係ではないかと思っています。
逆も然り。
次の考察で書きますが、りつの感情とみどりの動きが連動している様子も見られるので、
それほどまでに、深いところで繋がっているのではないか、という見解です。
ウスイロについてはそうですね、これも書き方が悪かったかもしれませんが、
りつは企みを持って、わかばを共犯者にしてやろう、とか、
そういうことを考えていたとは、私も思っておりません。
しかし、5話後半で、みどり育成に対する心境を吐露したことは事実であり、
それをこのときにも、潜在的に感じていたはずなのです。
「自分ばっかり水をたくさん使うのは良くないかな」と感じて、
同じく育てる喜びを知るわかばにも、
「遠慮せず水を使ってほしい」という側面もあったのではないかな、と。
おっしゃるとおり、大部分は「育てる喜びの共感」だと思います。 本人がそう言ってますし。
めちゃくちゃ深読みすると、心の何処かにこんな気持ちも含んでいたんじゃないかな、という、
まあ早い話が、ただの私の考え過ぎですね(笑)。